今日はニューヨークの食のトレンドです。
グルテンフリーって聞いたことありますか?
グルテンは小麦粉などに含まれるタンパク質の一種
このグルテンに対する免疫反応が引き金となって起こるのがセリアック病で、
腸が炎症を起こしたり、そのために栄養が吸収されず、
ちゃんと食べているのに栄養失調になってしまう。
このセリアック病にかかっている人は全米で133人に一人という数字があるほど。
普通パンやパスタなどに必ず含まれるだけでなく、
様々な加工食品にも含まれるから知らないで食べてしまう事もあるんです。
このセリアック病患者が15年間に2倍に増えたために、
グルテンが入っていない食品が注目されてきたわけですが、
このグルテンフリー今ニューヨークでは大ブレイク 中。
例えばホールフーズという大きなヘルシーフード スーパーマーケットに行くと、
パンからパスタ、クッキー、サプリメント、ビール、
ベビーフードまで、あらゆるセクションに グルテンフリーの表示。
私が朝食べている大手メーカーのコーンフレークも
グルテンフリー表示がしてあるし、
週末にオーダーする全米大手のピザチェーンのピザにも、
グルテンフリーバージョンが登場。
さらにニューヨークでは、グルテンフリーのレストラン、ベーカリーなども誕生中。
今日はそのひとつ、 グルテンフリーのケーキ屋さんに取材に行ってきました。
(tulu_exterior.jpg)
Tulu's gluten free bakery(トゥールーズ・グルテンフリー・ベーカリー)はマンハッタンの若者の街、イーストビレッジにあります。
Tulu's gluten free bakery(トゥールーズ・グルテンフリー・ベーカリー)は
マンハッタンの若者の街、イーストビレッジにあります。
ガラス張りの小さなショップのドアをあけると、
ちょうど近所のファミリーがガラスケースの中のカップケーキやクッキーを選んでいました。
応対していたのは若い女性オーナーのジェニファーさんです。
ちょっと話しかけてみました。
「うちのケーキやクッキーはすべてグルテンフリー、
小麦粉の代わりにポテトの粉やタピオカなどのグルテンを含まない粉を使っています。 たとえば。。。 カップケーキ、パンやパニーニ、
特別注文のウェディンクケーキも焼きますし、コーヒーケーキ、
マフィンなどおいしいものをたくさん焼いています。」
ガラスケースの奥はすぐキッチンで、香ばしいいい匂いが漂ってきます。
数人の女性スタッフがカップケーキのクリームをトッピングしたり、
焼きたてのブラウニーを切り分けています。
ジェニファーさんに、お店をオープンしたきっかけを聞きました。
「2010年、ニューヨークにTulu’sを最初にオープンしたのは
パートナーのタリーです。
セリアック病にかかっていたタリーは、
患者でも安心しておいしいケーキやクッキーが食べられるお店が作りたかったんです。
私は最初はファイナンス系の仕事をしていましたが、
やはりセリアック病で、グルテンフリーのお菓子が作りたくて、
料理学校のクラスをとっていました、
そこの先生がタリーに紹介してくれて、
去年からいっしょに働くようになりました。」
でもグルテンフリーでおいしいケーキやクッキーを焼くのは、
実はそう簡単ではなかったそうです。
「グルテンというのはケーキやクッキーのやわらかな弾力を出すのに
重要な成分ですから、それを使わないでどうやってしっとりと美味しい商品を
作るかを、今でも常に研究しています。」
そんな努力のかいもあって、ニューヨークで初めての
グルテンフリーベーカリーは大ヒット。
どんなお客さんが買いに来るのか聞いてみました。
「ほんとうに様々な人たちです、
セリアック病の人もいれば、
そうではなくただウチの商品が気に入ってくれている人も。
またデイリー・フリーやヴィーガンの商品もありますから、
子供から大人までたくさんのファンが買いに来てくれます。」
とにかく今ニューヨークで注目されているグルテンフリー食品ですが、
その大ブレイクに一役買ったのは、実はアメリカのセレブたちでした。
メディアでグルテンフリーが話題になってきたのは2年ほど前、
エリザベス・ハッセルバックが、セリアック病にかかり、
グルテンフリー・ダイエットをして痩せたことから、真似するセレブが続々、
レディガガもグルテンフリーのファンだそうです。
でもグルテンフリー食品とやせる因果関係は証明されていないために、
批判されることもあります。
それだけでなく、グルテンフリー食品がもてはやされるのを、
ただの健康ブームと言う人も言います。
でもジェニファーさんはこう反論します。
「これは一時の流行とかそういう問題ではありません。
私は一つの食品を選ぶのに、パッケージの成分表を5回は読み直します。
お店の人に聞いたり、会社に電話して問い合わせる時もあります。
それでもわからない時は、絶対に冒険しない。症状が出てしまってからでは遅いんです。
私たちセリアック病患者は一生こういう食生活を送らなければならない。
私にとっては自分の体を大切にするとうライフスタイルなんです。
だからこういうアレルギーを持つ人にとって、
食べ物が限られるよりは、
より多くのグルテンフリー食品が出回って、
限りないチョイスがある方がずっといいと信じています。」
本当にアレルギーのある人にとっては深刻な問題。
アメリカでは実に子供の13人に一人は何らかの
食物アレルギーを持っているという数字もあるんです。
だから家族の中で一人、特別な食事しなければいけない人がいる場合も、
みんながいっしょにそれを食べられる、料理の素材から、レストランまで、
たくさんの中から選べる、それは本当に素晴らしいし必要な事ですよね、
ジェニファーさんは間もなく、グルテンフリーのアイスクリームコーンや
グルテンフリーのクッキーでアイスクリームサンドイッチも作って販売するそうです。
グルテンアレルギーでも、コーンにトッピングしたアイス、食べたいですものね。
そしてアレルギーがない人でも、それが美味しくてヘルシーと感じられるなら、
体も心も元気になれるのではないでしょうか?
ニューヨークのグルテンフリーは、
みんなでいっしょにもっとヘルシーに、
美味しく生活したいニューヨーカーにとって、
ライフスタイルの大切なキーワードになりつつあります。
シェリーめぐみ
ニューヨーク在住、フリージャーナリスト&プロデューサー。
アメリカを日本に伝え、日本をアメリカに伝える相互プロジェクトを数多く手がける。
J-POPファンのための英語サイトSAMURAIBEATRADIO.com(サムライビートレイディオ)」
ブラックコミュニティと日本をつなぐメディアHARLEM2NIPPON.comをプロデュース。
BLOG:http://megumiradio.com