« 【Webラジオ】8月18日(木)アメリカ ニューヨーク | メイン | 【webラジオ】8月22日(月) »

8/18(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

日本はお盆でしたね。

ニューヨークは「お盆」とは縁のない街、
でも今年は違いました。

震災から初めてのお盆、
在住日本人が集まって、キャンドルをともして黙祷。

ニューヨークにいるから何もできない、
でも何かしたいというたくさんの日本人が、アメリカ人をまきこんで、
募金活動、チャリティコンサートなどをやってきました。

その様子を、被災地の人にも知ってほしい! と写真やビデオにおさめたり、
アメリカ人からのメッセージをもらって、
個人で被災地にデリバリーした日本人もたくさんいます。

今日ご紹介したいのはそんなたくさんの日本人の中のひとり、
フォトグラファーの佐々カンナさん。
カンナさんは、3月から4月にかけて、私たちJPGIRLSの募金活動なども含め、
ニューヨーク中のストリートの募金活動の様子をカメラにおさめ、
5月に被災地にボランティアに行った時に、それを携えていきました。

でもただ持って行った訳ではないんですね。
音楽もいっしょに、プロモーショビデオみたいにして持っていきました。

しかもその音楽を作ったのは、スウェーデンに住むアフリカ人アーティスト 
“マン”
しかもしかも!「日本語」でラップしている、日本への応援歌なんです!!

今日はその草の根の応援歌をオンエアしながら、
ニューヨーク、そしてスウェーデン、国境を越えた友情と、
日本への思いを届けたいと思います。

Timessquare.jpg
© Ko Tsuchiya/ Go Nakamura

ニューヨーク在住の佐々カンナさんは最近、映像クリエーターの夫のHIROAKIさん、
そして同じフォトグラファーNAKAMURA GOさん、YUKOさんと4人で、
ブルックリンのギャラリー「Art Space graphite」(http://www.graphiteny.com/about/)で
写真展を開きました。
3月から5月にかけて、震災被災地でボランティアした際に
撮影した写真を集めたものです。


大阪出身のCANNAさんは、16年前の阪神大震災の時は15才でしたが、
いちはやく一人でバックパックをしょってボランティアに出かけたそうです。
でも今回は遠いニューヨーク、そう簡単にはいきませんでした。

「最初の二日間はUstreamで延々映像をかじりついて見ている状態で、
もうこんなことでは何もできないと思ったので、主人を巻き込んで
13日に募金活動を路上で始めたんですけど、
その時にはもうたくさんの日本人が、募金活動を個人で
そのお金をどこに持って行けばいいのかもわからず、
それでも何かしなきゃという感じで。
お茶碗ひとつで道に立って泣きながら募金活動している学生の女の子とか。
何かしたい、みんなで力をあわせて。本当に遠いところにいますけれど、
思いを届けたい、というのをすごく感じました。」

写真をとるだけでなく、CANNAさんは被災地に向かう準備をはじめました。

「物資をその時はまだたくさん集めていた時期だったので、
何か物資を持っていかなければいけない、と思った時に、
スーツケースに入れて持って行ける物ってすごく限られているんですよね。
本当にどうしようかな。何が一番ほしいものなのかな、とわからなかった時に、
たまたまマンの曲に出会って。それもYOUTUBE,
リンクが多分FACEBOOKだったと思うんですけれど、
何か本当にクリックして流れていた曲を聴いていた時に、
“これだ! これを持って行こう! 
この曲にニューヨーク中の支援活動を、自分がとっている写真や、
いろんな人の写真をつなげて、
ただただ応援しているだけの写真を並べる。
それでもこれはいい物資になるんじゃないか。
本当に人の気持ちを届けることができるんじゃないか、と思いました。


それは”MAN“という名前のアーティストの日本語で歌うラップの曲でした。

いったいMANって何ものなのか? なぜ日本語がしゃべるのか? 
まったくわからないまま、何度も歌詞を聞き直して
「やはりこの曲を持っていこう」と確信したCANNAさんは
、思い切ってYOUTUBEを通じて”MAN“にコンタクトします。
実はMANは日本の名古屋に2年間留学していたことがあり、
名古屋弁が堪能!
ニューヨークとスウェーデン、大阪弁と名古屋弁のやりとりで、
彼の驚くべき経歴があきらかになります。

MAN_1.jpg

「彼自身はアフリカで生まれて、家族でポルトガルまで難民として逃げて、
その後最終的にスウェーデンの今のご両親にひきとられて、
白人社会で黒人1人で、やっぱり人種差別にものすごくあって、
本当につらい時が続いて。
ある日、はっと気づいたら線路の上にマン自身が立っていて。
“もうこんなオレのクソ人生やめにしてやる!”と思って。。。
本当にそう思ったのに、気がついたら、
まるで身体があやつり人形にあやつられるように、
ゆっくりゆっくりと線路の中から逃げ出そうと、
身体が無意識に動いたそうで、
でも結局肘が引っかかってしまってものすごい大けがをしたそうなんですけど。
その時に彼は、大きい声で、
“オレ行きているんだ! オレは生きる事を自分で選んだんだ!“って
すごく思って叫んだそうなんですね。
その気持ちがあるからこそ、今日本のつらい気持ちを持っている人にも、
何か自分が経験した事の中から出て来る言葉で、伝えられる言葉がないかな、
と思って作ったんだと思うんですね。

よみがえれ、という漢字は二つあるんですけれど、
ひとつは、命が蘇る、もうひとつは、更に生きると書いて蘇る、
マンは更に生きるという文字を選んで、この曲を作ってくれました。」

MAN_2.jpg

スウェーデン在住のアフリカ人アーティスト「MAN」が日本語でラップする「甦れ」
ニューヨーク在住のフォトグラファー、佐々カンナさんは、
この曲をニューヨーカーの支援活動のもようのコラージュしたビデオにして、
被災地に持っていきました。

Hinanjo.jpg
©CANNA SASA

もちろんビデオはあくまで「物資」
カンナさんと夫のヒロユキさんは2週間の間、
沿岸地域をまわりドロだしから物資の運送まであらゆる活動にかかわりました。
それでもなかなか被災した人たちにビデオを見せる決心がつかなかった時、
カンナさんはある事を思いつきました。

「アメリカにはハグという文化があるんです。
おじいちゃんおばあちゃんはハグなんて、みんな知らないんですけれど。
突然目の前に私が立って、おばあちゃんに
“ニューヨークから来たんですけどハグしていいですか?”と言うと、
だいたい皆さん、“何だねそれは知らんねー”と言われるですけれど、
“こうやって”って言って背中に手を回して、
“アメリカではこう挨拶をするんですよ”とハグをすると、
“あー、テレビで見た事あるー”と突然顔がぱーっと明るくなって、
さっきまでは知らない人だったのに、
ものすごく心が打ち解けたりとか、“あの日こうでね”と
突然話してくれたりとか、ハグって不思議なパワーがあったので、
見て頂く前にはもう避難所になっている小学校だったら、
すべての教室ノックして。全部の方にハグさせていただいてから、
ニューヨークからハグしたい人たちの気持ちを預かって来たので、
見ていただいていいですか? という形で見て頂きました。

Joei_1.jpg
Joei_2.jpg
©CANNA SASA

CANNAさん気持ち、そして私達ニューヨーカーの気持ちが
MANの歌を通じて伝わったことを、私も信じたいと思います。

ところでこのMAN、実は今日本にいます。

カンナさんが活動に参加したボランティア団体のスタッフがこの曲に感激して、
日本に招待することになり、9月いっぱい全国をまわっているようです。
あなたの近くで噂を聞いたらぜひ会いにいってあげてください。

まだ正式なサイトなどはないのですが、
お問い合わせ先は
テックスエージェンシー:03.3423.6730 


そしてMANの「甦れ」をもういちど聞きたいというひと、
YOUTUBEのリンクは
http://www.youtube.com/watch?v=bUJxTfR534w

このフェースブックのページではマンやカンナさんの活動が見られます。
https://www.facebook.com/pages/Song-for-Japan-Man-Yomigaere-%E3%83%9E%E3%83%B3-%E7%94%A6%E3%82%8C-NY/207899729237480

写真展をコラボしたGo Nakamuraさんのサイトには貴重な写真がアップされています。
http://photogoraphy.blogspot.com/

ビデオには私たちJPGIRLSも映っているので見てね!
アマゾンでで購入すると、売り上げが被災地に寄付されるようにもなったそうなので、
そちらもアドレスのせておきます。
http://www.amazon.co.jp/Song-Japan-YOMIGAERE-%E3%80%8C%E7%94%A6%E3%82%8C-%E5%BF%9C%E6%8F%B4%E6%AD%8C/dp/B005DVVHSA/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1311561089&sr=8-1

ぜひチェックしてくださいね!

gallery.jpg
©Go Nakamura

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers