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6/30(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

今週末はいよいよJuly 4th
アメリカ独立記念日の3連休
学校も100%夏休みに突入して、完全夏モードのニューヨーク。

そんな時期に毎年やってくるのが、PRIDE MARCHというパレード
通称ゲイパレードです。
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同性愛者の権利と、プライド、そして文化をセレブレートするパレード
今年はその41回目!

今年のパレードは特別でした。

パレードの2日前の6月24日。ニューヨーク州議会で、
ある法案が可決されたからです。

Marriage Equality Act
つまり、同性同士の結婚が認められたんです。
これでニューヨークは同性婚を認める全米で6つめの州となった。
(日本とは違い、合衆国であるアメリカは結婚も州法にのっとって施行される。)

法案は既に州議会下院を通過しており、上院での投票の結果が注目されていた。
結果が発表されたのは金曜日の夜遅く。
私はクラブにいたんですけど、「可決した!」というツイッターがまわってきて
中は大騒ぎになりました。
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いきなり「同性同士が結婚」と言われても、
社会状況が違う日本では突然すぎる感じがするかもしれませんね。
ニューヨークではもう何年も前から、
同性同士が正式に結婚できるようにすべきだという気運が高まっていて、
既にゲイだけでなく、あらゆるニューヨーカーをまきこんでの課題になっていたんです。

それはなぜか? その理由も、このゲイパレードに参加してみると、
肌で感じるというか、ハッキリわかるんです。

今日はこのPRIDE MARCHと、MARRIAGE EQUAL ACTについてレポートします!

26日日曜日、ニューヨークで行なわれたPRIDE MARCH
参加者、見物客を含め200万人近くが集まりました。
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パレードしてくるのは、爆音で流れるダンスミュージックにのって、
上半身ハダカのゲイのお兄ちゃんたちが踊っているフロート
二階建てバスの屋根のない2階部分に、ダンサーが鈴なりというのも。
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かと思えば、さまざまなドレスに身を包んで、Sassyに歩いて来るドラッグクイーン
みんなレインボーカラーの旗やバルーンを持って、歩いてきます。
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この7色のレインボーが、シンボルカラー
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もともとこのパレードは、同性愛者に対する差別や時には暴力に対して、
「人間はみな同じ、誰もが差別されるべきではない」というメッセージをかかげ、
あらゆる肌の色の人や性別の違う人たちがひとつになって祝う、という意味で
レインボーカラー。
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まさにニューヨークのスピリットがここにある。

だからパレードにはマイノリティの人権保護グループもまざっていれば、
ユダヤ人やコリアン、日本人のグループもいます。
さらにクオモ州知事、ブルームバーグ市長も参加。

もちろんニューヨークの文化にもゲイカルチャーはなくてはならないもの。

たとえばクラブシーン。ダンスシーンを盛り上げているのはゲイ・コミュニティ。
ファッションシーン、音楽シーン、
経済的にも、高学歴で年収が高い人が多いと言われていますから、
彼らをターゲットにした専門のツアー会社など、サービスもいっぱい。

アートシーンでは、日本でも有名なキース・へリング
彼はエイズで亡くなりましたが、

ニューヨークでエイズが問題になりはじめた80年代には、
ゲイコミュニティがいちはやく、エイズ撲滅運動を始めたために、
ニューヨークではエイズ患者への差別が比較的少なかったとも言われています。

シリアスな問題に真剣に取り組みながらも、
楽しむときは思い切り楽しむという彼らのスピリットは、
そのままニューヨーカーのもの、とも言えるかも。

ちなみに、80年代からニューヨークでブレイクしたアーティスト、
たとえば、マドンナが売れる前にサポートしたのはゲイ・コミュニティ。

そして今やスーパースターになった、レディ・ガガの
最初のブレイクのきっかけになったのもゲイたち。

彼女のシングル、「BORN THIS WAY」は
まさに、このゲイ・コミュニティのアンセムになっています。
パレードでも流れていました。


さて、パレードの2日前、ニューヨーク州議会で、
同性婚を認める法律が可決されたため、目立ったのは、
「PROMISE KEPTt」 約束が果たされた」という
プラカードをかかげた人たち。

また、「18年間つきあって、やっと婚約、ついに結婚できる」という
プラカードをもったカップルもいました。
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全米で6つめの州、世界をみるとカナダ、オランダ、スウェーデンなど
11カ国が既に同性婚を認めています。

ニューヨークではゲイやレスビアンだけの問題ではありません。
ここ10年ほどの間に、ストレート、つまりゲイではない
ニューヨーカーの間でも「同性愛者も同様の権利を得るべきだ」という声が
多数派になってきていました。

その背景には、結婚はしていなくても子供を育てるカップルが増えてきたため、
子供達への配慮。同級生の両親はお母さんが二人、という事も普通にありますから。

パレードでキャッチしサラさんはこうコメントしてくれました。
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「重要なのは未来の子供達が、一人も社会から拒絶されることのない、
真の平等に一歩近づいたということね。私はゲイではないけれど、
私の友達や家族が、自分のありのままに生きて、自分を表現できるというのは、
とても大切な事なのよ。」


この法案通過を強力にプッシュしたクオモ州知事は
「この歴史的な法律通過はニューヨークのみならず、
全米のアメリカ人に対するメッセージである」

その言葉通り、ニューヨークでの法案可決は、
これから他の州の同性婚法案の行方に強力なインパクトを与える事は
間違いないでしょう。


一方で反対する勢力もあります。
特に同性婚が教義に反するカトリック教会や保守派のニューヨーカーは
「社会規範や道徳をひっくり返す法案」と懸念を表しています。
また同性愛者への差別や彼らをターゲットにした暴力犯罪(ヘイトクライム)も
後を断たないという現実もあり、この法案成立でこうした犯罪が
減るのではないかという期待も持たれています。


でもこうした懸念も、このカップルの喜びの声を聞くと、
吹き飛んでしまう気がしました。婚約したばかりという二人です。

「ものすごくエキサイティングなパレードだよ、なぜってこれは
「平等パレード」だからね。僕たちはみんなと対等になったんだ。
これで公的な場にも二人で堂々と出られるし、もし僕が入院した時、
彼が正式な家族として僕に面会に来れるようになるんだ! 僕の夫として、ね!」
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すぐに結婚すると言っていたカップル、
レインボーカラーの日傘の下で二人ホントに幸せそうでした。

法律の施行は7月24日から。シティホール(市役所)のチャベルでは
ウェディングラッシュに備えて準備を始めているそうです。
ウェディング業界や旅行関係者は、
全米から同性婚を希望するカップルの誘致に意欲的です。


ニューヨークはこの夏、ゲイウェディングの首都になりそうです!

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers