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1月12日(火)のフラワーレポーターはハワイに住んで14年目、能丸千秋さんです!

■ハワイの今のお天気 ハワイ島 町の様子は?

日本からの旅行者は、やはりホノルルを訪れる人が断然多いですが、
ハワイ島のコナには、日本からの直行便も乗り入れているので、
リゾートホテルでのんびりしたり、自然が好きという日本の方がみえます。
あとは、1回ではハワイ島を堪能しきれないので、リピーターになる人が多いです。


☆地球のおへそ!大自然にあふれるハワイ島 火山活動最新レポート!!☆


アローハ、ハワイ島ヒロに住んで14年目に突入の能丸千秋といいます。
フリーライターとして、日本での執筆活動をしています。
夫は、日本の大型反射望遠鏡「すばる」のスタッフとして、
ハワイ島にある国立天文台に勤務しています。
こちらで生まれた9歳の息子がいます。


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■コナのリゾートホテルにて、息子の紘右(こうすけ)と。
屋外のようなロビーでレイをかけてもらいます。


ハワイは、人が住んでいる島が7つ、ほかに無人島や岩礁などが130ほどあります。
有名なワイキキがあるのは、オアフ島。
私が住むハワイ島は、日本からは一番遠い東側にあり、
残りの島全部を合わせたより大きく、通称ビッグ・アイランドと呼ばれています。
面積は、ほぼ四国の6割弱。
そこに富士山より高い、4,205mのマウナケアと、4,169mの
マウナロアがあります。


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■飛行機の中から見た、雪を頂く、手前がマウナケア、奥がマウナロア。


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■ヒロの町から見た、左がマウナロア、右がマウナケア。
なだらかなため、とても4千メートル以上ある山には見えません。


世界一高いエベレストが8,844mですが、
ハワイ島は海底6千メートルからそそり立っているため、
もし月のように水がなければ、マウナケアの高さは、10,203mになり、地球一高い山です。
この冬も何回か、山頂に雪が積もりました。
「マウナ」はハワイ語で 「山」、「ケア」は「白い」という意味です。
雪が積もると、スノーボーダー、スキーヤー、雪をトラックに積みに行く人などが殺到します。
その数は、400人ほどですが。
午前中スキーをし、午後はサーフィンができるというのは、ハワイ島の人たちの自慢です。


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■ヒロの空港から見た雪のマウナケア。山頂では、スキーが楽しめます。


ヒロは、ハワイ州で2番目に人口の多い町ですが、
1番多いホノルルが90万人なのに対し、ヒロはたった5万人弱です。
ハワイ島全体でも15万人しか住んでいません。
“ハワイ”といえば、ワイキキの賑わいを思い浮かべる方が多いと思いますが、
ハワイ島は、ハワイ好きが最後にたどり着く島といわれ、
手つかずの豊かな自然が残されています。


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■昔の火口が波で削られ、入り江になったグリーンサンドビーチ。
ここの砂は、溶岩に含まれていたかんらん石のため、砂がうぐいす色の緑です。


その中で最も有名なのが、活発な火山活動です。
海の底に、ホット・スポットと呼ばれる、マグマの噴出口があり、その活動によって、
島も山も作られています。 今も海底に、ロイヒと名付けられた新しい島が生まれつつあります。
天文台があるマウナケアは、このマグマ・スポットからはずれているので
噴火することはありませんが、マウナロアは、ここ数年、「明日にも噴火しそうだ」と、
言われ続けています。マウナロアが大規模に噴火すれば、ヒロの町も溶岩にのまれると
いわれていますが、私も含め、みんな気にせず住んでいます。
マウナロアは1984年に最後の噴火がありました。


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■ボルケーノ国立公園から見たマウナロア。標高4,169mで、これでも富士山より高い山です。


国立公園内にあるプウオオは、記録を更新しながら、長期に渡って噴火し続けています。
近年も、溶岩が噴き出し、町や海岸が溶岩にのまれてしまいました。
しかしハワイの溶岩は、粘性が高く、ゆっくり流れるので、人が亡くなることは、
ほとんどありません。「3日後にはうちに来そうだ」と、家財道具を持ち出し、
自分の家が 焼けるところをビデオに収める人もいます。
また、水をかけ、家の手前で溶岩を固めようとした人もいましたが、焼け石に水。
ホースの水くらいでは溶岩の進路は変えられませんでした。


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■溶岩は冷えると黒くなります。赤い溶岩とのコントラストが美しい。


それよりも、この溶岩を噴き出させているといわれる、
ハワイの女神「ペレ」の好物である、お酒のジンを供えて祈ると、
溶岩の進行方向が変わると信じられています。


ペレは現在、国立公園にあるキラウエア火山の、
ハレマウマウ火口に住んでいるといわれています。
ペレは、ハワイに住む人々にとり、とても身近な火の女神です。
数々の伝説があります。


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■ハレマウマウ火口。いつも煙がモクモクと出ています。ペレはここに住んでいるといわれ、
ハワイの人々は祈りを捧げにここに来ます。


ペレの気性は激しく、日本人が描く神様のイメージとは大きくかけ離れています。
わがままで、自分の思い通りにいかないと、怒って火山を爆発させます。
姿は美しく、ハンサムな男に目がありません。
島の真ん中を横切るサドルロードでは、ペレが老婆の姿で道ばたに立っていることがあるので
親切にしなくてはならない、町には、白い子犬を抱いた、赤いムームーを着た
美しい娘の姿で現れるともいわれています。
また国立公園にあるボルケーノハウスのロビーには、煙の中に現れたペレの顔だという写真が
飾られています。迫力のある顔です。


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■島の真ん中を突き切るサドルロード。ハワイ島の1/11を有するパーカー牧場を通ります。
その牧場にかかる虹。


いくつかあるペレの伝説から、ひとつをご紹介します。

その昔、オヒアというハンサムなハワイアンの男性がいました。
オヒアに一目惚れしたペレは、ある日、「私と結婚しなさい」と、オヒアに迫りました。
オヒアには、レフアという恋人がいました。
ペレの申し出を断ると、怒ったペレがオヒアに向かい、
「醜い木になってしまえ」と、呪いをかけます。  
オヒアは、歪んだ貧相な木になってしまいました。


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■溶岩が固まり、苔や草が生えたあと、最初に大地に育つのがオヒアです。成長が遅い木です。


恋人のレフアがそれを嘆き悲しんでいると、ペレの妹で、心優しい女神のヒイアカが、
レフアを花にし、オヒアの木に咲かせてくれました。
オヒアの木は、溶岩が流れたあと、最初に大地に生えてくる木で、
ハワイアンの人々は、とても大事にしています。
そのオヒアの木には、レフアという可憐な花が咲きます。


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■レフアには、赤の他に、黄色、オレンジ、白もあります。


こうしてペレの怒りに触れたオヒアでしたが、
ヒイアカのおかげで二人はいっしょにいられるようになりました。
ハワイアンはレフアで美しいレイを作りますが、レフアの花を摘むとき、
オヒアと離ればなれになるレフア泣いて、雨が降るといわれています。


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■レフアには、蜜があり、絶滅危惧種のミツスイという鳥が、その蜜を好んで吸いに来ます。


ペレにまつわる伝説は、気に入った男性がらみで思い通りにいかず、怒り狂い、
噴火するという話が多くあります。
実際、エネルギッシュな溶岩を見ていると、爆発的なパワーを感じますから、
このような勇ましい伝説になったのだと思います。畏敬の念を持たずにはいられません。


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■まるで地球の血液のように流れる溶岩。


最近、火山活動がまた盛んになっています。
カラパナというヒロから車で1時間ほどドライブした場所では、
目の前で流れる溶岩を見ることができます。
アスファルトも燃やしてしまうほどの高温で、見ていると、熱くて汗がだらだら出てきて、
私は、「溶岩ダイエット」と呼んでいます。


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■アスファルトを塞いでしまった溶岩。


大地から出てきたドロドロの溶岩は、空気や地面に触れたところから冷えて固まります。
独特の、パチパチという音を出し、表面が弾けます。
まるでお餅がトースターの中でふくらむくらときのように、割れ目から出てきます。


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■溶岩は、この島から持ち出すと、ペレの怒りに触れるといわれています。
目に焼き付け、写真を撮るだけにしましょう。


溶岩が流出し始めると、アメリカ本土からの観光客が増えるといわれるくらい、
実際に自分の目で見たいと思っている人が大勢います。
しかし、毎日、流れが変わり、予測もつかずに噴出が止まったりするので、
一度の訪問で見られたら、それはよほどの幸運です。
地元に住む私たちでさえ、「昨日、すごかったよ」と聞いて、
今日行っても「外れ」ということがよくあります。


目の前を流れる赤い溶岩は滅多に見られませんが、
黒く固まった溶岩を見るだけでも、地球のエネルギーを感じます。
溶岩には、大きく分けて2種類あり、最初に出てくる、高温の粘性があるパホエホエが、
突然化学変化を起こし、ホワイトソースが一瞬にして分離するように、
アアというごろごろした溶岩に変わります。
アアは、ガラガラと進み、パホエホエより移動のスピードが早く、上り坂でも上がっていきます。
先に流れたアアの影響で、パホエホエの進路が変わり、進み方には予測がつきません。
その両方が入り交じった山の斜面は、黒とグレーのコントラストが見事です。


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■緑の部分は、溶岩が流れなかったところ。黒いのがパホエホエ、グレーなのがアア溶岩です。


また、溶岩が海に落ち、激しい水蒸気が上がっています。危険なので遠くらかですが、
白いスティームは常に見ることができます。
ハワイ島は今でも、少しずつ大きくなっています。


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■溶岩が流れ込む海は、その辺りの温度が上がり、特別な生態系をもちます。


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■ときには、近くで海に流れ落ちる溶岩を見ることもできます。目の前で小さな爆発がおきます。


ハワイ語に「マナ」という言葉があります。
マナとは、「神聖な源」「霊的な力」「超自然のエネルギー」など、とても深い意味を持っています。
ハワイ島はマナが満ちた島だと言われ、疲れた人を新たなパワーで満たしてくれます。
癒されたいと思われたとき、どうぞハワイ島に遊びに来てください。


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■マウナケア山頂からみる雲海。神秘的です。


最後に、ハワイ語で、「終わり」という意味の言葉、「パオ」をご紹介します。
地元の人は、集まりが終わるときも、「パオ」と言って終わらせます。
レストランで、食べ終わった食器を下げるときも、「パオ?」と聞かれることがありますから、
「パオ」と答えれば、ニッコリされるでしょう。それでは、パオ!


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■ハワイの青い海が、みなさんをお待ちしています。

☆能丸千秋さんのBlogと著書
http://www.noumaru.com/chiaki
山と渓谷社より 
「極楽ハワイ島の暮らし方」