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11/10(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

11月の最初の日曜日から、
ニューヨークは夏時間から標準時間(冬時間)に戻りました。

そしてニューヨークの11月の最初の日曜日といえば、
年に一度のビッグイベント!

NEW YORK CITY MARATHON!! マラソンサンデーです。

ニューヨークシティマラソンといえば、世界最大級の市民マラソン
ニューヨーク市の5つの区を全部走りぬけ、
最後は紅葉のセントラルパークでフィニッシュ!
今年はニューヨーカーはもちろん、全米、
そして世界中から4万7千人が参加しました。

日本から走りにいらした方多かったと思います。

マラソンの規模、世界からの注目度、その経済効果、
どれをとっても世界最大級ですが、

ニューヨーカーが何よりも誇りにしている事があります。

それは、沿道の応援。
なにしろスタートからフィニッシュまで、
250万人もの人が鈴なりになって、応援しまくる。

その中にはもちろん日本人、ジャパニーズニューヨーカーもいます。

今日は2011年のニューヨークシティマラソンをレポートします。

参加ランナーの総数4万7千人、
沿道の応援250万人
市にもたらされる経済効果も去年よりおよそ8億円多い270億円
まさに不況知らず、世界最大級のマラソンイベント、
ニューヨークシティマラソン
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2011年、女子はエチオピアのフレフィオツ・ダドが
2時間23分15秒で優勝。
男子は今年のボストンマラソンも制覇したケニアの
ジェフリー・ムタイが、大会新記録の2時間5分6秒でフィニッシュ。

そんな世界のトップランナーによる優勝争い以上に
ニューヨーク市民が注目しているのは、アマチュアランナーたちのがんばり。
ニューヨーカーなら必ず知り合いの1人や2人はこのレースに出場しているから
応援にも力が入るんです。


この「応援」こそが、ニューヨークシティマラソンの最大の魅力。
スタートからフィニッシュまで沿道のほぼすべてが「特等席」
コース沿いの住人はこぞって家の前で応援
友達や同僚が通過するときはプラカードや鳴りものを持って大騒ぎ。
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知らない人にも「がんばれ!あと少し!」と声をかけまくる。
さらに音楽の応援もすごい!
トータル130ものバンドがロックやファンク、サルサまで
あらゆる音楽をプレイ!
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バックに聞こえているのはこの番組を放送している
「アップタウンスタジオ」の近所、ハーレムというエリアにある通過地点。

ちょうど地元バンドがレゲエをプレイする前を、
ランナーが次々に通過していきます。

ゴールのセントラルパークの42.195キロの間ずっとこんな応援が続くんです。

ゴールのセントラルパークで完走したランナーに聞いてみました。
最初のランナー、オランダから来たニールさん、タイムは3時間6分。
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「もう11回目のフルマラソン、ニューヨークは2回目だ。
最初はよかったが残り2マイルは、5番街の上り坂がつらかった。
でもニューヨーカーの素晴しい応援で乗り切れたよ。」

次のランナーは、テキサスから来たサラさん。タイムは3時間7分
「ニューヨークマラソンは初めてだけど、ファン、観客の応援が最高
特にマンハッタンに入って来るところの盛り上がりがすごい」
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そして、ドイツから来たランナー、フランツさんのタイムは2分55秒、
「初めてのニューヨークシティマラソン。
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特に応援が素晴しいマラソンだと聞いていたが、その通りだった。
とにかくみんなの叫ぶような歓声の中では、スローダウンなんてできない。
どんどん早く走ってしまうんだ。」

日本人のランナーもつかまえました!
「愛媛県から来た、おち やすふみです。タイムは3時間32分。
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初めてのニューヨークマラソン、初めてのフルマラソンで死ぬかと思いました。
区切り区切りきついところがあったんですが、
一番きつかったのは35キロからですね。
けど、ところどころ日本人の方が応援してくれたので、元気づけられました。
日本の国旗があったので。きつくてもそこに寄って行って
イエーなんて言ってました。」

日本人もあちらこちらで日の丸を持って応援していました。
とにかくあの応援があったから完走できた、というランナーたち、
そしてニューヨーカーの方も、「私達が応援頑張らなくてどうする!?」 
と、すごく張り切るし、それを大きな誇りにしています。

さあ後半は、マラソン中継では決して見られない、
ニューヨークシティマラソンで走り終わった後の舞台裏をレポートします。

あまり知られていませんが、実は一番最初にゴールするのは、
およそ200人の車いすランナーたち。
その車いす部門で優勝したのは、なんと日本人です!
副島正純さん。1時間31分41秒で初優勝、素晴しい!!

とにかく4万7千人も走るわけですから、
3時間をきるような早いランナーもいれば、
5時間も6時間もかかってゴールする人もたくさんいます。

完走したランナー全員にゴールドメダルが贈られ
身体を冷やさないためのアルミマントをかけてもらった後、
セントラルパークのすぐ前の路上に設置された、
ホールディングエリアに向かいます。
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スタート前に預けた服や荷物が、
ゼッケンのナンバーがついたビニール袋に入って、ずらり。
それをピックアップして、その場で汗にぬれたシャツを着替える人もたくさんいます。

友達や家族が待ち構えていて、
「おめでとう!」とハグしあったり、花束をプレゼントされたり。

でも中には、つかれきって路上に座り込んでしまっている人、
救護班の手当を受ける人もいました。

またかなり多くのランナーは、
そのまま着替えもせずに1人で、フツーに地下鉄に乗って
家に帰る人もけっこういるんです。
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つかれた足を引きずように1人で歩いていた男性。
家に帰ったら誰か待っててくれるのかな?
普段はどんな生活をしているのかな、なんて思いながら見ていると、
すれ違う見知らぬ人が次々に「CONGRATULATIONS おめでとう!」
と声をかけていくんです。
これもニューヨークマラソンならではの光景。
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マラソンを完走したという何ものにもかえ難い充実感と自信を胸に、
静かに日常に戻って行く姿、それをねぎらうニューヨーカー、
すてきだな、と思いました。

4万7千人のひとりひとりに、それぞれの人生がある。
それは実は応援する側も同じ。
長引く不況の中で耐える毎日を送っている私たちニューヨーカー、
苦しくても走り続けるランナーを大声で応援しながら、
実は勇気をもらったのは私達の方かもしれません。

それはニューヨーカーだけではありません。
実は、前半に登場してくれた日本人おちさんが走る前に考えていたのは、
今大変な試練を迎えている日本の事だったといいます。
そんな日本へのメッセージはありますか?と聞いてみました。

「どんなにきつい事があってもあきらめずにやる事が、
今後の人生につながってくると思いますので、がんばってください」

走る方も応援する方も、
私達ニューヨーカーが2011年のニューヨークシティマラソンからもらった、
たくさんの元気と勇気、日本のみなさんにも届きますように!

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers