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8月20日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、佐藤めぐみさんからの報告です

先週、宮崎駿監督のPONYOが全米公開、という情報をお伝えしました。
ご存知の方も多い?と思いますが、
先週末公開され、週末3日間の興行収入3億3千万円で全米9位。
トップ10に入りました。

これまで宮崎作品は、前作の「ハウルの動く城」が14位、
その前の、アカデミー賞をとった「千と千尋の神隠し」が15位、
もちろん、日本映画が全米927ものシアターで一気に公開されるのも、
トップ10に入るのも初めて。。。すごい事なんですが、
アメリカではもっと行くんじゃないかと期待する声もあったのです。

宮崎作品だけでなく、日本のアニメ、そして他のアート、
まだまだ行ける、感じがします。
私もそういう日本のポップカルチャーをアメリカに伝える仕事もしているので、
がんばって応援したいと思います。

さあ、そして今日のメインの話題は、アメリカのそしてニューヨークがほこる文化、ブロードウェイ。

ブロードウェイでこの夏大ヒット中のミュージカル、「ヘアー」
60年代のヒッピームーブメントや反戦メッセージがテーマで、
初演は1968年、
2009年のトニー賞、
ベスト・リバイバル・ミュージカルにも輝きました。
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私も見に行ってきました。
ブロードウェイというのは、
あの有名な世界の交差点、タイムズスクエアから、
ちょっと角を曲がったあたり。ここに劇場が40件以上かたまっています。
これがブロードウェイのシアター街。
有名な「オペラ座の怪人‘も日本でヒットした「ウィキッド」もみんなこのへんでやっています。
ここで毎晩夜8時になると、全部の劇場で一斉に幕があがります。
8時ちょっと前に、ヘアーの劇場「アルハーシュフェルドシアター」に行くと、
劇場前にものすごい列。
「オペラ座」みたいなロングラン作品は、観光客が多くなりますが、
「ヘアー」のような新作は、ニューヨーカーが圧倒的です。
40代、50代のかっこいいキャリアウーマン風の女性が目立っていました。
10代の若者の姿も見られました。
さあ劇場に入って、灯りが落ちて。。。バンドがプレイしはじめたのは、この曲1969年、フィフスディメンションが歌って歴史に残る大ヒットになりました。

タイトルは「アクエリアス」。

ヘアーは若者が主役、
30人くらいのヒッピーのかっこうをした若いアクターたちが、
一気にステージで歌い踊るのですが、
みんな歌も踊りもものすごくうまいし、かっこいい。
しかも、彼ら、ステージだけでなく、客席にもどんどんおりて来る。
劇場はキャパ1200人くらい、こぢんまりしたシアターを
客席まで全部使ってやってる感じ。
通路で歌いまくり踊りまくり、耳元で肉声も聞こえるし、
気がつくと自分も、ミュージカルの中にまきこまれているんです。
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ダイナミックなかっこいいミュージカルですが、ストーリーはシリアス。
ヒッピーカルチャーは、その時代のベトナム反戦運動とも深くつながっています。
フリーセックスなど、青春の喜びと自由を謳歌している若者も、
戦争への召集令状から逃れることはできません。
この物語は、自分の義務を全うすると決めた主役の若者が、
結局戦死してしまうところで終わるんです。
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40年も前に作られた作品が、
今の時代に甦ったのは、そんなストーリーにもある、と語るのは、
このミュージカルのディレクター、ダイアン・ポーラスさん。

「あの時代の若者は、自分たちの手で何かを変えることができる、
と信じていた。
でもその希望は挫折に終わり、
何十年にもわたる皮肉に満ちた時代が、アメリカを被ってきた。
でも今また再び、私たちは庶民の手に希望や力が戻ってきていると、
実感している。もちろんオバマ大統領が誕生した事とも関係がある。
私たちの手で世界を変えるんだ!、というヘアーの発信するメッセージは、
2009年の今だからこそ、共感を呼んでいるんだと思う。」

変わりゆく世界の中で、40年の時を超えてリバイバルしたミュージカル「ヘアー」
もしニューヨークに来るチャンスがあったら、ぜひおすすめ。
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とにかく、ブロードウェイミュージカルは一度は見ることをおすすめ!
プロダクションもキャストもスタッフも、世界最高のものが集まると、
こんなものすごい事になるんだ、 と目からウロコ! 

本を読んでもテレビで見ても、自分の目で見てみない事には、
絶対わからないことが世の中にはあるけれど、ブロードウェイもそのひとつ。とにかくおすすめ!
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佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminy

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