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7月30日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、佐藤めぐみさんからの報告です!

5月にニューヨークの映画祭、トライベッカ・フィルムフェスティバルと、
そこで公開された「おくりびと」の話をしたのを覚えてますか?
(滝田監督と本木さんのの声もお聞かせしました)

映画好きな街ニューヨークで、また今月面白い映画祭がありました。
「アジアン・フィルムフェスティバル」今度はアジアにしぼられているので、
日本の作品も何本も上映されて、アジア映画ファンにはたまらないイベントだったんです。

その中で2本の新作フィーチャーされたのが、園子温監督
日本ではことしはじめにヒットした「愛のむきだし」と
間もなく公開される「ちゃんと伝える」 これはニューヨーカーの方が先取りで見たことになります。
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その「ちゃんと伝える」の方に主演した奥田瑛二さんとふたりニューヨークに来ていて
インタビューする機会がありましたので、今日はそれもお聞かせします。

映画「ちゃんと伝える」の中で、病気で亡くなってしまうお父さんを演じているのが
奥田さん。その息子がAKIRAさんなんですが、
園子温作品だけに、途中からびっくりするような展開が待っています。

まずどんな映画かお二人のコトバで聞いてみて下さい。


<舞台が愛知県の豊川稲荷が印象的に出て来ますよね。あれは、子温さんの故郷なんですよね。>
子温 「そうですね。二人とも同郷なんで。。。」

<そうですよね、二人とも愛知県>
奥田『そうですね。僕ね。もちょっと離れてますけどね。』

<これは、実話というか、 子温さんの体験なんでしょうか?>
子温 「いや、実話ではないのです。実話というか、
本当にシンプルな所だけ合っていて、あとは全部創作なんですけれど。
家の父は、去年の1月に亡くなりまして、それがまあ、きっかけになっていて、
まあ、厳しくて、厳格なので、僕が若い頃反抗したとか、そういう事で会話がなくて、
すれ違っていたとか、そう言ったことのテーマに近いものは合っていますよね。
実話にも基づいてなくて、サッカーの鬼コーチでもなんでもないし、
だからあれは、要は、そのつもりもなく作って、最後にはやはりこれは、
ちゃんと伝えるというタイトルもあるし、親父に捧げるというのは、
黙っておかない方が良いかなと、言葉にしちゃった方が良いなと思って、
最後に捧げるって入れて、編集が終わった時に入れたんで。
あれ入れたせいで、皆にこれ全部実話って言い方されて、
たまたま最後までそんなの台本にも無かったし。」

<最初は、子温さんにしては普通な感じで始まるんですけど、
途中から、えっ、えっ、えっ、みたいにどんどんなって行って、
それからもう、本当に 奥田さんが、つまり、お父さんが亡くなった後の 奥田さんが凄くて。。>

奥田 「あれはね。つまり最初に台本貰った時にずっと読んでて、
客観的にぼろぼろ泣くわけですよね父親が死んで一緒に魚釣りに行く下りの所からね、
ずーっと、“わー”って泣く。泣くんだけど、これを俺がやるのかと思った時に
どこをどう演じればいいのかと思う訳ね。
一人前の役者ですから、鬼コーチ、父親はオーケー、
でも一番人が感動するであろうというのは、全部死体ですよね。
それはね。凄く勇気が要りましため、決断するのに。
でも今までに誰もやってないわけじゃない? それを 演じきるという物をね。
特に日本の俳優さんはいない思うので、だったら初めて、
努力しようという事で、それが僕のすごーい燃えた所ですよね。
かといって、燃えたって言ったって、息はしちゃーいけないしさ(笑)、
リアクションしちゃいけないじゃない? だから、“すごーい”我が身を捨てて心を無にするんだけど、
神経という魂は生きてる訳じゃない? これがね。。結構良い経験でした。」


「ちゃんと伝える」は、どこか「おくりびと」を連想させるような、
とても深い映画。。。。

そういえば、ほとんどのシーンを自分の故郷の豊川稲荷の近所で撮影したと
言っていましたが、その中には彼自身の実家の台所がでてきたりします。
そのシーンのひとつひとつが、日本の普通の生活の風景なんですが、
そういう方がかえってアメリカ人には珍しいこともあって、
みんなじっと見ていました。


アメリカ、といえば。。。海外での映画祭への参加は珍しくないお二人ですが、
園子温監督は、ついにハリウッドデビューがきまりました。

子温「”愛のむきだし”の直前に、日本を飛び出してはハリウッドに行ったんです。
日本映画だけ撮ってると行き詰まるなと思って、こっちに企画を持ち込んだんですよ。
今回それがうまくいって、今年の9月からアメリカ映画撮るんですけど、
舞台はノルウェーなんで、そちらで撮影。でこれ、もう今(アメリカに)来てるんですけど、
来年まで(日本に)帰れないんですよ。荷物、全部1年分くらい持って来てるんで。」

ニューヨークで俳優のオーディションをして、そのままノルウェー入りする、という
子温さん。

ノルウェーの物語を日本人が監督し、ハリウッドから世界に発信する、
本当に「伝えたいことを伝える」ためには、国境をこえてしまう、
今はそんなエキサイティングな時代です。
自分と同じ感性の人は、海のむこうにも必ずいますからね。

でも、近くの大切な人に伝えたい事をちゃんと伝えるのも、大事かもしれませんね。

「ちゃんと伝える」は日本では8月22日に公開されます。
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佐藤めぐみ  
ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、
日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、
アメリカのJ-POPファンのためのイベント
「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminy