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9月9日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

9月に入ってとても涼しくなりましたが、
今日は久々に90度超えました。華氏90度というのは摂氏で32度
こちらでは90度を超えると真夏という感覚です。

ニューヨークは今日がTHE FIRST DAY OF SCHOOL

市内の小学校で新学年が始りました。
こちらでは9月が入学シーズン、

日本のように「入学式」みたいなもの、ないんですね。
また集団登校のようなものはなくて、
親が学校に連れて行く、またはスクールバスで連れて行ってもらうの習慣

初めて学校に行く子供達、そして親たちの気持ちは日本も同じ。

けさは近所の小学校でも、そんな親子をたくさんみかけました。

そんな季節のニューヨークにこの週末やってくるのが、911
あの朝も、さわやかに晴れ渡っていました。
この青空があの日を思い出させるんです。

あれからもう9年になります。来年はもう10周年、

この9年、あっという間?

長かったのか、短かったのか?

今日はニューヨーカーといっしょに、あの日。
そしてこの9年間をふりかえってもらいたいと思います。

この9年間ニューヨーク、アメリカだけでなく、世界、時代はずいぶん変りました。

アメリカは911の結果、アフガニスタンとイラクに出兵
そのブッシュ政権の間にリーマンショックが起り、
史上初の黒人大統領が誕生しました。

その間にはインターネットがどんどん発達し、ブログからSNS
世界のふつうの人が情報で結ばれるようになりました。

世界中が多くの自然災害にもみまわれましたよね。

もちろんすべてが911に直接かかわっているわけではないのですが、
このテロ事件がミレニアムの最初、2001年に起ったために、
とてもシンボリックに感じてしまいます。

そしてここに来て、先週もお伝えしたように、
グラウンドゼロの近くにイスラム・コミュニティーセンターの建設が予定され、
憲法で保障されている「信教の自由」は守られるべきだが、
遺族の気持ちなどを考えると、ここに建てない方がいいかも、
という意見が強く、ニューヨーカーの気持ちはゆれています。

この9年というのは、ニューヨーカー、
そしてアメリカにとっていったいどんな9年間だったのか。
いったい何が変ったのか、逆に変っていないのか

ニューヨーカーの声、聞いてみて下さい。

まずコロンビア大学でジャーナリズムを専攻するジェームスさん、
「今911以来、ナショナリズムが高まり星条旗が街にあふれた。
アメリカは一つになったが、その結果戦争をすることにもなってしまったのが
とても複雑。」

インド系ニューヨーカーのシャーさん、
「私たちはこれまで感じなかった恐れの中で生きるようになり、
今もあまりかわっていないと思うね。変ったといえば経済がひどくなっただけだ。」

先週も登場してくれたイスラム教徒のアブドゥルさん。
「今思うとやはり911の大きな原因のひとつは、
アメリカの外交政策だったと思う。それに怒りを感じる少数の過激派が
間違った選択をする可能性がある、ということがわかって来た9年間だったと思う。」

やはりイスラム教徒のブロガー、モナさん、
「あの直後ニューヨークは立ち直る強さを見せ、
あらゆる人種と信仰を持つ、世界を代表する街だという自覚を
ますます持つようになったと思う。残念なのは今回のモスク論争が
政治的に利用されているおかげで、あの当時起った反イスラムの感情が
再び生まれているのは、とてもつらい事。」

そしてドリナさん、
「街としても国としてもガードが固くなったと思う。
以前は考えもしなかったような敵に攻撃される可能性があることを知って、
安全が何より最優先されるようになったわ。」

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そう、私たちが日々実感する一番大きな変化は安全の問題。
ニューヨークは過去20年犯罪が減り続け、
アメリカで一番安全な都市の一つになった、
ところが、
テロ対策のために地下鉄の改札では警官がランダムにバッグのチェックをしたり、
空港に行けば服の中まで透けてみえる、
最新のセキュリティマシンを通らなければならない。
ブッシュ政権時代ほどのテンションはなくなったものの、
やはりテロの危険はいつでもありえる、その危険と共存していかねばという意識は
ニューヨーカーの気持ちからは一生なくならない、
そういう意味で911より前に戻る事はもうできない。。。


しかし、こんな状況の中でも911が将来にポジティブな結果をもたらす事ができる、
と信じるニューヨーカーもいます。

26才のマットさんはイスラムコミュニティセンターの予定地で
「SUPPORT FREEDOM OF RELISION =信教の自由を守ろう」
というプラカードをかかげ、もう2週間以上ここに立ってメッセージを送っています。

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彼の言葉を聞いてみてください。

「911以来変ったこと。。。バラク・フセイン・オバマという、これまでとはまったく違うエスニックに属する大統領が誕生したのは、私たちが異文化に慣れて来たからだと思う。あれは悲劇的な事件だったが、中東とアメリカを結ぶ架け橋にもなりえる。
結果的にアメリカは世界で憎まれる存在になったが、今は何とか汚名を挽回しようとがんばっているんだ。」

悲しみや恐れ、いらだち、葛藤をかかえながら、
何とかして未来へ進んで行こうとしているのが、今のニューヨークなんです。

911から丸9年になるニューヨーク、

ところでグラウンドゼロは今いったいどうなっているのでしょうか?

久しぶりに訪れてみると観光客の数に驚きました。
観光バスで乗り付けるツーリストも。
ここはニューヨークに来たら絶対はずせない、
ツーリストスポットになっているんです。

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グラウンドゼロそのものは、大規模な工事現場。
全面高い壁で被われ、外から見えるのは高くそそりたつ数機のクレーンのみで、
何がどうなっているのかよくわかりません

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実は新ワールドトレードセンターの中心になるフリーダムタワーは、
既に36階までできている事が数日前に発表されたばかり。
またグラウンドゼロに焼け残った柱が、
メモリアルミュージアムの建設現場に戻ってきたばかりでもあります。

同じように壁の隙間から写真をとっている観光客たち。
初めて来た人は「グラウンドゼロを見て、
テレビで見るだけではわからない事がわかった。強い悲しみを感じた」と語り、

一方ニューヨーカーは「以前より少しは何かが建ちそうな気配が見えて来てよかった」
とコメント。

遺族の感情、多くの政治的なかけひき、経済的なもの。
ここに住んでいる私たちにも状況はよく見えてきません。
来年10周年にはメモリアルミュージアムが完成予定と言われていますが、
予定通りの完成を多くのニューヨーカーが願っています。

ことしの911も遺族によるプライベートな追悼式

また、草の根グループによるキャンドルライトの追悼イベント。
さらに、イスラム・コミュニティセンターをサポートするデモも行なわれる予定です。

どんなに悲劇的な事件でも、「平和」というポジティブな未来につなげることができる、
そう信じる強い気持ちを持って、今年の911を迎えたいと思います。

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佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers