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1/13(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

NY先週の放送から2回も雪がふりました。

まず先週末土曜日、そして2度目は昨夜、これはかなりの大雪で、
マンハッタン、セントラルパークでは一晩で23センチの積雪を記録。
でもこれでも今回はブリザードの直撃はまぬがれたんですね。
しかも珍しい事に、フロリダ以外のアメリカ49の州(ハワイも)で
同時に雪が降る、という不通では考えられない現象が起きました。
ナショナルウェザーサービスによれば、この結果広—いアメリカ全土の
7割が雪に被われているということです。

そんなわけで
朝早くから舗道の雪かきをする人、路駐の車を掘り出す人で忙しい1日でした。

ちなみに、ニューヨーク市では雪が1インチ(およそ2.5センチ)降るごとに、
費用が$1M (8500万円) かかると言われています。
これには5000人近い職員の人件費と
1700台のショベルカーなどの稼働費も含まれるわけですが。。。

そうするとこの冬はこの間のブリザードなども含め、
もう25億円くらい使ってしまった事になるんです! 
雪が降れば降るほど市の財政が圧迫されてしまう。。。
でも自然のパワーには勝てませんね。

さて、そんな先週末の雪の夜、マンハッタンで
ちょっと珍しいコンサートが開かれました。
日本もお正月で、日本の伝統文化にふれる機会が多かったと思いますが、
ニューヨークでも、三味線と琴と琵琶の演奏が
一気に見られるコンサートがありました。
今日はそれをレポートしたいと思います。


NYでは1年中、さまざまなイベントやビジネス関連の見本市などが開かれていますが、
1月には、全米の数多くの劇場やパフォーミングアーツの関係者、
アーティストが大集結する、ビッグなエンタメの見本市があります。

それが先週末開かれたAPAPコンファレンス。
正式な名前は、 The Association of Performing Arts Presenters Conference
約してAPAP: 一般の人にはあまり知られていませんが、
たとえばシルク・ド・ソレイユのような出し物は、
それを上演する劇場が必要ですよね。
そして劇場にとっては、自分のところに出演してくれる出し物や
アーティストが必要です。
そんな両者がお見合いする見本市がAPAP

ヒルトンホテルの広—いスペースに何百というブースが設けられ、
4000人の関係者がおしよせました。
パフォーマーはクラシック、ロック、ジャズ、そしてダンス、
ありとあらゆるジャンルの、有名無名アーティストが世界中から1000組も参加。
ホテル内外のイベントホールで1日中ショーケースをやっていました。

その一つが今日ご紹介するコンサート。

アジア・ソサエティという、アジア文化を紹介する団体と、
日本の国際交流基金の共催で開かれたコンサートのタイトルは、
「HOGAKU, NEW SOUNDS OF JAPAN」

出演したのは3組の邦楽アーティストで、

SANSHIという三味線と横笛のトリオ、
SAKURAという薩摩琵琶をフィーチャーしたグループ
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そしてニューヨーク在住の琴のアーティスト、黒澤有美さん。

もちろんお客さんのほとんどはアメリカ人で、
こうした日本の伝統音楽は初めて、という人がほとんど。

たとえば黒澤有美さんは、20弦と13弦の2台の琴を演奏しましたが、
最初は「んー珍しい音楽ね」という感じで聞いていたのが、
だんだんとのめりこんでいくのが、見ていてわかるんですね。
そして琴とコンピューターサウンドをシンクロさせた曲になると、
琴という楽器の予想以上の可能性に、目をみはっていました。

そして薩摩琵琶をフィーチャーしたSAKURA
櫻井亜木子さんの平家物語の弾き語りが始ると、
ピンと張りつめた緊張感に、会場は水を打ったように静かになって、
終わった瞬間には、ハーっというため息ももれていました。

そんなお客さんの感想、ちょっと聞いてみて下さい。

ニューヨーカーのデイブさん、
「素晴らしかったね。特に最後の琵琶のグループは、
これまで見たどんな音楽よりもドラマチックだった。
言葉もバックグラウンドもわからないけれど、
これはただの音楽ではなく、あらゆる要素を含んだパフォーマンスだと思ったよ。」

ちゃんと伝わっているんです。それに対して、
琵琶アーティストの櫻井亜木子さんはこう言っていました。

<インタビュー:櫻井亜木子>
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日本人は特に物語の内容を知ってしまっているので、自分の生活とか日本文化まるごとにオーバーラップしての感動なんですけど、海外はまったく言葉を通じないので、例えば動物は火を見れば怖いとか興奮するとかあるじゃないですか。だからわけがわからないけど感動した、と言ってもらえるのが一番うれしいので」
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そしてもうひとりの観客ポールさんは、

「演奏者を見てるととても深いものを感じたね。すごく集中しているところとか、 その緊張感は西洋のオーケストラと似たものがあるけれど、それ以上に演奏者と楽器の距離がものすごく近い感じがしたね。」

これ、面白いコメントだな、と思いました。
楽器に魂をこめる、そんな日本人の音楽の演奏スタイルが、
初めて見たニューヨーカーにもちゃんと伝わるんだな、とうれしかったです。
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東洋と西洋が同居する不思議な、でもとても心地いいサウンドをかなでる
黒澤有美さん。
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琴という日本古来の楽器のアーティストでありながら、
あえてニューヨークという場所を選んで、
ニューヨークのジャズやエレクトロニック系のアーティストともコラボしています。
その理由は何か聞いてみました。

<インタビュー:黒澤有美>
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私大学時代からずっともう7年くらい、なぜかニューヨーくに行きたいと思っていたんです。というのは、ここに来るともうあらゆるジャンルのミュージシャンとかアーティストがいるだろう、そういう人たちとセッションできて、20弦の可能性が探れたらいいな、と思ったんです。
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—どんなものにインスピレーションを受けますか?

生活、毎日の生活の出来事からインスパイアされるのが多いのかな、と思います。

−日本にいた頃と演奏する音楽は変りましたか?

変ったと思いますね、ただ一つだけ言い聞かせているのは、伝統とかルーツとかいうのは絶対に失わないようにしようと思っています。


日本古来の楽器やサウンドが、ニューヨークという街でどんなふうに受け入れられて、
さらには新たな時代の音として進化していくのか、楽しみですよね。


佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers