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4/21(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

NY街路樹にも緑が萌え始めました。

日本はGWが近づいていますね、NYも今週はホリデー気分、
週末日曜がキリスト教のイースターサンデー
ユダヤ系のニューヨーカーは、パスオーバーというホリデーがありました。

そんな中でもニューヨーカーの日本への愛はとまりません!
日本のためのチャリティーイベント、今週もたくさん行われています。
毎週お伝えして来たSAVE JAPANの動き、今日はそのフィナーレ。

ニューヨークといえば、ジャズ!
ニューヨークのダウンタウンにあるライブハウス、「ブルーノート」ご存知ですよね?

このブルーノートがジャズで日本を支援しようと呼びかけたところ、
もう大御所から若手までが次々に手を挙げました。すごいメンバーです。
マッコイ・タイナー、ロン・カーター、ジョン・スコフィールド、マデリン・ペイルー、
ロイ・ハーグローブ、パキード・デ・リベラ。。。(まだまだ続く)
そして国宝級の日本人ジャズピアニスト、秋吉敏子さんまで全部で15組が,
ハイライン・ボールルームで4時間にわたって次々に演奏。

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これだけのメンバーが一度に見られるライブなんてまずありません。
まさにジャズの紅白?にニューヨーク中の音楽ファンが押し寄せました。

なぜこれだけのメンバーが日本のために集まってくれたのか、
実はそれには理由があります。
今日は「BLUE NOTE JAZZ BENEFIT」をレポートします。

めったに見られない大御所と若手のジャズのトップスターが大集合した
超ぜいたくなライブはもちろんソールドアウト。開演前、会場の前には長い列ができました。

「こんなに豪華なラインアップで、しかも日本のために何かできるなんて、
素晴しいイベントだ。見に来ない方がおかしいね」

お客さんにとっては、大好きなジャズミュージシャンの演奏を一度に見られる
まさにドリームコンサート。

ハイラインボールルームは、広いホールでテーブルでお酒や食事を楽しみながら
ライブが楽しめるんですが、カップル、グループ、家族づれ、
若者から年配、人種国籍もさまざま、日本人お客さんもけっこう見かけました。

ドリームコンサートという点では実はミュージシャン同士も同じ、
めったに顔をあわせない同士「ひさしぶり」と抱き合ったり
「子供たちは元気?」なんて会話が飛び交って、まるで同窓会のような暖かい雰囲気。

その様子をピアニストのマイケル・カミロはこんなふうに語ってくれました。
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「今夜は伝説に残る夜になるだろう。このメンバーが同時にニューヨークにいて、
同じステージに立つなんて、とても珍しいことだからね。
何より会場のバイブが素晴しい。みんなが「シェアする」気持ちになっているからだよ。
誰も自分の事を考えていない。日本のため、という事を考えている。
だから僕も参加したいと思ったんだ。これから心をこめて演奏してくるよ。

そういって楽屋を去っていったマイケル・カミロは、感動的なピアノソロを聴かせてくれました。

そのマイケルのちょっと前にステージに立ったのは、
秋吉敏子さんとハズバンド、ルー・タバキンのカルテット。
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1956年に26歳で渡米してから、ずっとアメリカのジャズの第一線で活躍して来た
秋吉さんも、いつものパワフルなソロにいっそう力がこもっているように聞こえました。

秋吉さんともお話する機会がありました。
長いキャリアの中で、東北をツアーしてまわる機会も多かった秋吉さん、
震災の知らせを聞いた時には

「仙台には自動車の部品を作る工場があって、
その中にコンサートホールがあるんですね社長さんが非常に音楽がお好きで。
社員のみなさんが大丈夫だったということだったので、それを聞いてほっとしました。」

実は秋吉さんは、この夏、チャリティコンサートで東北を訪れることを決めています。

「ルーと二人で8月に、岩手で、北海道でライブをやる予定だったのですが、
それがもし中止にならずやるなら、出演料は全部さしあげますから
何かの役に立ててください、と連絡したんです。
そうしたら陸前高田でもチャリティーコンサートをやることになり、
もうどうぞどうぞ、と言うお話をしました。」

もうひとつ、秋吉さんの曲「HOPE」は今この災害を受けて、
日本の様々な場所で演奏されたり歌われたりしています。

「東京の知り合いの方からも連絡があり、HOPEを演奏してよろしいですか? 
と聞かれたので、光栄です、どうぞどうぞ、とお返事しました。
あれは「ヒロシマ、そして終焉から」というとても長い曲のエピローグなんです。
そこだけ独立したようになっていて、谷川俊太郎さんが詩をおつけになったので。
こういう時に他の人が演奏してくださるのは本当にうれしいですね。」

秋吉さんが曲にこめた思い、今多くの日本人がシェアしているのかもしれませんね。
秋吉さんはこの夜だけでなく、ニューヨーク近郊でもいくつもの日本のための
チャリティコンサートに招待されています。
自分の音楽でお客さんが集められるなら、とすべて受けていると言っていました。
どれもアメリカ人が主催するイベントで、アメリカ人の気持ちの暖かさ、改めて感じました。
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そして、何よりニューヨークのジャズミュージシャン、ジャズコミュニティは、
日本に特別な思いがある、と語ってくれたのは
ラテンジャズのサックス、そしてクラリネットプレイヤーのパキート・デ・リベラ
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「私の名前はパキート・デ・リべラ。
日本には何度も招待されていて、日本が大好きだ。
今夜ここにマッコイ・タイナーやマイケル・カミロ、ロバータ・ガンバリーニ、
これだけのミュージシャンが集まり、すごい数のお客さんが集まったけれど、
私は全然驚いていないんだ。
だって日本のためだろう、当たり前だよ。
日本はこれまで長い間、ジャズという音楽を愛し、どこよりもサポートしてくれた国だ。
その日本が我々の助けを必要としているんだから、助けるのは当たり前だと思っている。
日本人はとても勇敢で強い国民だ。
世界の人の助けをかりて、きっと再生すると信じているよ。」


パキートだけでなく、自分たちの音楽を愛してくれる日本人に対し、
今自分たちが何かできることがうれしい、
他のミュージシャンたちも口々にそう言ってくれました。

日本とニューヨーク、ジャズという音楽を通じて、こんなに深くつながっていたのか、と
改めて知る事ができた一夜でした。

< photo by Kosuke Furukawa >

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers