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4/7(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

ニューヨークも4月になりました!

このところニューヨークから日本のみなさんを応援するレポートを
毎週お送りしてきましたが、ニューヨークではまだまだ日本を支援する募金、
イベント、毎日のように行われています。

今週月曜日の夜には、
ニューヨークのランドマーク、エンパイアステートビルディングが
赤と白にライトアップされました。

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日本とニューヨークの友好のしるし。
そして被災した日本の状況をもっと知ってもらいたい、
メッセージもこめられています。
このライトアップはニューヨークだけでなく、
世界7カ国の高層ビルやタワーが参加しました。

一方で、4月になって世界は新しいフェーズに入っています。
メジャーリーグが開幕! (ここでもヤンキースをはじめ
開幕戦では日本のために黙祷も捧げられました)

そして今週、オバマ大統領が二期目への出馬を発表。
次の大統領選まであと1年半。

世界は動き続けています。

そんな中で、今日はそんな世界の動きに連動する
アメリカの子供たちの活動を紹介します。

アメリカの子供たちが今やっていること。
子供たちが折り鶴を折っているんです。
しかも、これはただの折り鶴ではありません。
鶴を折ることで日本のためのチャリティー募金にもなっているんです。

いったいどんなふうにやっているのか? 今日はそれをレポートします。


チャリティやボランティア、言葉の定義は色々ですが、
要するに、助ける、時には助けられる。その動きを通して、
コミュニティが結びつき、人が成長する、
また自分が成功したら感謝をこめてコミュニティに返す、
というフィロソフィーが、アメリカには強くあります。

そして例えば地域のためのイベントを開きたい、
でもお金が足りないからどうしよう!なんていう時に、
お母さんや子供たちがいっしょにクッキーやケーキを焼いて売る、
「ベークセール」はとても人気があります。

クッキー1枚でも、誰かの役にたつことができる。
同じように、折り鶴一個でも、日本を助ける事ができる、という運動がこれです。

折り鶴を折って、それをあるオーガニゼーションに送るだけで、
1個につき2ドルが日本の被災地のために寄付出来るんです。

このプロジェクトをたちあげたのは、
DO SOMETHINGというノンプロフィットのオーガニゼーションで、
その目的は、青少年のボランティア活動をもっと盛んにする事。
全米の青少年のボランティアをコーディネートしたり、
必要な資金を調達したり、時にはその調達の仕方を教えたり、
という、まるでボランティアの学校みたいなオーガニゼーションなんです。
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1993年のたちあげから、これまでに200万人以上の若者が、
DO SOMETHINGを通じてボランティアにかかわってきました。
大企業やセレブも活動を応援しています。
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そして今回、震災直後に立ち上がったプロジェクトが
「PAPER CRANES FOR JAPAN」
日本のために折り鶴を折ろう、というもの。

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プロジェクトを立ち上げた、ベッツィー・ファーストさんに聞いてみました。


<災害の情報が入って来た時、私たちで何ができるか考えました。
子供たちの日本を助けたい、という願いを
どうやって世界の子どもたちとシェアし、同時に形にできるかを考えたのです。
そこで、「千羽鶴」を思いついて、すぐにフェースブックで募集しました。>

その呼びかけに、すぐに全米の、そして世界の子どもたちや学校、
生が反応してきました。

<今の時点でアメリカのほとんどすべての州の学校や子どもたち、
外国ではルーマニアやアフリカ、去年地震で大変な被害を受けた
ハイチからも7つの学校が参加しています。日本から参加している学校もあります。>

フェースブックのページには、見事な千羽鶴がたくさんアップされています。
先週の時点で2万個以上が集まって、まだまだ続々と集まってきているそうです。
目標は千羽鶴100個、10万個の折り鶴で、目標額は20万ドル、
およそ1800万円です。
お金を出すのは、BOZO’S FAMILY FOUNDATIONという基金。
このお金、実際にどんなふうに使われるのか聞いてみました。

<ARCHTECTURE FOR HUMANITYという
ノンプロフィットオーガニゼーションを通じ、
災害地の復興、建物の建築に役立てられます。
建物が完成した後には、作った千羽鶴をそこに飾ってもらいたいと思っています。>
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このARCHITECTURE FOR HUMANITYというのは、
災害や戦争などの被災地の再建で、家や学校などの建築に必要な
「建築家」を派遣しようというノンプロフィットオーガニゼーション。
1999年コソボの戦争難民の仮設住宅の建築のためにスタートしました。
彼らの働きで作られた住宅には、今世界で70万人の人達が住んでいます。

子どもたちは今、再建された建物と、そこで暮らす日本人の姿を思い浮かべながら、
慣れない手つきで一生懸命折り鶴を折っているんです。

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ところで折り鶴の折り方はサイトにいくとのっていますが、
それにしてもこんなに折り紙や折り鶴、千羽鶴の事をアメリカ人が
よく知っているなんて、驚きです。何か理由があるんでしょうか?
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<アメリカの小学校で多くの子どもたちが読む本に、
「SADAKO AND THE THOUSAND PAPER CRANES」という作品があります。
これを読んで私も含めアメリカの子どもたちは折り紙と千羽鶴について学びました>


この作品は広島に実在した被爆者の少女、佐々木禎子さんが、
白血病で亡くなるまで祈りをこめて折り鶴を折り続けた、
そのストーリーをアメリカ人の作家エレノア・コアが
1975年に出版した物語が、今でも広く読まれています。

アメリカ人と日本人の気持ち、ここでも強くつながっていました。


ところでこのDO SOMETHING、他にもさまざまな活動をしています。
たとえば、「読み終わった本を集めて、ハリケーンカトリーナで被災した
図書館の復興に役立てよう。」「使い古したテニスボールを、
アニマルシェルターにいる犬たちのおもちゃとして寄付しよう」


彼らのウェブサイト、DO SOMETHING.ORGに行くと、
こうしたプロジェクトやボランティアが膨大な数アップされていて、
自分の興味のある分野でどんな事ができるのか一目でわかり、
アイデアを提案することもできます。

プロジェクトリーダーのベッツィーさんと話していて痛感したのは、
世界で起こっているどんな災害も戦争も貧困も、助けを必要としている人達がいる、
という意味では同じということ。

ベッツィーさんは

<今の時代、世界で起こっている事はメディアやネットを通じてリアルタイムに、
生々しく伝わってくる、子どもたちはそれを前向きな気持ちで受け止め、
そして何かしたいと思っていて、ネットなどのツールを使って大きな動きに広げて
行く。私はそんな若者を信じている。彼らは何かしたいと思っているのです。>


今の日本はもちろん、世界中で人の助けを必要としている人が本当にたくさんいる、
そういう人達の事を常に考えて行動して行く、新しい世代を育てる事も今とても大切。

そしてこうしたつらい出来事が起きるたびに、
世界中の私たちが少しずつ、お互いにつながっていく、
そしてつながる事で、少しでも苦しんでいる人々が癒され、
世界中の戦争や争いが減っていく事を、若者たちは信じて行動している。
私たちもそれを信じていきたいと思います。

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(折り鶴と子供たちの写真はDo Somethingからお借りしました)

Do Something
http://www.dosomething.org/
http://www.facebook.com/papercranesforjapan?sk=wall


佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers