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4/14(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

ニューヨークもようやく花の季節、
毎年お伝えしている、マンハッタンの街路樹の桜にちょっと似た白い花、
DOGWOOD ハナミズキが満開になっています。
気温も少しずつ上がってきました。

そんな中、ニューヨークでは日本が震災から1ヶ月を迎えたその日に、
大きな余震があった事なども伝えられました。

このところ、ずっとニューヨーカーが日本を助けようとがんばっている活動、お伝えしていますが、
ニューヨーク市でも独自の募金をやっているのご存知でしたか?
この募金、既に1000万円以上を集めました。
そしてこれに加え、今回は市の職員で希望した人の給与から、
希望の金額を自動で引き落として、日本の被災地に寄付するプログラムが実行されます。
これと同じシステムで去年はハイチの地震被災者に2億円が送られたんですね。

ニューヨーカーに日本を思う気持ち。。。どんなにお伝えしたも足りない気持ちです。
同じ思いを音楽で届けるイベント、
Concert for Japanも 先週末に5回公演を終えました。

オノヨーコ、坂本龍一、ノラジョーンズ、フィリップ・グラス、ルーリード、
そうそうたるメンバーが数十組も出たConcert for Japanシリーズ。
ニュースで知った人も多いと思いますが、
私もこのコンサートを取材しました。

Norah_%C2%A92011%20GION%20for%20SAVE%20JAPAN%20BENEFITS.jpg(©2011 GION for SAVE JAPAN BENEFITS)

実はこのコンサートは、この日本人女性アーティストの強い思いがなかったら、
もしかすると実現しなかったかも。

仙台出身のアーティスト、にしな あやさん。
ご家族は今も被災地で生活されています。

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あやさんと、コンサートの直後お話する機会がありました。
今日はそのインタビューを中心にお届けしたいと思います。

まずConcert for Japanについてお伝えしましょう。
3月27日(日)の初日はオノヨーコ、ショーン・レノン、矢野顕子、チボマットらが出演して
コロンビア大学のミラーシアターで開催。
先週末8日(金)の2つのコンサートは、エイブロンズ・アーツセンター。
ノラ・ジョーンズはじめ、コンサート主催者でニューヨークの音楽シーンのキーパーソンである
前衛アーティストで発起人であるジョン・ゾーンと、仙台出身のにしな あや、
オルタナロックのソニック・ユースら、ニューヨークならではのジャンルを超えた
個性豊かな22組が次々に登場。
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続く9日(土)の最終日は2回のコンサートがジャパン・ソサエティで開催、
フィリップ・グラス、ローリー・アンダーソン、ルー・リード、ビル・ラズウェルなどの
ニューヨーク・レジェンドらが出演。
坂本龍一氏のセットは能の舞とバイオリン、ピアノ、ターンテーブルという
シンプルなセットで観衆を魅了しました。
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このシリーズほとんどがソールドアウト
そしてニューヨークの音楽関係者を驚かせたのは、
震災からおよそ2週間後に初日というスピードです。
異例の早さで大物が集まった舞台裏には、この人がいました。


仙台出身のアーティスト(作曲家)、にしな あやさん。
このコンサートが企画されたきっかけは彼女自身の言葉だったんです。

あやさんは高校からアメリカに留学、所属レーベル「TZADIK」のオーナーでもある
ジョン・ゾーンとは家族のような関係です。
実はあやさんのお母さんは仙台ではよく知られたピアニストの仁科篤子さん、
障害を持つ子供達を音楽で癒すNPO法人「ミューズの夢」を主催しています。
そのお母さん、そして同じく音楽家のお父さんがこの震災で被災しました。

地震が起ったのはニューヨーク時間の真夜中でした。
「多くの友人からの電話が鳴り続けたため、重大さに気付きました。
家に電話してもまったく通じず、生まれて初めて母と電話が通じないことが不安で。
ひたすらかけなおしました。」

あやさんはあまりの事に呆然としながらも、何かできないかと必死に考えました。

「今何ができるのか考えた時「コンサート」だと思いました。
上司のジョン・ゾーンに電話して、「私は今精神的にいっぱいいっぱいだけど、
とにかくコンサートを開きたい」と言ったらい、ジョンが
「わかった。僕が全部やるから。とにかく演奏してくれる友達のリストを作りなさい」と
言ってくれたんです。」

実はジョンは911の直後や、去年のハイチ大震災の時もいち早く
チャリティコンサートを開いて収益金を寄付しているんですね。

「マネージメントなどは一切通さずミュージシャン同士が結束した結果、
3日ですべてが決まりました。でもミュージシャンだけで宣伝をどうしようか、という時に
日本人のボランティアが結束してくれて、
SAVE JAPAN BENEFITというプロジェクトがたちあがったんです。」

その結果こんなにすばらしいコンサートになり、
お金も、およそ1000万円が集まり、ジャパンソサエティを通じて寄付されます。

「多くのアーティストが参加してくれた、という事自体がメッセージだと思ってい明日。
心細いんですけどその事が支えになっています」


あやさんがコンサートのために書き下ろし、演奏した作品「NOZOMI」は
女性の声をフィーチャーした作品でした。

「「NOZOMI」という曲のタイトルには二つの意味があります。
ひとつは「望み」という言葉の持つ意味そのもの、
もうひとつは、のぞみさんという中学時代からの同級生。
彼女は自分が被災者で、6歳の娘を1人で育てているにもかかわらず、
沿岸地方にセーターを届けるなどの活動をしています。」

故郷と親友を思う気持ちがこもった曲、「NOZOMI」で共演したのは
クラシック、ジャズなど12人のプロ歌手の有志たち。
真っ赤なワンピースに身を包んだ女性たちがステージに並び、
にしなさんの指揮。。。。心をいやすハーモニーが会場に響きました。
Aya_%C2%A92011%20GION%20for%20SAVE%20JAPAN%20BENEFITS.jpg(©2011 GION for SAVE JAPAN BENEFITS)

こうしてコンサートは終わりましたが、あやさんの仕事はまだ続いています。
次のコンサートシリーズも企画しているし、
地元の仙台に、ニューヨーカーたちの気持ちやお金を、
もっとダイレクトに届ける方法を日夜模索しています。

あやさんは最後に、こう語ってくれました。


「被災地の人たちに“がんばって”とは絶対言いたくないんです。
今は一回休んで甘える事が大事だと思うから。
日本人はできるだけ人に迷惑をかけないようにという気持ちが強いけれど、
今回だけは本当に甘えてほしいと思います。
甘えてもらえるように、がんばるのは私たちの方だと思っています。」


時には涙を浮かべながら、一生懸命話してくれたあやさん、

被災地のみなさんに少しでも甘えてもらえるよう、私たちもNYで がんばります!


佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers