ニューヨークは国連総会開催中、マンハッタンは大渋滞中です。
しかも車道だけでなく、舗道も大混雑。。。
1年前に比べ確実に人が増えているのを実感。
さらに自転車道。。。。ニューヨークでは自転車通勤を奨励しているのです。
でも実際は、交差点では信号無視する人と
(ニューヨーカーは青信号を待ちません)
自転車と、なんとかして少しでも進もうという車の3つどもえで、
大変なことになっています。
そんなニューヨーク、確実に季節はうつりかわり、
時代が変わっていくのを感じています。
特にこの秋、911の10周年があったこと、
そして、ワールドトレードセンターに10周年にして、
ついに追悼碑が完成し、先週、911の翌日から一般公開されたことです。
実はこの追悼碑はフラっと行っても入る事はできません。
誰でも、そして無料で入れるのですが、
オンラインで予約しなければならないんですね。
そしてその予約が始ったのが2ヶ月前、7月11日でしたが、
私はその日の夜に予約試みて、とれたのが今週月曜日19日でした。
今日のレポートはそのワールドトレードセンター、911メモリアルミュージアム、
追悼碑をレポートします。
ワールドトレードセンターというのは7つの高層ビルが集まる
ビルディングコンプレックスで、縦横が200メートル四方くらいの
かなり大きなエリア。
数年前まではただ工事現場だったこの場所、久しぶりに訪れるとびっくりします。
目の前には2013年完成予定の超高層ビルONE WORLD TRADE CENTERが
もう82階まできていて、2006年に再建された
7WORLD TRADE CENTERとともに、
既に新しいダウンタウンの風景ができつつあるんです。
しかし全体的には、まだ高いフェンスに囲まれた工事現場、
大型クレーンや、コンクリートミキサーがひっきりなしに通っています。
観光バスも通り過ぎて行きます。ここは観光地でもあるんですね。
でも中がどうなっているのかよくわからないし、
メモリアルミュージアムも外からはまったく見えません。
フェンスには「メモリアルミュージアムはこちら」という矢印がついています。
それに従って進むと、敷地の南のはしの空き地のような場所に、
もうたくさんの人が並んでいました。
そこでチケットと身分証明書をチェックして、建物の中に入ると、
まるで空港のようなセキュリティチェックポイントがあります。
金属探知期がずらりと並び、爆発物探知犬の姿も見えます。
そんな厳重な警戒のセキュリティチェックポイントをぬけて、
再び外に出ると、
そこは既にワールドトレードセンターの敷地内、
しかも工事現場のまっただ中でした。
フェンスの間の狭い通路を進みますが、視界に入ってくるのは大型クレーンや
巨大な鉄骨、地下に向かってぽっかり空いた穴など。
工事のノイズに圧倒されながら歩いて行くと、突然視界が開けました。
そこには秋の青空の下に、広大な緑の公園が広がっていました。
木々の間にはベンチがおかれ、人々がそぞろ歩き、
その雰囲気はごく普通の公園、
都会のオアシスといった雰囲気です。
でも普通ではないことは、すぐにわかります。
警官の姿がとても多いし、
緑の木々の向う、ちょうどサウスタワーがあった場所は、
たてもののフットプリントがそのまま、
巨大な四角いプールになり、
その四方からは水が滝のように流れ落ちています。
プールの四方は黒い大理石で、そこに犠牲になった方の名前がほりこまれています。
名前の上に薔薇の花をたむけている人もいらっしゃいました。
みんな静かにそれをながめたり、写真をとったりしながら過ごしています。
私もそこで一人黙祷しました。
サウスタワーの反対側、ノースタワーがあった場所にも、
同じようにプールが作られています。
その真上には、建設中のONE WORLD TRADE CENTERがそびえています。
ここに立って、まるで水のカーテンのような滝を見ながらこの水音を聴いていると、
まわりは工事現場なのに、たくさんの人もいるのに、
この水しか見えない、音しか聞こえない、そんな気持ちになっていきます。
工事現場のまっただなかに現れた、二つの美しい水の慰霊碑は、緑の木々がつくる、
癒しの空間でした。
かつてタワーがあった場所には、建物を一切作らずに
滝の流れ落ちるプールだけにしたのはもちろん、
その周りも含めトータルで広さ16エーカー、
およそ6ヘクタールもの広い敷地をつかった、ゆったりとした空間です。
もともと商業用地、普通ならより多くの建物を建てたいところを、
犠牲になった方々へのレスペクトということを何よりも優先し、
このような慰霊の空間が作られたことは、とても納得できる、
訪れた人の多くはそうコメントしていました。
そのビジターは、半分はニューヨーカー、中には家族づれ、
小さな子供達をつれた人もいました。
そして半分は世界中からのツーリスト。
それぞれの思いを胸にここを訪れ、また去っていく、そんな場所でした。
私自身はここを訪れることで、現実から一度切り離され、
10年という時間を巻き戻すことができた気がしました。
どうしても普段は忘れている事を、
ここに来れば思い出す、私たちにとって、とても大切な場所だと感じました。
そして、この不思議なほどピースフルな空間を後にすると、
そこには再び、現実のニューヨークが広がっていました。
何があっても生活は続いて行く、時間は流れていく。
それもまた大切なことなんですよね。
この911メモリアルミュージアム、
最初にお話したように、オンラインで予約してフリーチケットをとることができます。
アドレスは
http://www.911memorial.org/visitor-passes
ニューヨークに来たらぜひ訪れてみてください。
佐藤めぐみ ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers