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7月6日(火)ウルグアイにお住いになって2年、「在ウルグアイ日本国大使館」の「領事」をおつとめの田村彰浩さんです。

◆ワールドカップの準決勝が、いよいよ行われますが、街の様子は?


老若男女盛り上がっています。
道路を走る車は皆、国旗をなびかせ、クラクションを鳴らし、
歩道を歩く人たちがそれに手を振って応えます。
若い人たちに負けじと、おじいちゃんやおばあちゃんも派手な身振り手振りで応えます。
街中がセレステ(水色)に埋め尽くされているようです。


◆ワールドカップが始まってから、街はどんな雰囲気でしょう?


試合当日は、開始時間が迫ると官公庁や銀行等も店じまい、
バスやタクシーも街から消えてしまいました。
街のあちらこちらに国旗やユニフォームなどを売る露天が建ち、
スーパーもセールを行うなどワールドカップ特需に沸いています。
大手の電気販売店では、開催前に「代表がベスト4まで行けば半額返金!」と銘打って
大型液晶テレビのセールを実施しました。今では頭を抱えているのでは? 


◆40年ぶりのベスト4進出!再任の代表チームに対する評価は?


ワールドカップ初代王者であり、2度の優勝経験を持つウルグアイですが、
「古豪」というフレーズが表すように、近年では振るった成績は残せていません。
国民は「もう全て昔の話さ」と自嘲気味に嘆くほどで、南米予選も5位、
プレーオフを制してやっと出場にこぎつけることができたのです。
それだけに、この快挙 はまさに「驚愕」、街角では感極まり、大泣きする姿も散見されました。


◆ウルグアイ代表の特徴と言うと、どんなところでしょう?


ウルグアイチームの愛称は「セレステ」(水色)、合言葉は「バーモス!セレステ」(行くぞ!セレステ)
特徴は「堅守速攻」、キャプテン・ルガーノを中心に堅い守りとフォルラン、スワレスの強力2トップが前線で得点を奪います。


◆マスコミの報道は?


国民のほとんどがサッカーフアンのこの国ではテレビ.新聞もワールドカップ一色、
主要各紙は表紙を水色に変え、試合当日はおまけに巨大ポスターをつけたり、
表紙を丸めて簡易ブブセラを作れるようにする気の入れようです。
ガーナ戦の翌日のエル.パイス紙は表裏表紙の2面を使い、FKを決めた選手のアップ、
1 面から5面までが全てサッカー関連記事というものでした。


フアンというより全ての国民は40年ぶりに訪れた幸福に全身で浸っています。人口より牛の数が多いこの国では、アサード(ウルグアイ式焼肉)を食べ、セルベサ(ビール)や(ワイン)を飲む昔ながらの観戦スタイルが主流、開催前には「健康のため、応援の時には焼肉やビールは控えましょう」といった記事 も出ましたが、どこのレストランも連日大賑わいで、国民の体重は確実に増えるでしょう。タバレス監督は「(優勝などの輝かしい)過去を知らない子供たちが(代表の)試合を見て、サッカーを愛してくれれば幸せだ」と答えており、ベスト4に進出したことで国民も皆、大満足しているでしょう。ここまでくればもう国を挙げての「お祭り」ですので、勝敗に拘らず、代表がんばれというのが本音でしょう。しかし苦手なブラジルが負けたので、オランダならいける、という期待を声にする一面も。残念なのが、ガーナ戦のレッドカードでスワレスが、警告の累積でフシレが出場出来ない可能性があり、ルガーノも負傷、若手のホープ・ロデイロが骨折(ひび)?という情報もあり、タバレス監督がどのような布陣を敷くのか注目されています。


◆注目の選手を紹介!

 
★FW ディエゴ・フォルラン(10番) 
スペイン.アトラチィコマドリッドに所属するベテランストライカーでスペインで2度の得点王に輝き、今年のUEFAヨーロッパリーグ決勝で2得点を上げ、チームを勝利に導きました。親子3代続くサッカー選手ですが、学業ともに優秀で本人は大学進学を希望(将来は小説家になりたかったとか)していましたが、姉が交通事故で下半身不随になり、その莫大な治療費を工面するためにプロリーグへ、アルゼンチンリーグ、プレミアリーグを経て、リーガ・エスパニョールにいたったわけです。家族を背負い、そして今は国民の期待を背負う彼は非常に謙虚で偉ぶらないと多くの国民から尊敬を集め、まさしくウルグアイの希望の星となっています。


★FW セバスティアン・アブレウ(13番)
34歳の大ベテラン、愛称は「ロコ」(変人)ですが、憎めない性格で国民から愛されています。彼には常に「何かをやってくれる」という期待が付きまといます。プレーオフのコスタリカ戦ではフォルラン・スワレスの両トップが得点できずに苦しんでいるところに値千金のヘ ディングシュート!国民の期待に応えました。また彼はFKの際に軽く浮かせる緩やかなキックを行う特徴があり、それを揶揄されて、TVのCFでも「ロコ、本番では(そのFKは)やめてくれ」と言われるほどですが、ガーナ戦において重圧のかかるPKのトリで、いつも通りのFKを見事に決め、「やっぱりあいつはロコだ!」とまたまた 話題を振りまきました。フル出場はないとは思いますが、オランダ戦の後半、チームが苦しくなれば、タバレス監督は彼を投入するでしょう。

★MF ディエゴ・ペレス(15番)
日本人が「大和魂」ならば当国では「チャルーア魂」(スペイン帝国に最後まで抵抗したチャルーア族に由来)、不屈であきらめない様子を指しますが、彼はまさにチャルーア魂を体現している男。30歳、フランス.モナコに所属しています。タバレス監督の信任は厚く、激しい当 りと最後までピッチを駆け回る姿に味方が勇気付けられ、反撃に移ることもしばしば、オランダ相手にも引けは取らないでしょう。


★MF アルバロ・リオス(17番)
一度代表を退いていますが、本年、ウルグアイで人気と伝統を誇るペニャロールのMFとして後期リーグの無敗優勝に貢献、代表にも招集され、尻上がりに調子を上げました。いまやボランチに無くてはならない存在となりました。小柄ですが強靭なフィジカルを持ち、期待が持てます。


★DF ディエゴ・ゴディン(3番)
スペイン「ビジャ.レアル」所属の24歳。守りの要で、キャプテンのルガーノの影に隠れがちですが、ウルグアイの堅守は彼が居ればこそ。体調を崩して心配されていますが、オランダ戦ではロッベン、シュナイダーの両エースを封じてくれると期待されています。
(残念ながらオランダ戦には出場できませんが、次の2人も注目です)


★FW ルイス・スワレス
「ルイシート」(ルイス坊や)と呼ばれる彼は、オランダの名門「アジャックス」に所属する23歳の若手のホープ、オランダリーグ09-10には得点王に輝いています。賛否両論ありますが、ガーナ戦の「ゴール際のハンド」は語り継がれることになるでしょう。もちろん国内では「最高の評価」を得ました。若いながらも「フェイント」(故意に転び、ファールを誘う)が得意な、したたかな面も持ち合わせています。

★MF ニコラス.ロデイロ
昨年、国内2大チームのひとつ「ナシオナル」をリーグ優勝に導いた「左足の魔術師」、21歳の若さで素早いドリブルと幅広い視野を武器に国民の期待を背負っています。今年、オランダのアジャックスに移籍するも出場機会に恵まれず、初戦のフランス戦でも退場となるなど散々なデビューでし たが、ゲームの組み立て能力と絶妙のスルーパスが本来の輝きを取り戻せば!と考える国民は多く、オランダ戦では前半から起用されると思います。
※先ほど、ニュースでロデイロが骨折の可能性という話が入ってきました。事実であれば非常に残念です。


◆サッカー観戦に役立つウルグアイの言葉
 
Vamo!ariiba la Celeste!!(バモ アリーバ ラ セレステ)
「いけ!がんばれ ウルグアイ代表!」

代表の応援中、テレビの解説者は、この言葉を1000回位は叫びます
(というより、このフレーズを知っていれば、スペイン語が出来なくても
ウルグアイ代表の応援は大丈夫です)