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10/13(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!


日本もニューヨークも秋たけなわ!

秋のイベントシーズンでもありますが、
ニューヨークの2011年の秋で一番エキサイティングで熱い、
たくさんの若者達が集まっている場所は?

「デモ」です。

ニュースで見た事があるでしょう?

ニューヨーク、ウォールストリートからスタートした若者の抗議行動が、
世界中に広がっています。

彼らの活動、名付けて「OCCUPY WALL STREET」ウォールストリートを占拠せよ!

高い失業率、貧富の差の拡大、一部の富裕層への極端な富の集中、
その理由は、
「利益優先主義の大企業が、政治に与える影響が大きくなりすぎて、
政府がちゃんと機能していないからではないか」というのが彼らのメッセージ。

だから資本主義のシンボルである、ウォールストリートを矛先にしているんです。

この活動もう4週目に入っていて、
その動きは沈静化するどころか、ますます大きくなろうとしています。

いったいどんな人達がこの運動に参加しているのか?
あなたや私のような、ごくごくフツーのニューヨーカーたちです。

その証拠に、私も先週末開かれた集会に行って、
さまざまなニューヨーカーと話をしてきました。

実際に彼らはどんな事をしているのか?
そして、この活動ではモバイルやツイッター、フェースブックなどの
ソーシャルメディアが大きなパワーを発揮しています。

日本のテレビに写った画面だけではわからない、
OCCUPY WALL STREETの真の姿、参加者の声、今日はお聞かせします。


ニューヨークで今まさに起こっている草の根運動、
OCCUPY WALL STREET(ウォールストリートを占拠せよ。)
先週土曜日の集会に集まったニューヨーカー、
まずこの声を聞いてください。
「ニュースクール・ユニバーシティのトーリーです。
私も来年卒業ですが、大学の学費がとても高く、
それを支払うために私達が大きな借金をかかえて卒業することを、
この活動を通じて知ってほしいと思っています。」
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こんな学生をはじめ、卒業しても仕事がみつからない人、
やっと就職したのに不況で解雇されてしまった人
そしてビジネスマン、ドクター、プロフェッサー、アーティスト、
本当にさまざまな人がいました。
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まずこの抗議行動を最初からおさらいしておきましょう。
始まったのは9月17日(土)
ウォールストリートで2000人規模のデモでした。
デモが終わっても200人ほどの人は家に帰らず、
ウォールストリートの証券取引所の裏手にあるズコッティ公園でキャンプを始め、
同時に毎日のように集会や抗議行動を始めたんです。
そして10/1にはブルックリンブリッジでで、
車道をふさいだということで、参加者800人近くが逮捕。
そのあたりから、世界的にその活動が知られるようになったんですね。

今ではアメリカだけでなく、日本を含む世界の200以上の都市に、
同様の動きが広がっています。

そして先週土曜日には、ウォールストリートから、
4キロ離れたワシントンスクエアパークへデモ行進。
ここはベトナム反戦運動で世界的に知られる公園ですが、
ここに数千人の市民が集まりました。
手作りのプラカードを持った人。年配の男女。
小さな子どもや赤ちゃんをつれた夫婦。
一見フリーコンサートでも始まりそうな雰囲気なんです。。。
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人々の輪の中心には主催者がいて、
「OCCUPY WALL STREET」とは何たるかを説明。
でもスピーカーもマイクも違法になるから使えない、だから
肉声で彼の言うフレーズをすぐまわりの人々が大声で繰り返し、
それを外側の人々がリピートして、まるでエコーのように広がっていく、
ヒューマンスピーカーなんです。
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メッセージが続いています。

「アメリカの99%である我々の意図のひとつは、経済、政治エリートたちに、
今の混乱を作り出した責任がある事を、世の中に知らせる事である。」
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アメリカではトップの1%が富の3割を独占し、
残りの99%で7割を分け合っている、という実態を、
彼らは不公平の象徴としているんです。

その99%の普通の人達がこの運動をやっている理由はもちろん、
アメリカの経済がひどい状況になっているからです。
失業率は9%を越えて、ニューヨークでは5人に1人が
貧困ライン以下で生活しています。
アメリカ人の年収はこの2年間で7%近くも減りました。
今は仕事があっても明日はどうなるかわからない、
人ごとではない、今何かしなければ。という気持ちで参加しています。
小さな女の子を連れたお父さん、ビジネスマンのユダさんはこう言っていました。

「もう何度もこの集会に参加してきたけれど、
僕はこの運動がかかげるメッセージに100%賛同する。
政治が大企業の利益追求に支配されているというのは本当だ。
アメリカの今の民主主義というのはそういうもので、
おかげで人々はシニカルになり、何を言っても無駄だと思うようになっていた。
こんな動きは60年代以来じゃないだろうか。
ここには素晴しいエネルギーがあると思うよ。」

同じくビジネスマンのスティーブさんは、

「ひどい不公平がある事を、長い間みんなが感じていたが、
それをようやくはっきりと認め、言葉にして語りあい始めた。
それがもっと大きな力になることを願うよ。」

その「語り始めた」言葉で人と人とをつないだのは、
ツイッターなどのソーシャルメディアでした。
後半はこの運動のパワーになっているソーシャルメディアについてお伝えします。


この運動の中心では、いつも何台ものラップトップが目立っています。

彼らは、フェースブックなどのソーシャルメディアが
大きなパワーを持ったエジプト革命にインスピレーションを得ているんです。

これまで言葉にできなかったけれど、ツイッターだったらつぶやけた本音。
その本音がつながって実体化したのが、今の運動と言えるかもしれません。

そしてこの運動自体も、とってもソーシャルメディア的というか、
自然発生的というか、はっきりとしたリーダーは不在。上下関係もなし。
それが真の直接民主主義、と彼らは言っていますが、
とてもオーガニックな感じなのです。

私はそこが、これまでのどんな運動とも違う、
2011年らしい活動だと感じています。

実はあまりにオーガニックすぎて、逆に、
「いったい何をめざしているのかよくわからない」という
批判を浴びたりもしています。

でも彼らは今はそれでいい、と言うんですね。

「まだはっきりした要求をかかげていないのは、まだ形成段階だからだよ。
今はたくさんの声を出すべき時だ。
その中からやがて最も重要なものを選び出していくだろう。」

そしてまだまだこれからもっと人を集めて大きくなりますよ、
という意味でもあります。

OCCUPY WALL STREET
これはアメリカだけの問題ではありません。
私達の声が本当に政治に届いて、世の中を変えることができるのか、
今週15日では世界71カ国、719都市で同時抗議行動が予定されています。

OCCUPY WALL STREETの動き、これからも目が離せません。

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佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers