NYこの季節はアートのシーズン、
世界のアートの中心というと。。。パリとかベルリンとか?
ニューヨークは世界のアート、特にビジネスの中心。
先週末はTHE ARMORY SHOWなど、主要なアートのトレードショーが続々開催されました。
色々なアートイベント1年中行われているニューヨーク、
私がよくいっしょにイベントをやっている、ニューヨークの日本文化の発信拠点、
紀伊国屋ブックストアニューヨーク店でも、
小さいけれどユニークなアートイベントがあったので、それをレポートします。
HIP HOP SNEAKER BATTLE
ヒップホップ・スニーカーバトル
真っ白なスニーカーをキャンバスにして、若者達が腕を競う、というものです。
HIP HOP USAというノンプロフィットグループが、
ニューヨークの主にブラックコミュニティを中心に展開しているイベント。
どんなイベントなのか、主催者のテリーさんによれば。。。。
ヒップホップUSAはアフリカンアメリカンのアートであるグラフィティを守り育て、
社会に貢献しているグループ。
スニーカーバトルはスニーカーの会社から真っ白いスニーカーを提供してもらい、
中学、高校や、地域のコミュニティセンターなどで、
子供たちに好きなように表現してもらうというもの。
草の根イベントですが、少しずつ広がって来て、
優秀な作品はハーレムのスニーカーショップに展示されていたりします。
子供たちの自由な自己表現をもっともっと伸ばしてあげたい。
アメリカの公立学校では、美術の授業がないところが多いから、
こういうイベント貴重でもあるんですね。
さて、このヒップホップスニーカーバトルを応援、子供たちの指導にもあたっているのは、
グラフィティ・アーティストと呼ばれるアーティストたち。
グラフィティというのは、落書きのこと。
70年代からニューヨークのブラックコミュニティでは、
スプレーペイントで街にゲリラ的に落書きをするアートがブームになりました。
特に地下鉄の車両にびっしり描かれたグラフィティは世界的に有名になり、
それがあまりに素晴しいので、グラフィティアートというジャンルになったんですね。
ニューヨークが誇るグラフィティアーティストのジェームス・トップさん。
この日も一生懸命スニーカーをペイントする子供たちを、暖かい目で見守っていました。
ジェームスさんは、
「グラフィティは自分たちアフリカン・アメリカンにとって、とても大事なアート。
それを新しい世代に伝え、若い才能や表現を育てて行くことはとても大事。
何より若い連中といっしょにモノを作るのは楽しいし、どんなモノが生まれてくるかとても楽しみ。」とコメントしてくれました。
ヒップホップカルチャーの大きな要素のひとつ、グラフィティアートと、スニーカー。
それがなぜ、日本のブックストアで開催されたんでしょう?
その秘密は、もちろん日本が誇るアート。マンガ、アニメです。
その秘密は、このイベントをヒップホップUSAといっしょに開催してきた日本人
鈴木陽平さんの頭の中にありました。
ヒップホップというとラップなどの音楽が最初に思い浮かぶけれど、
実はグラフィティもとても大切な要素。
それを日本のアートであるマンガやアニメのコミュニティと組み合わせようと思った理由は、
二つのサブカルチャーが出会うことで、
サブではなくメインストリートに育って行く可能性があると思ったから、と語ってくれた鈴木さん、
ニューヨークで生まれたヒップホップカルチャー、
そして日本で生まれたマンガが、ニューヨークという世界の交差点でまさに出会ったわけです。
その結果、素晴しいスニーカーがたくさん誕生しました。
この日は5人がウィナーの名誉に輝きました。彼ら若いアーティストの卵たちに、
仕上がったスニーカー、ちょっと見せてもらいました。
スーキーさんが描いたのは大好きな日本のバンド、ディルアングレイのギタリストのダイスケ。
クロシさんはベストフレンドのシロシくんと共同制作、
描いたキャラクターはクロシとシロシが合体したもので、
鋲やレースなどをあしらって、フレーバーを出しています。
みんな日本のポップカルチャーが大好き。
でもヒップホップも聞くという若い世代です。
日本のマンガのテイストとヒップホップフレーバーが合体した、
本当にすてきなスニーカーばかり。
遠い国の人と文化が出会うって本当にエキサイティング。
私たちはそういう時代に生きてるんですね。
佐藤めぐみ ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。
BLOG:http://ameblo.jp/meguminy