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8/30(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、シェリーめぐみさんからの報告です!

先週お話してから、ニューヨークではびっくり!の事件が起こりました。
有名なランドマーク・ビルディング、102階建てのエンパイアステートビルの前で、
銃撃事件があったんです。
金曜日の朝9時ちょっと前、ちょうど通勤ラッシュの時間で、大騒ぎになりました。
私もちょうどその時間、歩いて10分の場所にいたので、ちょっとどきっとしました。

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亡くなった二人の男性、撃った犯人と撃たれた男性は、
もと上司と部下だったんですね。
犯人は1年ほど前に解雇された部下。この上司を恨んでいたと報道されています。
犯人も警官に撃たれて亡くなりましたが、巻き込まれた通行人も
数人が怪我をしました。

実はこの犯人の男性は、解雇された後も毎日スーツを着て出かけていたから、
近所の人はまったく異変に気がつかなかったと言うんです。

本当に胸が痛くなったし、
私たちは本当に大変なストレス社会に生きているんだな、と実感します。

そんな中で夏休みもそろそろ終わり、
アメリカもBack To School=新学期 という話を先週しましたが、

学生のように長くは休めない労働者にとっては、うれしい3連休が今週やってきます。
9月第一月曜日は、レイバーデー、 訳すと労働者の日ですが、
最後の夏を楽しんでから仕事に戻ろう!ということで、
ビーチに出かけたり、バーベキューしたり、

テニスを見に行く人もたくさん
現在ニューヨークのナショナルテニスセンターでは、
全米オープンテニスも開催中!
錦織くん!初戦突破しましたね! 
今日、この後ニューヨーク時間朝11時から2回戦です。

ところでChigusaさんこの夏何か本を読みました?

夏と言えば読書、
今年のはじめからずーっとベストセラー
アメリカでは2000万部売上たすごい本があります!

「Fifty Shades of Grey(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)」 3部作、
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こんなに売れているのに、意外と日本まで情報が伝わらないのは、
「私も読んでます!」と大きな声で言いにくい本だから。。。。
いったいどんな本なのか、今日はレポートします。

本の話をする前に、最近ニューヨークの通勤の地下鉄に乗っていると、
気づくことがあります。
キンドルなどで電子書籍を読んでいる人がすごく増えてきているんですね。
私も今年になってから買った本はほとんど全部ebook

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近くで本が変えなくなってしまったのも大きな理由です。
もともと東京のようにどの駅前にも本屋がある国ではないのですが、
行きつけの大手ブックストアが、2件立て続けに閉店してしまいました。

不況のせいもありますが、
電子書籍の影響も小さくはありません。

聞きたい時すぐダウンロードできる音楽と同じように、読みたい時にすぐ読める。
しかもベストセラー本などはハードカバーで買うより安い。

そしてもうひとつ、誰にも知られずに買って読む事ができる!

実は今アメリカで空前のベストセラーになっているのは、
まさに「人に知られずこっそり読みたい本」なのです。

そのタイトルは、
「Fifty Shades of Grey(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)」

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この3部作はイギリスでは早々とハリー・ポッターシリーズを超えてしまいました。

アメリカではインディーズ発売から1年ちょっと、
メジャー発売からはたったの数ヶ月で驚きの2千万部を売り上げ!
ちなみに、その半分近くは電子書籍ということです。

そして今も、ニューヨークタイムスのベストセラーリストの
1位から3位を延々独占しています。
もう現象化していると言ってもいいでしょう。

私たち女子の間でも、この夏「ねえ、読んだ?」
「えっヤダー読まないわよ!」というような会話が繰り広げられました。

なぜ「ヤダー読まないわよ!」なのか? それをご説明しましょう。
ただし、ガールトークではなくラジオ番組なので、言葉を選んでお話します。

「Fifty Shades of Grey」は恋愛小説です。

主人公は大学を卒業したばかりの女性、
彼女が恋に堕ちる相手の名前が、クリスチャン・グレイ。問題のグレイさんです。

このグレイさまが、
想像を絶するお金持ち
ギリシャ神話の神のように超ハンサムでセクシーでミステリアス、
まさにロマンス小説、理想の主人公。

ところがなんと驚いたことに、グレイさまの正体は。。。。
(一回しか言いませんよ)
SMのS(エス)!

なんと「Fifty Shades of Grey」は官能小説だったんです。

それがニューヨークタイムスのベストセラーリストのトップって、
いったいアメリカ人もイギリス人も、どうしちゃたの?と驚かれた方、

このポイントだけに気を取られると本当の理由はわかりません。

というのは「Fifty Shades of Grey」には、
多くの女性を魅了する、もう一つの秘密があるからです。

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やはり現象化し映画も大ヒットした「トワイライト」を覚えていますか? 

ヴァンパイアが主役のティーン向けラブロマンス小説ですが、
「Fifty Shades of Grey」のオリジナルはトワイライトの
ファン・フィクションなんです。

ファン・フィクションというのは、原作のキャラクターや設定をもとに、
勝手に自分たちの好きな物語を作という楽しみ方で、
日本の同人誌と似ているかもしれません。

トワイライトのファン・フィクションはなんと、
20万ストーリーあると言われハリポタにいたっては60万!
人気のストーリーが読める専門サイトもあります。

「フィフティ・・・」はある女性グループが自分たちのストーリーを出版しようと、
オンライン小説の人気作家だったE. L. Jamesに執筆を依頼。
E. L. ジェームス、男性のように聞こえますが、女性です。

つまり、女性が読みたいものを徹底的に女性視点で書いた本なんです。

憧れや欲望、好奇心や冒険心を満たしてくれて、
しかも「プラダを着た悪魔」調の、フレッシュなタッチで読みやすくて、
なるほどー、ヒットするのも当然だよねと感心してしまうほど。

あるラジオ番組の女性パーソナリティが、
「私たち現代女性は仕事と子育てと夫の世話で疲れきってストレスがたまっている。
でもこのストーリーでは、女性にとことん尽くしサービスするのは男性の方。
そこがアピールするのではないか。」とコメントしていましたが、

現実にはありえないようなお話を読んで、何と言うかこう・・・
癒されていると言ってもいいかも?

そして、癒されているのは女性だけではありません。

振り上げ不振だった大手ブックストアチェーンも、
息を吹き返しているというニュースもあるくらいです。

そして、もちろん映画化の話も。すごい噂になっています。

とにかく「Fifty Shades of Grey」は、
ネット時代を象徴するベストセラーと言っていいでしょう。

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シェリーめぐみ  
ニューヨーク在住、フリージャーナリスト&プロデューサー。
アメリカを日本に伝え、日本をアメリカに伝える相互プロジェクトを数多く手がける。
J-POPファンのための英語サイトSAMURAIBEATRADIO.com(サムライビートレイディオ)」
ブラックコミュニティと日本をつなぐメディアHARLEM2NIPPON.comをプロデュース。
BLOG:http://megumiradio.com