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2/17(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

チャックは正しかった!

覚えていますか?  
先々週の番組で、ニューヨークでは春の訪れを
グラウンドホグという動物で占う。。。という話。

冬眠から出て来たグラウンドホグのチャックが、
地面に映った自分の影を見るとびっくりして巣に戻ってしまう、
つまり春の訪れは遅い。
逆に、自分の影を見なければ、春の訪れは早い、
その結果、今年は春の訪れが早い!という事になったんです。

そのチャックの予報通り、今週からぐんぐん気温があがってきました。
今日の最高は8度!
まぶしい日差しはもう春のもの!

久しぶりにスノーブーツではなく、
普通のシューズをはけるようになってうれしい!
そしてもっとうれしい事が!

ロサンゼルスで日曜日、日本時間では月曜朝に行なわれたのが、
第53回グラミー賞。

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ここで珍しい事に日本人が4人も授賞! 
これまでにグラミーを授賞した日本人はたったの4人だからホントにすごいこと。

その一人、スタンリー・クラークバンドの一員として授賞した、
ジャズピアニストの上原ひろみさん、
彼女の本拠地は、実はNY。

今日はひろみさんがニューヨークではどんなふうに愛されているのか、
そんなお話も含めて、グラミーのレビューをしたいと思います。


さて音楽のファンのみなさん、
グラミー賞の結果に色々な感想を持ったと思いますが、
一般人の話題はもうこれにつきます。

レディ・ガガの卵。

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奇抜な衣装で知られるガガ、ここでもお話したと思いますが、
去年秋のMTVアウォードでは、生の肉をはりあわせたドレス、
通称ミート・ドレスで登場して度肝を抜きました。
だからアメリカ人は、ガガが今度は何を来て出るのかに一番期待していたんです。

その期待にかなり?応えて、ガガは4人の男たちがかつぐ
御神輿の上の巨大な卵に入って登場。。。リムジンからおりて会場入りするときも、
レッドカーペットの上もそのままで通って、
ステージパフォーマンスの時に初めて、卵のカラがパカっと割れて、
ガガさまご誕生! となったわけです。

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月曜日の新聞のヘッドラインは、
エクセレントをもじって、 エッグセレントと書かれていました。
ハイ、ニューヨークにもオヤジギャグはあるんですよ。

まあそんな感じでテレビに映ったのは
こういうメジャーなアーティストだけでしたが、
グラミーというのはテレビ中継の何時間も前からずっと授賞式をやっているんです。
その理由はクラシックやジャズ、
朗読などもあわせてトータルで110部門も賞があるから。
そういう意味でもアメリカのレコーディング業界を代表する賞なんです。

日本人も授賞しました。
みなさんもご存知と思いますが、
B'zの松本孝弘さん、ピアニストの内田光子さん、
琴の松山夕貴子さん、

そして、スタンリー・クラーク・バンドの一員として
アルバム「THE STANLEY CLARKE BAND FEAT. HIROMI 」が
「Best Contemporary Jazz Album」を授賞したのが
ニューヨーク在住のジャズピアニスト、上原ひろみさんです。
日本人ジャズミュージシャンとして初めての快挙です。

私がひろみさんに初めてお会いしたのは8年前の2003年、
初めてのアルバムをリリースした直後でまだ20代前半でしたが、
もうその頃には、ビレッジ・ヴァンガードなどの
名門ジャズクラブでプレイし始めていて、
すごいジャパニーズピアニストがいる、という噂が
ジャズシーンでたちはじめていました。

そしてそれからあっという間に、ジャズのトップベースプレイヤー、
スタンリークラーク・バンドに招待されたり、
やはりトップのジャズピアニスト、チック・コリアと共演したり。

まさに彗星のごとく登場し、
今やアメリカのジャズピアノを代表する若手になりました。

実は私が親しくしている、アメリカ屈指の名門ジャズラジオ局、
WBGOのプロデューサー、
ベッカ・プリアムさんも、ひろみさんの大ファンの一人。

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番組の合間のスタジオに電話をつないで、話をきいてみました。

「私が初めてHIROMIの演奏を聞いたのは、
ピアノジャズという番組にゲスト出演した時。

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彼女はまるで成熟したアーティストのようなテクニックと同時に、
生き生きとエネルギーに満ちてフレッシュな演奏で、
「いったいHIROMIって誰?」とびっくりしたのを覚えています。
どうしても彼女の生演奏が見たくなり、ブルーノートに出かけました。
それが2年前、2009年でした。
同じ年の大晦日に、私たちのステーションでは
全米のジャズライブハウスを生でつないで、ライブ中継するイベント
「TOAST OF NATION」を行ないました。

その最初のライブハウス、ボストンからの中継で
HIROMIさんにプレイしてもらったんです。
これは全米のナショナル・パブリックラジオ150局すべてを
ネットする番組だったのですが、これを聞いたリスナーが
「いったいHIROMIって誰だ?」とすごい反響になり、
とてもうれしかった事を覚えています。」


実はベッカがプロデュースする番組「ジャズセット」のパーソナリティで、
シンガーのディーディー・ブリッジウォーターも、
今回グラミーを授賞。
本当に実力とキャリアのあるアーティストだけが受け取ることのできるグラミー。
ベッカは、ひろみさんはこの賞を受けるにふさわしいアーティストだといいます。

ジャズのエキスパートからみて、ひろみさんの魅力って
いったいどんなところなのか聞いてみました。

「HIROMIはこんなに小柄で、そしてまだ本当に若いのに、
自信に満ちた力強い演奏を聴かせてくれる。
すごい早いプレイも正確で、表情豊かでリズムも素晴らしい。
アイデアも豊富でモダンな演奏もできれば、
非常に難しいトラディショナルなスタイルもできる。
聞いているとその熟練した演奏に息をのむくらい。
そして、すごいだけでなく、聞いていて本当に楽しい、
喜びを感じさせてくれる演奏ができるところが、素晴らしいと思う。」

そんなふうにベッカは語ってくれましたが、
実際にお会いしてみるとひろみさんって本当に小柄でかわいらしくて、
音楽とのギャップにびっくりするくらいなんです。

でも彼女は1年の3分の1は世界中をツアーでまわるという、
ものすごい過酷な生活を何年も続けていて、
それでも毎回毎回、ピアノをひく喜びとパッションをまったく失わない、
そのポジティブさ、ピアノへの愛情が演奏を通してつたわってくるから、
聞いている私たちも幸せになれるんでしょうね。

ひろみさんのこれからの活躍本当に楽しみです!

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers