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1月29日(火)のフラワーレポーターはオランダ・アムステルダムにお住まいのユイ キヨミさんです。

今年のアムステルダムは、「アニバーサリー」が目白押しで、盛り上がりを見せそうです。


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2010年、ユネスコの世界遺産に登録された、アムステルダムの運河が建設されてから今年で400周年、
世界屈指の音楽ホールとして有名な「コンセルトヘボウ」が、はじめての観客を迎えてから125周年、


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(コンセルトヘボウオーケストラ)


約10年間、改築工事のために大部分を閉鎖していた国立美術館が、晴れてリニューアルオープンするのも今年、
歴史ある街の動物園「アルティス」は、開園から175周年(1838年オープン)
かのヴィンセント・ファン・ゴッホの生誕160周年 (1853年3月30日生、1890年7月29日没)


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(C) van Gogh foundation / van Goghmuseum


そしてゴッホの作品をたくさん所蔵する、ゴッホ美術館はオープンから40周年記念・・・・などなど。
これらを受けて、さまざまな特別展やイベントが予定されていて、賑わいを見せそうです。そのため、世界的に有名な、ガイドブック「ロンリープラネット」が、2013年のおすすめベストシティートップ10というランキングで、1位のサンフランシスコに続いて、アムステルダムをベスト2に選んでいます。


こんな、たくさんのアニバーサリーの中でも、目玉となるのはアムステルダムの運河400周年記念と、国立美術館のリニューアルオープンではないかと思います。


これに関連した、展覧会も目白押しです。
例えば、アムステルダムミュージアムという博物館では、今「黄金時代」という大きな展覧会を開催していますし、ヘット・フラフテンハウス(運河博物館)では、運河拡張の歴史を詳しく説明しています。


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(展覧会:黄金時代 アムステルダムミュージアム)


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同名の本も出版され話題を集めている


オランダで、黄金時代と呼ばれる時代が幕を開けた、400年ほど前、この街は、東インド会社などの貿易によって、多大な冨を得ました。そして、今でもアムステルダムの特徴といわれる、「自由と寛容の精神」で、世界中の人々を惹き付け、多くの移民たちがこの街に定住します。街はあっという間にいっぱいになり、拡張を余儀なくされました。その際に、一度に拡張するのは無理なので、長い見通しをたてて、段階的に運河を掘って、街を拡張していったのですが、その拡張プランが、非常に優れた都市計画であったと言われています。現在でも、アムステルダムは、先駆的な都市計画で世界に知られていますが、そんな「DNA」は、400年も前から受け継がれているんです。
このように、これらの博物館の展覧会では、運河建設400周年、都市計画、黄金時代を支えた東インド会社や、そして交易にまつわる歴史的な背景が詳しくわかります。約4世紀前の、街の様子だけではなく、人々の暮らしぶりや、当時の流行、政治や宗教、哲学、そして世界を制覇した航海の歴史を、当時の物品や絵画などを交えて、詳しく説明する素晴らしい展覧会ですので、歴史や都市計画などに興味のある方に是非、見て頂きたいです。
黄金時代に生まれた、世界の最先端を行く航海術、地図の製作術、あるいは東インド会社が実現した世界初の株式や証券取引など、現在は世界でも当たり前のものの中に、オランダ発祥のものがたくさんあるという歴史も伝えていますので、地元の人々にとっても勉強になる展覧会です。


2月15日から5月末までは、市立公文書館で「ブーミング・アムステルダム」という展覧会が開催されます。これも、運河建設400周年にちなんだ展覧会ですが、当時の地図をみながら、都市拡張の歩みを一望する展覧会だそうで、こちらも是非みたいと思っています。


ちなみに、アムステルダムを縦横に流れる運河の数は165本ほど、その全長は約100km、そして、そこには約1300の橋がかかり、約800のハウスボートがうかんでいるといいます。


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(アムス運河)


8月には、水上コンサートなどもある、恒例のアムステルダム運河祭が開催されますが、今年は運河建設400周年なので、このお祭りも盛大なものになりそうです。


もうひとつの目玉の国立美術館ですが、この美術館ではフェルメールやレンブラントなど、巨匠の傑作を数多く所蔵しています。
この10年間、大々的な改築工事をしていたため、規模を大幅に縮小して、限られた作品だけを展示していました。
この工事はとても難航し、再オープンのメドが立たなくなってしまった時期もあったことから、今回のリニューアルオープンは関係者だけでなく、街にとって、そして私たち市民にとっても喜びひとしおです。このオープンの後は、世界初の「閉館日なし、365日オープンの国立美術館」となるそうです。


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© Myra-May (国立美術館外観)


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©Rijksmuseum (レンブラントの傑作「夜警」)


国立美術館は、「ミュージアム広場」という大きな広場に面していますが、となりにある市立美術館も、昨年、ながい改築工事をおえて、ようやくリニューアルオープンしています。

40周年を迎えるゴッホ美術館も、この広場に面していますが、こちらは現在、改修工事の真っ最中です。4月の末には工事が完成する予定で、この工事が終わる4月後半までは、ゴッホ美術館の作品は、エルミタージュ美術館のアムステルダム別館で見ることができます


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©Van Gogh foundation / van Goghmuseum


芸術ファンにとっては、ミュージアム広場に林立する、全ての美術館がオープンした、5月以降がオランダを訪れる「旬」かもしれません。


アムステルダムから、電車で20分ほどのところにある、ハールレムという街には、フランス・ハルス美術館という素晴らしい美術館があるのですが、こちらも今年、開館100周年を迎えます。
3月23日から7月28日まで、レンブラントやルーベンスなども見られる、ユニークな企画展がありますので、芸術ファンの方には是非あしをのばしていただきたいです。


この他にも、政治的な話になりますが、オランダの君主制が200周年を迎えます。実は28日の夜、もうすぐ75才になるオランダのベアトリクス女王が、「75才、そして君主制200周年記念と、とてもよい区切りでもある」といって、退位を表明しました。オランダは今、このニュースで持ちきりです。そんなわけで今年は、オランダに新しい王様が生まれる記念すべき年にもなります。この戴冠式は、女王の日という祝日、4月30日です。


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©RVD (退位するベアトリクス女王)


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(C) RVD (次期国王ウィレム・アレキサンダー)


ちなみに、3月21日から2ヶ月間は、世界でもっとも美しいと名高い、花の庭園、「キューケンホフ公園」がオープンします。
毎年、花が咲く春に、2ヶ月だけオープンする公園で、オランダでも屈指の観光スポットになっています。
この庭園のオープン時期に合わせてオランダを訪れて、アムステルダムの歴史や、巨匠の絵画を一度に堪能するというのも、よいアイディアではないかと思います。


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(キューケンホフ公園)