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6月25日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、佐藤めぐみさんからの報告です!

日本の夏休みはまだ少し先と思いますが、
ニューヨークの公立の小中高校は、今週いっぱいで夏休みに入ります。

大学生はすでに長—い休みに。。
その大学生は、夏休みにアルバイトもするけれど、
インターンする人も多い。
インターンというのは。。。。自分の専門分野の会社などで、
ほとんど無給か、低いペイで働くかわりに、
授業をとったのと同じだけの、クレジットがもらえる。

そのインターンで、この夏、農業が注目されています。

それだけでなく、ニューヨークでは今農業がアツイ!

ニューヨーク近郊の農家では、
サマーインターンの募集に答える大学生が、どんどん増えています。
その数はここ2年で、3倍以上に増えました。

ファームの中にあるトレイラーで寝起き、
日の出と共に起きて、暗くなるまで働く、
これまで土をさわった事もなかった若者が、そんな毎日を送っているんです。

学生の中には、農業そのものに興味を持っている学生も多いのですが、
一番多いのは、自分たちの今の食べ物に不安を持っていて、
それを、将来自分たちの手で何とか変えたい、
そのために農業そのもののを学びたい、という若者たち。

実は、こうした動きは大学生に限った事ではないんです。

ニューヨークでは、農業に興味を持ち、さまざまな形でかかわる人がどんどん増えています。

その動きの一つは、コミュニティ農園。
マンハッタンには意外な場所に、コミュニティ農園があります。
マンハッタン内に20カ所近くあり、
たくさんのニューヨーカーが、ビルの谷まで花や野菜を育てています。
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もうひとつは、「食べる」ことを通じて農業に参加する動き。
マンハッタンに30カ所近くある青空グリーンマーケットは、
近郊農家がそれぞれの作物を持って週に3〜4回集まり、
近所の人は、農家の人から直接、新鮮な野菜や果物、ハチミツなどを買う事ができます。
地消地産の一つのスタイルですが、
スーパーとは違って、その野菜を作った農家の人の顔が見れるので、
安心して買える、というメリットもあります。
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そんなふうに、色々な形で農業にかかわろうというニューヨーカーが増える中で、
自分で農業を始める人も少しずつ増えています。
後半ご紹介するカップル、
本業はファッションスタイリストと、フォトグラファーです。

ローラ・フェラーラさんとファビオ・キゾーラさん夫婦は、
ちょうど7年前に、ニューヨーク郊外のリンゴ農園を買い取りました。
買ったときは、その土地の自然の美しさに魅せられて、
まさか自分で農業をやるとは、夢にも思わなかったそうです。

ところがその500本のリンゴの木は、
50年もたった古い木で、手入れが大変すぎて、
近所の農家の誰も引き受けてくれませんでした。
それどころか、すべて切り倒して新しい木を植えた方がいいと言われ、
「いやそれは違う!」と発奮したファビオさんが、
自分でリンゴを育てる決心をしました。

世界をかけまわるファッションカップルにとって、
朝5時に起きて農園で働く生活は、かなり厳しかったと言いますが、
2人で協力して、初めてのオーガニックアップルが実った時は、
本当に嬉しかったそうです。
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2人の農園、ウェスト・ウィンド・オーチャードは、
まだまだ珍しいオーガニックのリンゴ狩りができる農園として、
少しずつ知られるようになっています。
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ローラさんがこんな事を言っていました。

『私が子供の頃、母が庭で野菜を作っていましたが、
それを恥ずかしい事だと思っていました。
ファーストフードを食べたり、外食する方がかっこいいと思っていたからです。

でも今はファッション業界でも、グリーンは重要なキーワード、
プラダもファーマーにインスピレーションを得た服を作っているし、
農業がかつてのシャネルバッグのように、おしゃれなモノの象徴になっているんです。」

二人の農園はファッション雑誌「ELLE」にも掲載されました。
シャネルではなく、シャベルな時代がやって来ようとしています。
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そしてさらに、首都ワシントンDCからは、こんな情報が届いています。
オバマ大統領のいるホワイトハウスにはこの春、
歴史始って以来の農園が作られました。

ホワイトハウス・キッチンガーデン
ミシェル夫人が中心になって運営している
1.100 SQ FEETのミニ農園では、
先週近所の小学生が集まって、40キロものレタスと6キロの豆を収穫。
このところの雨のおかげで、作物の成長は良好だそうです。
とれた野菜は、ホワイトハウスで食べる他、
近所の学校の給食にも配られます。

大人も、そして子供達も、政治家ファッションピープルも、農業にかかわることで、
世界を少しでもよくしたいと思っています。
アメリカ人は本当に変ってきていると思います。


Special thanks to Laura, Fabio and Matteo Chizzola of West Wind Orchard
Orchard photos by Karin Edmondson
http://www.westwindorchard.com/


佐藤めぐみ  
ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、
日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、
アメリカのJ-POPファンのためのイベント
「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminy