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1/17(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、シェリーめぐみさんからの報告です!


アメリカは賞のシーズンです。

音楽の最高賞グラミーは2月、アカデミー賞、オスカーは3月、
そのオスカーに大きな影響を与えると言われるゴールデングローブ賞が
日曜日にロサンゼルスでありました。

私もニューヨークからテレビで見ていたら、あらら、見た事ある人が?
なんとYoshikiがプレゼンターとして何気なく登場。(日本人としては初めてだとか)
去年からゴールデングローブ賞のテーマ曲は彼の作曲した曲になっているんです。

映画の話題はオスカーが近くなってからまたやりたいんですが、
今日はあまり日本には話題が入ってこない、アメリカのドラマの話。

ゴールデングローブ賞にはドラマ部門もあり、
テレビ王国アメリカではエミー賞と並んでかなりビッグな賞。

ここで今年期待通り賞をさらったドラマが「「GIRLS」ガールズ」です。

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ニューヨークが舞台をしたドラマで、
あの「SEX & THE CITY」を超えるのでは? という呼び声も高い?

実は、こういうかけ声で始まるドラマ、本当に多いんですが、
本当に「SEX & THE CITY」を超えたドラマはまだないですね。女性向けドラマとしては、未だに一つの指標となっている。

でこの「GIRLS」はかなりいい感じできていて、今週から2シーズン目に入ったところ。
4人のガールズが繰り広げるドラマという意味では「SEX & THE CITY]と同じ、

でも中身はかなり違います。まず一見おしゃれな感じがぜんぜんしない

何しろSEX&THE CITYは毎回ものすごくファッショナブルな服やシューズがどんどん登場、
ところがこのドラマの主人公、時々前にも見た事のがある同じ服を来て登場。
さらにその主人公はかなり、ぽっちゃりしてる、キャリーみたいなセレブな雰囲気ゼロ。

じゃあなぜこのドラマがこんなに人気があるのか?
今日はアメリカで今一番話題のドラマ、「GIRLS」を紹介します。

ドラマ、「GIRLS」
その名の通り4人のガールズ、
20代なかばの女性たちが主役です。

今週シーズン2が始まったばかりですが、
今年のゴールデングローブ賞で、ベスト・ドラマ部門
そして主役のレナ・ダナムが主演女優賞

このレナ・ダナム、26歳 
これまではほとんど無名だったのが、
その才能を見込まれて、
なんとGirlsの脚本、監督、さらに主演にも大抜擢されました。

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今回の受賞でその実力を証明してみせたわけですが、
26歳が作り出す「生々しいほどの若さ」がこのドラマの最大の魅力なんです。

まず「GIRLS」の冒頭、
レナ・ダナム扮する主役のハンナが、
両親とレストランで食事をしているシーンから始まります。
ハンナはニューヨーク、ブルックリンのウィリアムズバーグ、
つまり、若者に今一番人気のヒップな街に、ルームメートといっしょに住んでいます。
でも、その家賃はこれまで両親が払っていた。

なぜかと言うと、ハンナは大学を卒業しても職につけず、
インターンとして無給で働いているからです。

そんなハンナに両親は
「もうこれ以上は援助はできません。私たちも大変なんだから、
今日からは自分の力でやってね」と宣告。

そこからハンナの奮闘のストーリーが始まるわけですが、
この設定が、たった今のアメリカの現状をリアルに反映しているんですね。

例えば25歳以下のアメリカの若者の失業率は16%もあります。

また、ハンナの彼氏、アダムはやはり大卒で、大工とアングラ劇の俳優をやっていますが、
学生時代に借りた授業料のための借金、スチューデント・ローンを払っています。

このスチューデントローン、大学生のおよそ6割が授業料を払うために、何
らかのローンを組んでいますが、
卒業した時点での借金は、一人当たり平均$26000 (200万円以上)

これが大きな重圧として、社会問題になっているんです。

とにかく、今のフツーのアメリカ人の若者はお金を持っていない。

親から独立はしていてもルームメートがいるのは当たり前。
時には二人も3人ものルームメートと住んでいる。
そのアパートはまったく豪華じゃない
デートもおしゃれなレストランではなく、相手の家だったり、
古い倉庫にDJを入れただけのパーティだったり。

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そんな毎日を、それなりに思い切り楽しんでいる、
まさに、たった今の20代のライフスタイルを見る事ができるんです。

そしてきわめつけは、服。
SEX&THE CITYには、ものすごく高そうな服やブランドもののシューズがどんどん登場、
それが売り物でした。

でもGIRLSが着ている服は、スリフトショップで買った服だったり、
高くてもH&M

普通の若者が来ている服を来ているんです。

それだけではありません。
この「服」には、さらにある「工夫」がされているんです。

前に来た服をまた来て登場。。。これはアメリカのドラマではとても珍しいそうなんですが、

さらにもうひとつ、クリエーターたちが気を使っているポイントがあります。

サイズがぴったりの服は着せない。
なぜかといえば、サイズがぴったりしすぎていると、リアルな感じがしないから。

そういわれてみると、私たちの服だってちょっと袖が長過ぎたり、
スカートがゆるかったりすること、ありますよね。
ぴったりフィットする服の方が少ないくらい。

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ここまで気を使って、ドラマが見せようとしているのは、
もちろんたった今の若者たちのリアルな姿です。

なかなか仕事につけなかったり、
彼氏と喧嘩別れしてしまったり、
とにかくこの主人公たちは、色々な失敗を繰り返すんですね。

そういう中で、何とかして自分に正直に生きようとしている、
自分というものを必死で探している、
そして、友達や恋人にも優しくしよう、大切にしようとするんだけど、
これまた正直に言い過ぎちゃったりして、失敗。

そういう主人公がだんだん可愛くなって好きになってしまう。

ちなみに、若者だけでなく、
失敗から全然学ばない、
大人になれない大人も出て来るので、
私としてはそういう部分に共感できちゃったりしてます。

アメリカの若者のリアルな姿が見えて来る「GIRLS」
もし見る機会があったら、おすすめします。


シェリーめぐみ  
ニューヨーク在住、フリージャーナリスト&プロデューサー。
アメリカを日本に伝え、日本をアメリカに伝える相互プロジェクトを数多く手がける。
J-POPファンのための英語サイトSAMURAIBEATRADIO.com(サムライビートレイディオ)」
ブラックコミュニティと日本をつなぐメディアHARLEM2NIPPON.comをプロデュース。
BLOG:http://megumiradio.com