事件です。JEROさんがニューヨークに!!
ニューヨークの日系人社会は騒然
噂には聞いていたけれど、見た事がない人がほとんどだった。
日本文化の発信拠点、ジャパンソサエティでのコンサート見てきました。
素晴らしかったですね!
そして、今回発見できてうれしかったのは、
本当に日本とアメリカをつなぐ存在なんだな。
ニューヨークと同じ東海岸のピッツバーグ出身、
ほとんど里帰りに近いコンサートでしたが、
ジェロにはこのライブで、伝えたかった事があるんです。
何でしょうか?
今日は本人の言葉で聞いてもらいます。
まずはコンサートを見終わったばかりのファンの声から。
「アイシャです。
ネブラスカ州からジェロのコンサートのためにやってきました。
Youtubeで偶然知ってファンになり、少しずつ演歌を聞き始めました。
このコンサートの事を知ったのはついおとといで、
キャンセル待ちのチケットをめあてに来ましたが、
素晴らしいコンサートでした。」
アメリカで育ったショーンくんは、
日本で生まれてアメリカに移り住んだお母さんといっしょでした。
「ジェロはファンなので、とてもエキサイティングでした。」
「私も演歌が好きです。ジェロの歌を聞くと日本を思い出しますね。
海雪のころからずっとファンだったので、すごくよかったです。」
やはり日本語と英語まじりで答えてくれた女の子は、日本で生まれのアメリカ育ち。
「山中りえこです。友達に教えてもらってファンになったので。
歌詞も日本人らしくて心にうったえます。ジェロも自分と同じ、
異文化をルーツにしているところも共感できるんです。」
ソールドアウトのコンサートは、8割が日本人、日系人、
そして2割がアイシャさんのようなアメリカ人。
ブルーのスーツのジェロが登場すると、いきなりスタンディングオベーションでした。
歌は全部日本語ですが、MCは全部英語。
「みなさんは演歌というジャンルを知らないかもしれませんが、8割が悲しい歌です。
後の2割は、そうではない歌ですよ。」なんて笑いをとったり。
笑顔が絶えないコンサート。
曲はデビュー曲の「海雪」から、美空ひばりの「越後獅子の歌」「津軽平野」まで。
アンコールは、アメリカでは「スキヤキ」のタイトルで60年代に大ヒットした、「上を向いて歩こう」
実はこの日は2部構成で、
前半はインタビュー形式によるトークショー。
みなさんはもうよくご存知かもしれませんが、
ピッツバーグで育ったジェロの家では、
いつも日本人のおばあちゃんが好きな演歌が流れていて、
おばあちゃんを喜ばせたくて、歌い始めたこと。
そして、13歳まで日本で育ったお母さんが、
嫌な思い出しかないと、ほとんど話してくれないけれど、
かわりに演歌が、日本と家族をつなぐ絆になっていること。
その家族の物語が、
やはり日本を遠く離れて生きている日本人、
そしてアメリカ人の心にも強く響いたんです。
その証拠に、彼らがコンサートで一番よかった、という曲も「晴舞台」という曲でした。
「お母さんに捧げた曲が、歌詞もぐっときました。」
「なんか体がふるえちゃいました」
ニューヨークのオーディエンスを感動させたのは、
ジェロの家族への思いだけではありません。例えばこのニューヨーカー、マイケルさんは、
「実は妻が日本人で、間もなく日本に引っ越します。
ジェロのことはすごく尊敬しています。
日本に順応し、日本語も演歌が歌えるほどまでになったというのは、すごいと思います。」
前半にも登場したアイシャさんは
「ジェロはほとんど不可能に近い事をやりとげたと思います。
私も日本語を勉強して日本に行きたい。
それも旅行ではなく、住んで異文化を体験したいんです。」
そんな彼らに対して、ジェロ自身はどう思っているんでしょう?
「日本に対して興味がある人は、ぜひ一度、飛行機は長いんですが、
一度来て、色々経験した方がいいと思いますね。
やっぱり実際住み始めないと、それぞれの良さ、アメリカ、日本の良さはわからない。
アメリカに帰ってくる時はほっとする場所もあるし、
逆に日本に戻ってほっとする場所もあるので。」
日本の若者は外国に行きたくない、内向きになっていると聞きますが。
「いや、どうですかね、そうでもないと思うんですけどね。
僕の世代では、外国に行ったことがある人がほとんどですから。
いや、必ず行った方がいいと思いますね。いい経験になりますし、
得られるものがたくさんあると思います。」
そして最後に
ニューヨークのオーディエンスに、
ジェロが一番伝えたかったのは何だったのでしょう?
「自分みたいな人が存在するだけでいいと思うんですね。
おばあちゃんが日本に生まれて、お母さんが日本のハーフで、僕がクォーターなんですけれど、
日本のルーツがあって、アメリカでも日本のことを知って、
僕が日本に戻ったというのはなかなかないパターンだと思いますが、
僕みたいな人が存在するということを、わかってくれたらうれしいですね。」
「自分のような人が存在しているだけでいい」
ジェロらしい控えめな、でも自分の立ち位置をしっかり見据えている力強い言葉。
まさに彼が存在してくれているおかげで、
日本人もアメリカ人も、新しい世界への可能性を発見することができました。
簡単には言い尽くせないほど、さまざまな意味で、
ジェロは日本とアメリカの人と文化をつなぐ、
真にユニークで大切な存在だということを、
再発見させてもらった一夜でした。
Photo by Megumi Shelley
佐藤めぐみ
ニューヨーク在住、フリージャーナリスト&プロデューサー。
アメリカを日本に伝え、日本をアメリカに伝える相互プロジェクトを数多く手がける。
J-POPファンのための英語サイトSAMURAIBEATRADIO.com(サムライビートレイディオ)」
ブラックコミュニティと日本をつなぐメディアHARLEM2NIPPON.comをプロデュース。
BLOG:http://ameblo.jp/meguminy