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5月20日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!


ニューヨークは卒業式シーズン

日本とは比べ物にならないくらい大変なアメリカの大学、
それが終わった瞬間のはじけ方も。。。

そして観光シーズンもますます盛り上がってきました。
スタジオの1階のデリでは、パックに入ったお寿司とビールで
ディナーする観光客のカップルが。。。

ここで問題です。
スシ、サシミをおいしくこしらえるために大事な道具はなんでしょう?

包丁です。

ニューヨークにいっぱいあるお寿司やさんで、スシシェフは
刺身包丁など和包丁を使っています。
つまりジャパニーズレストランが増えているニューヨークでは、
和包丁の需要が増えている事になります。
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でもスシシェフだけでなく、
ニューヨークのトップシェフ、例えば。。。
ダニエル・ブールー、デビッド・ブーレー、
そしてマーサ・スチュワートなんかも、和包丁のファンって知ってました?

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ニューヨーカーにもっと和包丁の素晴らしさを知ってもらおうと、
わざわざニューヨークまで売り込みに来ている日本人がいます。

堺市役所の職員のみなさん。
和包丁がニューヨーカーの間での評判なんかもうかがいながら、
今日はニューヨークの包丁事情、レポートします。

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ここで、突然ですが、あなたのまわりにあるアメリカのブランド、どんなものが思い浮かびますか?

マックやウィンドウズコンピューター
リーバイスのジーンズ
ティファニー
コーチのバッグ
コーラやハンバーガー、フライドチキン、クリスピークリームのドーナツ

ハリウッド映画、アメリカの音楽もブランドと考えると、
AVATARもLADY GAGAも
実は日本人の生活、アメリカンブランドであふれてる。

では逆に、アメリカ人にとって、ジャパンブランドとは?
トヨタの車をはじめ日本車、テレビなど電化製品
でもこれは元々アメリカのもの。
日本固有のモノで一般的な存在感があるのは、スシ、トーフくらいかな?
他は意外とありません。日本の音楽も聞こえて来ないし。。。

でも私たち日本人はニューヨークでは暮らしやすい。
それは、日本のものが多いからでなく、
私たち自身が最初から、アメリカのモノにかなりなじんでいるから。

クルマなど、製造業の輸出入では日本は大幅な黒字
でも文化的なモノの輸出入では猛烈に赤字。

でもそんな中でここ20年くらい、少しずつ、静かーに
日本の文化にかかわるモノやブランドがアメリカに入って来てる。
アニメもその一つ。

そして最近気になって来たのが、日本の包丁。
ジャパニーズナイフです。

ジャパンと刃物はわかりやすい。
何しろSAMURAI SWORDを知らない人はいないから、
「切れそう」なイメージがある!

まだまだ一般的にはほとんど知られていませんが、
料理のプロや、セミプロたちには大きく注目されています。

この動きは何もニューヨーク、アメリカに限った事ではなく、
財務省の貿易統計によると、08年の台所用刃物の輸出額は前年比14・8%増
60億3847万円で、04年以降、前年比2ケタ増!!

そして日本で刃物の街といえば「堺」
堺市職員のみなさんがニューヨークまでやってきて、
境の刃物を売り込み大作戦を繰り広げています!

そのスローガンは「堺から世界に」 なんかダジャレっぽい?

彼ら去年から今年にかけてニューヨークに何度も訪れ、
さまざまなトレードショーに堺の包丁を出品し、そのクオリティをアピールしました。
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いわば、堺の包丁の出稼ぎ販売?


そのひとり、西野さんに話を聞きました
まず、日本の包丁とアメリカのナイフの一番の違いとは?

「本格的な和包丁というのは日本の刀を作る技術、鍛冶の技術、
研ぎの技術を応用しながら、刀とおなじような切れ味の包丁を作ることができます。
そして、長く使える。一般的にみなさん、NYなどでも使われているのは
ステンレス製が多いと思うんですね。ステンレスは切れなくなった時に
研ぎ直しをすればまたある程度復活するんですが、日本の和包丁は当初の切れ味を元に戻す、
復活されることができるので、いいものを長く使っていただける、
エコの観点からもアピールする事ができると思っています。」

その場で商談もあるトレードショー、今回も引き合いがあって、結果が出せたと喜んでいました。

ものごしとっても柔らかな関西人、西野さんですが、
堺の話なると目が生き生き輝いてもうとまりません。

「江戸時代には大阪は天下の台所、昆布なんかもとれるのは北海道ですが、
江戸時代に西回り航路というのが開発され、堺まで運ばれて来るようになった。
それが消費地である大阪で精進料理になったり京料理になったりしたわけです。
ここに堺の包丁が関係して来る。昆布を加工するのに切れ味のいい包丁が必要だったんですね。」

「3人で鍛冶をするんです。トンテンカン、トンテンカン、と。
このタイミングがおかしいと、トンチンカン、トンチンカンとなって、
これがトンチンカンという日本語の語源になったんです。」

日本の食ブームのおかげで、アメリカにどんどんわたって来るようになった和包丁。
西野さんの堺市セールスチームは、また新たに予算を獲得して
ニューヨークに戻って来ると約束してくれました。

こういうふうに、
日本人が日常当たり前に使っていて珍しくないモノが、
特別な存在感を持って輝く事もあります。

逆に日本人が「最高!」と思っても、こちらでは売れないモノも。。。
アメリカ人のライフスタイルにあわせて、
ちょっと工夫して売込んだら、売れるものもきっとある!
そして、売込んでみないと、何が売れるかわかりません!

堺市のように、どんどん世界のマーケットを肌で感じて、
日本を売り込んでほしいですね!!
商いの街に期待大です!

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers