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12月3日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、佐藤めぐみさんからの報告です!

ニューヨーク時間のあの有名なロックフェラーセンターの
巨大クリスマスツリーの点灯式でした。
今年のツリーは高さおよそ23メートル。
このツリーのおよそ3万個のカラフルなLED電球に灯りが灯りました。
そして、アレサ・フランクリン、ALILCIA KEYS、マイケル・ブブレなどがパフォーマンス。
いよいよニューヨーク、本格的なクリスマスシーズンの到来です。

ニューヨークのクリスマスの様子は来週からたっぷりレポートします。
その前に、今日は先週の続き。

辻仁成さん、
作家で映画監督で、そして元エコーズのボーカリストでもある辻さんが、
ZAMZAというロックバンドを結成。
ヨーロッパやアジアでプレイした後、ニューヨークでもCDリリース記念ライブを行い、
AT NEW YORK STUDIO に立ち寄ってくれました。
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先週は、辻さんは子供の頃からマンガを書くのが好きだった、という意外な話を
してくれましたが、「その尚古を見せましょう」とスタジオのガラス窓に書いていった
マンガの写真、前回のブログで見てもらえましたか?

ザムザというバンド名の由来は、カフカの小説「変身」
この中で、「目が覚めたら虫になっていた」主人公の名前がザムザなんです。

辻さんはZAMZAのプレイする音楽をマンガロックと呼び、
アルバムタイトルも「MANGA」
アメリカンロックで育ったメンバーが、
日本人やアジアの感性を加えてプレイする、新しいロックサウンド。
そして、そんな彼らが大きな影響を受けたのがマンガだからマンガロック。

でも実は、マンガロックと呼ぶ理由はもうひとつあります。
ベースのバンシー、そしてジンクこと辻さんが語ってくれました。
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バンシー「最初に音楽をやらないかって話し始めた時に、
世界でおこっている事がこんな事あり得るのかなって、
もっとそういう事を音楽に込めて発信していきたいってジンクが。
もちろんジンクはそういう事をエッセイや文として書いているんだけど、
音楽に込めてスマートにというか音楽の力でみんなに発信していきたいんだっていう
話しだったので。それはもう同じ世代だし同じ事を考えていたから、
一緒に音楽に込めてやりたいねって。そういう事が良い意味でも悪い意味でも、
昔だったらあり得ない事が世の中で起っていたりすると、
日本だと“マンガみたい”って言うんですよね。」

辻「それが“MANGA”っていう曲なんですよ。不条理な事も、
良い意味でも悪い意味でもマンガって言葉を使ってるんですね、僕たちは」
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バンシー「世界の人は単純に楽しみとしてマンガって言っているかもしれないけど」

辻「特に9.11ニューヨークで本当に驚くべき事があってあれから本当にショックで
自分たちの中の考え方も変わったんですね。暴力はいけないってなったし。
暴力的な事を単純に求めるのはいけないって思うようになったし。
考え方が180度変わったこの時代にマンガの意味がどういう風にあるのかっていうことも
自分たちは考えているし。
この不条理な世界もカフカが“変身”っていう小説を書いたときのような感じ。
世界は明日何が起るかわからないっていう不安感と、
その不安の中で生きている自分たちを等身大で描く事がZAMZAの目的です。
今の時代暗いけどもきっと希望がある。その希望を描かなきゃいけない。
そのアンチテーゼの中に、ある種マンガ的な言葉が良い意味でも悪い意味でも
存在しているっていう。
それぐらい深い事をマンガっていう風に歌う事によって簡単にみんなが、
なるほど、そうだよね、不条理だよね、カフカの小説読んだらある日目が覚めたら
毛虫になってたんだよね、でもそんな事も明日起こりえるかもしれないねこの世界は・・・
って思う事が我々が伝えるメッセージなんですよ。
それをジャパニーズコミックの世界、いわゆるマンガっていうものを借りて訴えてる。
ベルリンのライブの時に“マンガー”ってやったらみんな“マンガー”って手を降り続けて、
それが緑とかオレンジとか黄色の髪の毛の子達なんですよ。
でも彼ら終わった後も帰らないでずっと来てくれて、サイトまで作って、
またドイツに来て、スイスに来てって言ってくれたり。」

今の時代を切り取って、音楽にのせてメッセージとして伝える。

それも理屈ではなく伝えるためには、
このサウンドが必要だった、
それがZAMZAのマンガロック。

そんなZAMZAのニューヨークライブ、
お客さんは日本人とアメリカ人はちょうど半々ずつ。
辻さんも「英語は苦手」と言いつつ、ちゃんと英語でMCをやって、
時々ジョークも飛ばしてウケていました。

メンバーの多くは20代の頃ニューヨークを訪れて、
この街でライブをやるのが夢だった、と言っていました。
それだけに、みんなとってもいい顔して演奏してました。

そして、辻さんは、最初は真っ白なウィッグをかぶって登場、
ハードにシャウトするボーカルスタイルで、もうパワー全開な感じ。
ヨーロッパのライブではスカートをはいたというし、
ベースのバンシーはもうヘアもメークもキメキメ。
半分冗談でVISUAL-Kを意識してます? と聞いたら、大笑いされてしまいました。
彼らこそ今J-ROCKと言われるものを作ったみなさんですからね。
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子供の頃から大好きだったアメリカのロック、
それに日本やアジアの感性、そしてたった今の世界へのメッセージをのせて
再び世界に発信する。

こういう事って、「やってみたい」という気持ちがあっても、
実際に行動している人、まだまだ少ないと思います。

でも辻さんやバンシーさんの話を聞いていると、発信したい、という夢とか希望というレベルではもうなくて、
ぜったいやるぞ!
という強い意志であり、アーティストとしての覚悟に聞こえました。
そこがまだ、すがすがしい。

そのメッセージとは、
「今の時代暗いけれど、希望がある、その希望を描く事」

それに、何が起こるかわからない、というのは、
ただ「悪い事が起こるかも」ということだけでなく、
「素晴らしい事が起こるかも」という希望でもあるんです。

辻さん、そしてZAMZAのみなさん、
マンガロックにのせて、
日本の、そして世界の若者をつなげてほしい。
これからのZAMZAを要チェックです!

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers