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9月28日(火)のフラワーレポーターは、1998年からイタリアにお住まいで、現地でサッカージャーナリストをされている新谷智子さんです!

◆今回、ザッケローニさんが日本代表の監督となりましたが、このニュースは、イタリアではどんな風に伝えられたんでしょう?


ザッケローニ監督が日本の代表監督に就任したというニュースは、驚きとともにイタリアでも興味を持って報道されました。一番にスクープをしたのは全国一般紙のレップブリカで、「ザックが日本協会と最終交渉のために日本入りした」という内容。日本での正式発表の前日に、ザッケローニ監督の幼なじみの記者が書いたものだそうです。正式発表の翌日はイタリアの各紙、特にスポーツ専門紙3紙もそれぞれニュースを取り上げましたが、評判は様々。好意的に伝えた1紙とあとの2紙は、辛口評価でしたが、その理由はザッケローニ監督の最後のキャリアである昨シーズンのユベントスでの成績が芳しくなかったことが大きく影響しています。


◆サッカー・ジャーナリストとしては、どのように感じてますか?


私の個人的な意見としては、どうしてザッケローニ監督なんだろう?というのが正直なところ。イタリアサッカーの人気が落ちてしまった日本の現状を見ていても、それまでの代表監督交渉の流れを見ていても、いきなりの方向転換と言わざるをえない結果だと思います。ザッケローニ監督というと、大多数のイタリア人の見方同様、「過去の人」という印象があります。過去の人という言葉は正確ではないかも知れませんが、’98年-'99年シーズンのミラン優勝の後、指揮を執ったラツィオ、インテル、トリノ、ユベントスで結果が出ていないことと、失業中だった期間が長いことに何か理由があるのではないかと思っています。(ちなみにザック監督のミランが優勝を決めたのは、中田英寿選手が加入した1年目のペルージャとの最終節。ペルージャの地でしたので、良く覚えています。)そしてもう一つ気になる点は、郷土愛の強い人で、イタリア以外の国で監督をしたことがないというところ。代表監督の経験もないというところも気になりますが、日本という遠く離れた異国、文化も習慣も全く異なる国にどう対応できるかも気になります。これはザッケローニ監督の評判を取材したイタリア人記者も「興味があるところ」と言っていました。


◆ザッケローニさんが、なぜ日本代表の監督になったのか?その経緯については、何か報じられていますか?


正確なことは分かりませんが、実は今回のザック・ジャパンのイタリア人スタッフに最後に加わったコラウッティさんは10年来の友達なのですが、7月下旬から日本での報道がどうなっているか聞かれていました。当然トップシークレットでしたので、素性は明かさず、内容も明確にせずでしたが、ザッケローニ監督の名前は途中で言い当ててしまいましたが。ですので、7月末頃から水面下で極秘に話は進んでいたのだと思います。第一候補であったかどうかは分かりませんが。


◆日本ではまだザッケローニ監督がどんな人なのか?なかなか分からないんですが、どんな人なんでしょう?


人柄は良いとみんなが口を揃えて言っています。対話を好む説明好きな人と言ったイタリア人記者もいました。現場レベルでは、攻撃的でスペクタクルなサッカーを理想とするので、日本のスタイルにも合うのではないかという声も。ただし、過去に3-4-3の布陣にこだわりすぎて上手くいかなったという話も聞きます。ご本人は3バックに固執しているわけではないとおっしゃっているようですが。


◆ザッケローニ監督率いる日本代表。新谷さんは、今後の展開などはどう見ていらっしゃいますか?


海外での経験がないこの監督の日本での活躍は未知数です。ザック・ジャパンが上手くいくかどうかは、日本サッカー(プレーだけではなくスタッフなど人の面も含めて)とイタリアサッカーがいかに上手く融合できるかが決め手になると思います。両者の間には多くの相違点があり、イタリアのスタイルをそのまま持ち込んでもそれは上手く行かないはず。ですのでこの監督が、日本のサッカーを良く理解し、自分の経験や知識をどう混ぜ合わせていくか、今後気にして見ていきたいと思います。料理で言うと、イタリアンを日本の素材で日本人好みの味を考慮しながら上手く作り上げる、ザック・シェフの腕前拝見という感じ。ちょっと違いますか?


◆初采配も来月8日アルゼンチン戦ですが・・・


代表監督の難しいところは、日々一緒に練習している選手を使って試合をするわけではないというところ。ましてや彼は日本に来たばかりで、日本人選手の知識や情報収拾をいまから始めるところです。当然、自分のやりたいサッカーをすることは不可能でしょう。8日の試合も、12日の日韓戦も現状把握のための試合となるのではないでしょうか。大切なことは、結果が負けであっても内容が物足りなくても、それだけで判断したり大袈裟に騒がないこと。もっと長い目で見ていかなければ、上手く行くものも上手く行かなくなります。


★イタリアに行った時、会話に花が咲くような役に立つ一言”。


Prego(プレーゴ)、「Grazie(グラーツェ):ありがとう」に返す言葉で「どういたしまして」という意味でもありますが、人に物を勧めたり、譲ったりするときに「どうぞ」の意味でも使います。この言葉を使うときには、にっこり笑顔で。