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6/14(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

事件です。JEROさんがニューヨークに!!

ニューヨークの日系人社会は騒然
噂には聞いていたけれど、見た事がない人がほとんどだった。

日本文化の発信拠点、ジャパンソサエティでのコンサート見てきました。
素晴らしかったですね!

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そして、今回発見できてうれしかったのは、
本当に日本とアメリカをつなぐ存在なんだな。

ニューヨークと同じ東海岸のピッツバーグ出身、
ほとんど里帰りに近いコンサートでしたが、
ジェロにはこのライブで、伝えたかった事があるんです。

何でしょうか?

今日は本人の言葉で聞いてもらいます。

まずはコンサートを見終わったばかりのファンの声から。

「アイシャです。
ネブラスカ州からジェロのコンサートのためにやってきました。
Youtubeで偶然知ってファンになり、少しずつ演歌を聞き始めました。
このコンサートの事を知ったのはついおとといで、
キャンセル待ちのチケットをめあてに来ましたが、
素晴らしいコンサートでした。」

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アメリカで育ったショーンくんは、
日本で生まれてアメリカに移り住んだお母さんといっしょでした。
「ジェロはファンなので、とてもエキサイティングでした。」
「私も演歌が好きです。ジェロの歌を聞くと日本を思い出しますね。
海雪のころからずっとファンだったので、すごくよかったです。」

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やはり日本語と英語まじりで答えてくれた女の子は、日本で生まれのアメリカ育ち。
「山中りえこです。友達に教えてもらってファンになったので。
歌詞も日本人らしくて心にうったえます。ジェロも自分と同じ、
異文化をルーツにしているところも共感できるんです。」

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ソールドアウトのコンサートは、8割が日本人、日系人、
そして2割がアイシャさんのようなアメリカ人。
ブルーのスーツのジェロが登場すると、いきなりスタンディングオベーションでした。

歌は全部日本語ですが、MCは全部英語。

「みなさんは演歌というジャンルを知らないかもしれませんが、8割が悲しい歌です。
後の2割は、そうではない歌ですよ。」なんて笑いをとったり。
笑顔が絶えないコンサート。

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曲はデビュー曲の「海雪」から、美空ひばりの「越後獅子の歌」「津軽平野」まで。
アンコールは、アメリカでは「スキヤキ」のタイトルで60年代に大ヒットした、「上を向いて歩こう」

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実はこの日は2部構成で、
前半はインタビュー形式によるトークショー。


みなさんはもうよくご存知かもしれませんが、
ピッツバーグで育ったジェロの家では、
いつも日本人のおばあちゃんが好きな演歌が流れていて、
おばあちゃんを喜ばせたくて、歌い始めたこと。
 
そして、13歳まで日本で育ったお母さんが、
嫌な思い出しかないと、ほとんど話してくれないけれど、
かわりに演歌が、日本と家族をつなぐ絆になっていること。

その家族の物語が、
やはり日本を遠く離れて生きている日本人、
そしてアメリカ人の心にも強く響いたんです。

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その証拠に、彼らがコンサートで一番よかった、という曲も「晴舞台」という曲でした。

「お母さんに捧げた曲が、歌詞もぐっときました。」
「なんか体がふるえちゃいました」

ニューヨークのオーディエンスを感動させたのは、
ジェロの家族への思いだけではありません。例えばこのニューヨーカー、マイケルさんは、


「実は妻が日本人で、間もなく日本に引っ越します。
ジェロのことはすごく尊敬しています。
日本に順応し、日本語も演歌が歌えるほどまでになったというのは、すごいと思います。」

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前半にも登場したアイシャさんは
「ジェロはほとんど不可能に近い事をやりとげたと思います。
私も日本語を勉強して日本に行きたい。
それも旅行ではなく、住んで異文化を体験したいんです。」

そんな彼らに対して、ジェロ自身はどう思っているんでしょう?

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「日本に対して興味がある人は、ぜひ一度、飛行機は長いんですが、
一度来て、色々経験した方がいいと思いますね。
やっぱり実際住み始めないと、それぞれの良さ、アメリカ、日本の良さはわからない。
アメリカに帰ってくる時はほっとする場所もあるし、
逆に日本に戻ってほっとする場所もあるので。」

日本の若者は外国に行きたくない、内向きになっていると聞きますが。

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「いや、どうですかね、そうでもないと思うんですけどね。
僕の世代では、外国に行ったことがある人がほとんどですから。
いや、必ず行った方がいいと思いますね。いい経験になりますし、
得られるものがたくさんあると思います。」

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そして最後に
ニューヨークのオーディエンスに、
ジェロが一番伝えたかったのは何だったのでしょう?

「自分みたいな人が存在するだけでいいと思うんですね。
おばあちゃんが日本に生まれて、お母さんが日本のハーフで、僕がクォーターなんですけれど、
日本のルーツがあって、アメリカでも日本のことを知って、
僕が日本に戻ったというのはなかなかないパターンだと思いますが、
僕みたいな人が存在するということを、わかってくれたらうれしいですね。」

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「自分のような人が存在しているだけでいい」

ジェロらしい控えめな、でも自分の立ち位置をしっかり見据えている力強い言葉。

まさに彼が存在してくれているおかげで、
日本人もアメリカ人も、新しい世界への可能性を発見することができました。

簡単には言い尽くせないほど、さまざまな意味で、
ジェロは日本とアメリカの人と文化をつなぐ、
真にユニークで大切な存在だということを、
再発見させてもらった一夜でした。

Photo by Megumi Shelley

佐藤めぐみ
ニューヨーク在住、フリージャーナリスト&プロデューサー。
アメリカを日本に伝え、日本をアメリカに伝える相互プロジェクトを数多く手がける。
J-POPファンのための英語サイトSAMURAIBEATRADIO.com(サムライビートレイディオ)」
ブラックコミュニティと日本をつなぐメディアHARLEM2NIPPON.comをプロデュース。
BLOG:http://ameblo.jp/meguminy