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7月2日(月)スペインから中村美和さんのレポートです。

今日は、「ユーロ2012」制覇にわく「スペイン」とつなぎますよ~。


※ユーロ2012の決勝戦、ご覧になったでしょうか?
スペインが4-0でイタリアを下し、2大会連続の優勝という、史上初の連覇を達成しました!
今は、もうスペイン中が大騒ぎではないでしょうか。

そんなスペインから、レポートを届けてくれるのは、マドリッドにお住まいで、ソフトウェアのエンジニアをされている「中村美和」さんです。

Q中村さん、まずは、スペインの優勝おめでとうございます!
決勝はどちらで観戦されていましたか?

私は地元のBarで飲みながら盛り上がって観戦していました。
かなり早い時間からみんなユニフォームを着て国旗を掲げたりして準備も万端で試合を迎える状態でした。


私が居たBarでは得点が入る時など、子供から大人までたくさんいらしたんですが、みんなテーブルの上に乗っかって踊ったりして大騒ぎでした!!

試合の前からクラクションも鳴りっぱなし。
外にいても点が入ったり、試合の様子が分かるほどの騒ぎようでしたね。


Qマスコミでは、どのように伝えられていますか?


ユーロの連覇、W杯と3つ目の国際大会のタイトルを手にしたのでこれはスゴイことだと報道されています。

スペイン、ポルトガル戦は国内で視聴率87.3%を記録しました。

全ての人が見ているという状態ですしね。

⇒ 準決勝、PKに隠されたドラマ
90分、延長でも決着がつかずPKだったんですけど、準決勝の試合はスペインの人はある試合を思い出していました。

PKといえば、マドリードファンにとっては、今年4月25日におこなわれた
チャンピオンズリーグ準決勝のバイエルン戦のPKを思い出さずにはいられません。
キッカーは、クリスティアーノ・ロナウド、カカ、シャビ・アロンソ、セルヒオ・ラモス。
そして、この試合ではなんと、シャビ・アロンソ以外の全員がPKを失敗し、敗退という
苦い思い出があります。

そして、今回のユーロの準決勝、スペイン対ポルトガル戦は0-0のまま、決勝への切符は再びPK戦へとゆだねられます。


そして、今回、奇しくも、レアル・マドリードのそのときのPKのキッカーのうち、カカを除く3人のキッカーとゴールキーパーのカシージャスがスペイン・ポルトガルが敵味方に分かれて、対峙することになったのです。


この大きな勝負のかかった、一発勝負のPK。
2ヶ月前の手痛い失敗を思えば、あの大舞台で失敗することの恐ろしさが過ぎります。


しかも、前回のPKで唯一キックに成功したシャビ・アロンソが、レアルマドリーでの嫌な記憶が蘇ったのか、一本目を失敗。
二人目のキッカーのイニエスタと、三人目のピケは順調に成功したものの、四人目のキッカーはセルヒオ・ラモス。
彼こそ、2ヶ月前の失敗を思い出して、物凄いプレッシャーがあるはずです。
しかし、そんな状況で、彼はなんと、横に動きかけた相手ゴールキーパーの裏をかいてゴールネットのど真ん中にふわりと柔らかいゴールを決めてみせるというなんとも豪胆なパネンカというシュートをやってのけます。


普通の人間ならば、そもそもその場面で「自分が蹴る」という立候補すらも迷ってしまう場面です。
なんという勇気でしょうね。
試合後、ラモスは自分をキッカーに選んでくれた監督に対して「監督とは長い付き合いだし、僕がちょっと頭がおかしいって知ってるからね。
PKなんて、相手守備の邪魔もなく、落ちついて蹴れるんだから、簡単なもんだろ?」
とうそぶいてみせます。
あの失敗の後でも、本気でこう言えて、実際に、あの大舞台にびびることなく
あんなシュートを蹴ってしまうラモスは、やっぱり天才か何とかの紙一重?なのかもしれません。

5人目のキッカーのセスクも無事にゴール決めて、
ポルトガルのキッカーの幻の5人目だったといわれているクリスティアーノ・ロナウドの
出番を待つことなく、スペインが勝利!
スペインのゴールキーパーのカシージャスは、チームメイトであるクリスティアーノ・ロナウドが蹴っていたら大きな脅威だっただろう、と試合後にコメントしていますが、
チャンピオンズリーグでの同じPKの失敗に、一歩も引かないどころか
むしろ、嬉々として敢然と立ち向かったラモスと5番目のキッカーに回ってしまったロナウドで、勝敗の明暗が分かれた、という見方もできるかもしれません。


この試合のMVPは、セルヒオ・ラモスが獲得し、スペインは決勝への切符を手に入れました。

Qでは、今回のユーロを振り返ってみていかがですか?

Qフォワードのビジャがいなかったのは、きつかったですね?


⇒- 最多ゴールフォワードの不在&守備の要の不在

2008のユーロ、2010ワールドカップの二つの優勝の最多ゴールFWである
ダビド・ビジャが、日本で開催されたクラブワールドカップでの骨折後、
回復が間に合わず、今回のユーロには出場できず、
センターフォワードである9番のポジションを3人のフォワードの誰が代役を務めるかをめぐって、大会前から大きな注目が集まっていました。

しかし、ユーロ初戦となるイタリア戦で、代表監督が選んだのは、なんと9番をおかない0トップ。3人のフォワードを抑えて、本来はMFのセスク・ファブレガスが攻撃を担当することに。
先発メンバーに選ばれたことで、ファンもメディアも驚きましたが、セスク本人が、「自分が一番驚いた」とコメントしたほどの意外な結論。

その後、今回のユーロは、この9番ありと9番なしを、一試合の中で切り替える戦略をとり
決勝まで勝ち進んできました。
それだけ、選手層が厚いことが、スペインの強みといえるかもしれません。

同じことは守備にも言えます。
今大会、守備の要であったプジョルがやはり怪我で離脱してしまったために守備に関する不安もささやかれていましたが、これまで、プジョルに頼っていたピケやラモスといった守備陣が奮起。
この二人の選手は、バルセロナとレアルマドリーで不仲説すらもありましたが、初戦のイタリア戦の一点以外は、すべて0点に抑えるという、プジョルの不在を補って余りあるほどの、安定した守備力を発揮しました。


Qユーロ2012でサッカーにわいたヨーロッパですが、今は、スペインやギリシアなど経済危機が大きな問題となっていますよね。
その影響は感じられましたか?

⇒経済よりもサッカー?

連日、ユーロ危機が新聞やテレビを騒がせていますが、ちょうどユーロのスペインの初戦の当日は、スペインの経済危機を支援するため、EUが支援金を用意するかどうか、という決定がなされる緊急会議が行われていました。

本来なら、対応に追われているはずのスペイン政府ですが、
そんな中でも、スペイン首相のラホイは、ユーロのスペイン初戦を現地観戦するために
ポーランドへ行く、という予定を発表し、国民からも非難が集まりました。

結局、最大1000億ユーロ(約10兆円)規模の支援を用意するというユーログループの発表を受け、
記者会見を開いたラホイ首相は、そのままポーランドへ移動してサッカー観戦を強行しました。

これを、「経済よりもサッカーなのか?」と見るか、「そのくらいの余裕をアピール」と判断するのかわかりませんが、どちらにしても、日本では考えられないことですね。


この後も優勝パレードもありますので、楽しみます!!