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9/1(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

ニューヨーク先週末珍しくハリケーが襲来
地下鉄が止まったり市内で10万世帯が停電するなど大変でした。
なにしろこのハリケーン・アイリーン、
ヨーロッパ全部すっぽり入るくらいの大きさだったそうで、
アメリカ東海岸全体に大きな被害が出たんですが、
幸い私の近所は無事でした。

そのハリケーンもすぎてニューヨークは夏の終わりのさわやかなお天気

毎年最後の夏を祝うイベントもいっぱい
月曜日からはUSオープンテニス!

今週はおそらく日本ではこの番組でしか紹介されない、
でもニューヨーク地元ではすごい人気のイベントを紹介します。

「ハーレム・デー」

「ハーレム」というのはマンハッタンの北の方、
アップタウンにある地域のこと。
ジャズとかR&B, ヒップホップ好きな人は知ってるでしょう?
あの「アポロシアター」があるのがハーレム。
マイケル・ジャクソンもスティービー・ワンダーも、アポロシアターから生まれて来た。

ブラックミュージックだけでなく、アメリカのあらゆるポピュラー音楽、
ジャズやブルース、R&Bやヒップホップはもちろん、
ロックンロール、そしてそこから派生したロックも、エレクトロもダンスミュージックも全部、
もとをただせばそのルーツは黒人霊歌や労働歌などのブラックミュージック!

ハーレムというのはアメリカのブラックミュージック、
ブラックカルチャーを育てた、「ふるさと」のような場所。

そんな「ふるさと」のような街のお祭りだから、
大都会のニューヨークらしくダイナミックなのに、
何となく故郷の縁日のような懐かしい匂いがしたりする、
そしてもちろん音楽でいっぱいの世界中どこにもない街のフェスティバル、
「ハーレムデー」を今日はレポート。
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まず、ハーレムデーに集まった人たちの声に、ハーレムデーって
どんなフェスティバル?と聞いてみました。

ハーレム在住のMS. Gは、「ハーレムデーは、長い歴史を持つハーレムで、
みんなが集まっていっしょに食べたり、何かを学んだりするフェスティバル」
市内から来ている女の子は「色々な食べ物、ダンスやアクティビティが楽しめる、
すごく大きなイベント」
もうひとりハーレム在住の女性は「コミュニティ、そしてファミリーが集まって、
お互いに助け合いながら楽しむ素晴らしいフェスティバル」

こんなふうにコメントしてくれました。

マンハッタンのアップタウンにあるハーレムは、
セントラルパークの北、広さでいうと東西2.5キロ、南北4キロくらいのエリアに、
ブラックカルチャーがギューっと凝縮されている雰囲気の場所。
ここで20世紀のはじめには、ジャズを中心に
ハーレムルネサンスと呼ばれるほどのブラックチャーが花開きました。
今もその頃の美しい建造物やゴスペル教会などが残る、歴史を感じさせる街並です。
そんな中にジャズクラブがあったり、ストリートバスケのコートがあったり。
スイカ売りの屋台があったり、他にはどこにもないこの街の文化と雰囲気を味わおうと、
世界中からの観光客もたくさん訪れています。
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ハーレムデーには135丁目の東西1.5キロにわたり、
広いストリートの両側に屋台がギッシリ。その屋台も。。。
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フライドチキンやスペアリブなどのソウルフード、レモネード、
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アフリカンファッションやお香やオイル、派手派手な帽子、
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ファンキーな柄のTシャツ、雑貨、R&Bやヒップホップのミックステープ、
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オリジナルのアート、アクセサリー、
どれもこれもハーレム以外では食べられない、買えないものばかり。
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そんな屋台の間を、あらゆる肌の色のあらゆる年齢の人々が行き交っている。
それぞれの屋台が大音量でR&Bやヒップホップをがんがんかけているから、
それにあわせて路上で踊り出す人もいっぱい。
レモネード片手に盛り上がっていた女子4人組に話しかけてみました。

「今日はダンスのパフォーマンスをしに来たの。
踊ったのはアクロバットをふんだんにとり入れた
コンテンポラリーなダンスピースで、お客さんがものすごく盛り上がってくれてうれしかったわ」
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彼女たちはアップタウン・ダンスアカデミーに通う、アマチュアダンサーなんですね。

こんなふうに歌やダンスを披露するトレーラー式の舞台もいくつか用意されています。

中でも最大のステージは、ニューヨークの超人気ラジオステーション、
R&B専門のKISS FMの舞台。

ハーレムと切っても切れない音楽ですが、
そして音楽と切っても切れないのがラジオ、というわけです。

ステージではちょうど、R&BスターのJOEがパフォーマンス中。
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ヒット曲「ALL THE THINGS」を歌い出すと、観客は大合唱で盛り上がっていました。

毎年このハーレムデーでコンサートを開いているKISS FMのアソシエートプロデューサー、
KEN SIMMONSさんに聞いてみました。
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「KISS FMは毎年ハーレムデーでイベントを開いているけれど、
今年はキッスの30周年のお祝いも兼ねている。ちょうどステージで
JOEがパフォーマンスしたんだけど、
全身パープルでパープルの蝶ネクタイでドレスアップして、観客を盛り上げてくれたね。
KISS FMはR&Bステーションで、JOEはそのコアアーティストの一人だから、
彼が出てくれて本当にパーフェクトだったと思うよ。」


アメリカのあらゆるポピュラーミュージックのルーツとなったブラックミュージック。
そのふるさとのようなハーレムのお祭りだから、とにかく音楽があふれまくり。
そして音楽と切ってもきれないのがラジオステーション。

メインステージでイベントを行なったKISS FMだけでなく、
ハーレムの小さなコミュニティラジオステーション、WHCRも、ブースを出していました。
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DJのTINA DIXONさんをキャッチ

彼女はもう10年もこのステーションでしゃべっていますが、
ハーレムが大好きでついに2年前にひっこしてきました。

「ここは大都会の真ん中なのに、まるで故郷の村のような暖かい雰囲気があるの。
こんな場所は他にはないと思うわ。」


ハーレムの青空に響き渡る、R&B、ソウル、ヒップホップ、そしてラジオ。

今は多くの人で賑わうハーレムですが、実は90年代なかばくらいまでは、
ドラッグなどの犯罪の巣、危険な地域と言われていました。

でもここ10年は、ニューハーレムルネサンスと呼ばれるほど盛り上がっています。
マンハッタンの中でも手頃な家賃で住める場所として再開発され、
安全になったハーレムには、あらゆる人種の人が移り住んで、
新しいコスモポリタンな文化が生まれているんです。

前半に登場してくれたKISS FMのKENさんは、こんなふうに語ってくれました。

「ニューヨークの文化の中心地の一つハーレムは、
今これまでにないほど大きくなって来ている。
たとえばオバマ大統領がレッドルースターという新しいレストランで
資金集めパーティをやったおかげで、全米がハーレムに注目したんだ。
こういう新しいレストラン、ホテルもどんどんてきている。
何年か前にはクリントン元大統領が、ハーレムにヘッドクォーターを構えたことも
象徴的だ。今ハーレムはブラックだけでなく、あらゆる人種国籍の人が集まる、
ユナイテッド・ネイションみたいな場所になっている。
ニューヨークに来たら、ハーレムを見ずして帰るなんてありえないと思うね。」


ブラックカルチャーを育んだ、ふるさとのあったかい雰囲気を残しながら、
世界のあらゆる人種国籍の新しいビレッジとして
未来に向かって変って行くハーレム。

もしニューヨークに来るチャンスがあったら、アップタウン、ハーレムを、
ぜひ訪れてみてください。

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(日本人のゴスペルコーラス隊もパフォーマンスしていました!)

Photo by Romi Uchikawa

Ken Simmons (Kiss-FM) photo by Megumi Sato

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers