« 8月18日(水)のフラワーレポーターはアメリカ・コロラド州からグットマン知子さんです。 | メイン | 【Webラジオ】8月19日(木) アメリカ ニューヨーク »

8月19日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

早くも夏の終わりの気配のニューヨーク。

日本の友達からは、
お盆休みの帰省ラッシュの大渋滞に巻き込まれイラっとした! というメールが続々。。。

仕事に戻ったばかりでツライ方、ニューヨーカーも同じです。がんばってくださいね!

ニューヨークもバケーションをとる人も観光客も入り乱れて、
陸も空も大変な事になっていますが、

空の上ではあまりのストレスについにキレて、職場放棄しちゃった
客室乗務員が出現。

先週起こった事件なんですが、その人は
着陸したばかりの飛行機の非常口をあけて、さっさと出てっちゃった。
しかも非常用のシュートをシューッとすべって!

全米的な話題になったんですが、
この人このおかげで今やセレブなみの人気もの。

いったい何がどうしてこうなったのか?
今日はニューヨークからこの珍事件をレポートします。

まずは事の発端から。
ニューヨーク時間9日月曜日、JFK空港にジェットブルーエアラインの旅客機が着陸。

その直後機内で、客室乗務員のスティーブン・スレイターさんは乗客と口論になった。
詳細は報道されていませんが、どうやらまだ飛行機が動いている間に、
上の棚から荷物を取ろうとしたお客さんを止めようとしたらしい。それが口論している間に、
その客の荷物が荷物棚から落っこちてスレイターさんの頭を直撃。
なのに謝らない乗客に腹をたてたスレイターさんは、
到着アナウンスをののしるような口調で終えた後、
機内サービス用のビールを2本ひっつかんで機体のドアを開け非常用シュートを出し、
それをシューッと滑り降りて立ち去ってしまった、つまり、キレてしまった。

スレイターさんは即逮捕され留置所行きになったんですが、
この模様が全米のメディアで大々的に伝えられると、
その話題がfacebookやtwitterを通して超高速で広まりました。
Picture%202.jpg

書き込みのほとんどは、
「自分の意志を通したのはエライ」
「俺たちのウップンをはらしてくれた」
というスレイターさん支持派たち。
スレイターさんのフェイスブック・ファンページにはあっと言う間に
21万人以上(8/.20現在)が「like this(お気に入り?)」登録。
突然「ヒーロー」になってしまった!
「嫌な職場をタンカ切ってバシっとやめてやりたい!」という
庶民のささやかな夢を、(夢ですかね)現実にしてみせたんですよね。
P1020108.JPG

それにしてもおそるべしSNSパワー!
おそらくSNS時代の最初のヒーローになった38才のスレイターさん、

おしよせるマスメディア攻撃に対しても堂々としたもので、
釈放後のインタビューでは「いや、一度あの非常用シュートで降りてみたかったんだ」などとコメント。
P1020112.JPG

写真をみるとわかりますが、いかにもゲイな感じのキャラが立ってる立ってる。
それにこの人、今回はブチキレたけれど、普段は乗客、特に子供の面倒はとてもよく、
評判は悪くなかったそうな。

でも実は、ここまで同情票が集まる裏には、航空業界の悲惨な現状もあります。
大赤字を抱えた航空各社はチケットの値段を上げないかわりに次々にサービスをカット。
ランチはスナックになり、ビールやワインも有料に。預けるバッグにもフィーがかかる。
最近持ち込み手荷物まで有料にしたエアラインも。
P1020115.JPG

その上国内線は遅延とキャンセルが日常茶飯事。
私も最近乗った飛行機で、定時に発着したことなんてありません。
空港に着いたら乗ろうと思った飛行機がキャンセル、
ニューヨークからシアトルに行くのに、
シカゴ経由だったはずなのに、ダラス経由に乗せられ、
アメリカ1週空の旅になってしまった事もあります。

その上テロ防止の厳しい警備のため、セキュリティ・チェックポイントには長い列。
荷物を預けるだけでお金を払いたくないし、
預けてもよく紛失するからみんなバッグを機内に持ち込みたがる。
当然格納スペースには限りがあるから、
場所のとりあいで客同士の口論もしょっちゅう。

たまるんですストレスが!
乗客からよせられる苦情の数は1月からの7ヶ月ちょっとで6000件近くにのぼり、
去年の同じ時期の3割増しだそう。
ますますイラ立つ一方の乗客に対し、冷静な態度で接している乗務員は
エライとある深部記事には書いてありました。
だから、いつか「キレる」乗務員がいてもおかしくないと皆思っているんです。

そんなこんなで、ストレス三昧の空の旅の象徴になったスレイターさん。
実はまだ話しはここで終わらないのがすごいところ。

アメリカでは、
15 minutes of fame
15分間の名声、という言い方があります。
パっと話題になってサっと消えていく、そんな名声の事ですが、
スレイターさんはどうやら、15分ではすまさない勢い。

なんと、ロサンゼルスのPRのプロ、ハワード・ブラグマンをエージェントに雇い、
新たな展開を摸索しているそうです。

何をしようとしているか?
自分のテレビ番組を持つのが目標らしい。

こちらではリアリティTVというカテゴリーで、
フツーのアメリカ人が出演、
どんどんスターが誕生しています。

日本でも多分知られている「サバイバー」なんかがリアリティショーの草分け。

最近ではMTVで放送している、
JERSEY SHORE(ジャージー・ショア)が現象的な人気になっています。
このジャージーショアは、ニュージャージーのビーチ沿いの街に住むフツーの若者が、
夜な夜なバーやクラブに繰り出して、女の子をひっかけたり、よっぱらってケンカしたり、
ワイルドに暴れまくるのが人気になって、
この出演者たち、今や超A級セレブになってしまいました。

こんな言いたい放題、やりたい放題の内容がウケるって事は、
やっぱりみんなたまってるんでしょうかね。

スレイターさんもどうせやるなら、見ている人の胸がスカっとして、
ガス抜きになるような面白い事やってほしいですね!
P1020116.JPG

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers