• 2012年10月17日リリース!
    ASKA、7年ぶりのソロアルバム「SCRAMBLE」を、 トムセン陽子視点で解説した「トムセン・レビュー」!

  • 1.「UNI-VERSE(Album Mix)」

    待望のニューアルバム1曲目を飾っているのは2008年にリリースされたこちらのシングル。ライブでは必ずセットリストに入っていた曲なのでファンには馴染みの深いナンバー。それを今回1曲目に持ってくるというのは、改めてこの曲の中で歌われている内容を伝えたいというASKAさんの気持ちの表れのような気がします。「みんなでひとつになればどんなことも乗り越えられる。そしてみんなをひとつ(=UNI)にできるのは、音楽(=VERSE)なんだ。」といったメッセージを、いろんな出来事が起こる前の2008年に書いていたのには驚きです。

    ★トミーのマニアックポイント(以下トミマニ):暗いところから光のある場所へパーッと抜け出るようなストリングスのアレンジがとっても美しい!ライブでは「あの日のアトムみたいだ」の部分になると両手でアトムポーズをするASKAさん。私もついついやってしまいます(笑)
  • 2.「いろんな人が歌ってきたように」

    「UNI-VERSE」同様、ASKAさんが今私たちに伝えたいことがぎゅっと詰まっているように思われるナンバー。「そろそろね 口にしてもいいだろう すべては愛だってことを」というフレーズを聴いたとき、いつになくストレートでシンプルな表現だなと感じました。それだけASKAさんがいま強調したいことなのかもしれません。「良いことも悪いこともすべて自分に返ってくる」。ASKA哲学、満載です。

    ★トミマニ:「言葉じゃそれほど~」と歌い出す後半のブリッジ部分の2行を聴くと、心の中がざわざわしてきて「あの空に掛けた鍵を外したい」でそのざわざわがEXPLOSION!!する感じ・・・伝わりますか??
  • 3.「朝をありがとう」

    今年の1月に行われたライブ「昭和が見ていたクリスマス!?Prelude To The Bookend」でいち早く披露されたナンバー。初めて聴く曲なのに武道館のお客さんはノリノリでみんながhappy smileでした。私たちを笑顔にさせたのは、新曲を聴けた喜びの他にこの曲のポップマジックにかかったからだ!とその時思いました。例えばそれは「NEVER END」の「Hello」だったり、CHAGE&ASKA「CODE NAME.2 SISTER MOON」の「青春の鼓動」だったり・・・アルバムの中で一際キラキラしている耳馴染みの良いポップサウンド。聴くたびに口元がほころびます。それにしてもASKAさんがタイトルや歌詞に「ありがとう」という言葉を使ったのは今回が初めてかも!? 真っ白な1ページを与えてくれる朝に感謝して毎日大切に過ごしていきたいですね。

    ★トミマニ:イントロの「ピッピピーピピピー」はアラーム音を表現しているんでしょうか。1日が始まるような広がり感のあるアレンジがステキ!最近は毎朝ipodでこの曲聴きながらルンルンで移動しています。
  • 4.「L&R」

    2009年にリリースされたシングル「あなたが泣くことはない」のカップリング。ファンの方はご存知、Lはあの方のことを歌っていますね。「海」「風」「月の光」など、これから進む道を(あるいは今まで歩んできた道のりも含めて人生を)航海に例えているような言葉が印象的です。でも私たちファンが最もフックするのはやはり「いつかまた並んだら・・・」の部分でしょうか。Love & Rollの日が楽しみです☆

    ★トミマニ:「音もなく切り取られた月の光が~」のあとの「ウ、ウォウ~ウォウ~」がいい!このあとのトミマニにも出てきますがどうやら私、ASKAさんの瞬間的になる裏声にグッとくるみたいです(笑)
  • 5.「どんなことがあっても」

    ピアノのイントロから始まるソフトなメロディが心地いい1曲。なのに歌詞をよく聴いてみると気になるフレーズがたくさん散りばめられています。「僕の喜ぶ答えを君が言うなら 君は間違ってる 僕と同じように」ってどんな「答え」だろう?「いつか本当の歌を作ってみたい」の「本当の歌」というのはどういう「歌」だろう?こんなふうにASKAさんの頭の中に思いを馳せる秋の夜長です。そういえば今回のアルバムにはいろんな空が出てきますね。「青い空(UNI-VERSE)」「鉛色の空(歌の中には不自由がない)」「指先の空(SCRAMBLE)」そしてこの曲では、自分に語りかけてくる「cloudy sky」。まるでその時々の主人公の気持ちを表しているようで興味深いです。

    ★トミマニ:全体的にとても優しいトーンで歌われている曲。「今日はきっといいことありそうな~」の「なぁっ」と短く息を吐く脱力系ボイスにうっとり。
  • 6.「SCRAMBLE」

    今回のアルバムのタイトルチューン。以前ASKAさんがメキシコ旅行に行った時に現地の音楽番組を観ていたところ、流れてくる曲どれも全部めちゃくちゃ良い。「よし!日本に帰ったらこんな曲書くぞ!」ということで出来上がったのがこの「SCRAMBLE」だそうです。そう言われれば確かにノスタルジックなギターサウンドや間奏のピアノの音色がちょっぴりメキシカンな雰囲気。

    ★トミマニ:細かいですが「まるでブレーカ落ちたみたいに動けなくなった~」の「動け」の「け」(笑)!あと「やけに~」のあとのつぶやくような「やけに~ぃっ」。それは例えば「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」のイントロの超高音ファルセットボイスや「バーガーショップで逢いましょう」の「そろそろベッドで解決できそうもないね~っ」の「ね~っ」を初めて聴いた時の衝撃と似てるかも。ASKAさんの歌い方の新しい一面に出くわすと興奮します。
  • 7.「歌の中には不自由がない」

    今年1月に配信限定でリリースされたナンバー。オリジナルとしては初めて配信のみのリリース曲ということで、それだけ一刻も早く伝えたいメッセージがこの曲には込もっていたんだと思います。「本当のことはいつでも 誰かの口で捻れて行く」。つまり私たち国民は正しいことをひとつも伝えられていない、という日本の社会や政治家に対する不満。「外は雨」が降っていて「どんよりと鉛色の空」。納得のいかない心の色と重なります。でもどんなに理不尽なことが世の中にはびこっているとしても、歌の中だけは自由でいられる。最終的に私たちを救ってくれるのはやっぱり音楽なのかもしれない・・・暗く混沌とした中で一筋の光も見えてくるようです。

    ★トミマニ:重めのベースラインから始まるロック調のナンバー、大好きです。盛り上がるところとスッと引くところの緩急が絶妙。ちょうど中盤ぐらいのサビ前「街をたたんでく~」のあとの「おぅ~っ」が最高!!
  • 8.「あなたが泣くことはない(Album Mix)」

    大切な恋人との別れの瞬間を切り取った壮大なロックバラード。致し方ない理由で「背中合わせ」に別々の道を歩いて行かなければならない2人。「別れ」を選んだのは主人公の「優しさ」だと思い込んで涙する女性につぶやく。ちがうよ、泣くことはないんだよ。ずっと大切な人であることは変わらないのだから、その幸せを信じ合ってこれからも生きていこう・・・。ウィスパーボイスで厳かに始まっていくところから徐々に盛り上がっていくサウンドと主人公の感情がリンクしているようなアレンジが美しくも切ないです。

    ★トミマニ:2番の歌詞にある「冷たい雨も 降り注ぐ光も 見上げようとすれば 同じ顔になる」。「痛み」も「幸せ」もそれはその人の見方次第ということだと思うのですが、「いろんな人が歌ってきたように」の「good bye and hello どっちに見えるかは自分次第」に共通するのかも、と感じました。ASKAさんの自然を用いた比喩表現はとても繊細で心を打ちます。
  • 9.「水ゆるく流れ」

    この曲も「あなたが泣くことはない」同様、切ない別れの歌でしょうか。「あなたが~」がまさに別れ話を切り出した夜更けを切り取ったとすれば、こちらは落ち着いた様子でやや俯瞰で「別れ」について眺めているような印象を受けます。今回のアルバムでASKAさんは歌詞にとても苦労されたと聞いてきましたが、こんなにも美しい言葉を紡いでいたんだと思うと、7年待っていて本当に良かったという気持ちでいっぱいになります。ASKAさん、「ありがとう」。

    ★トミマニ:初めてこの曲を聴いたとき「蘇州夜曲」を思い出しました。気づいたら自然と体が左右に揺らいでいて、まるで流れに身を任せているよう。後半のコーラスとの掛け合いが特に気持ちいい。ああ、映画になりそうなほど美しくて儚い。
  • 10.「僕の来た道」

    2010年に行われたライブ『ASKA 10DAYS SPECIAL グッバイ&サンキュー東京厚生年金会館 "ここにあなたの足跡を"』で「歌詞がまだできてないんだけど・・・」と「ラララ」で歌ってくれた曲の完成型がここに!この表現が正しいかどうか分かりませんが、私はこの曲にとてもCHAGE&ASKAを感じます。2人で歌っている姿まで想像できてしまいます。CDが傷だらけになるほど、ビデオテープが擦り切れるほど、力いっぱい、体いっぱい、心いっぱいC&Aを感じていた中学時代を思い出してなぜだか涙が止まりません。それがまさに「私の来た道」だからでしょうか。近い将来また2人を同時に感じたい。私にとってはそう強く思わせてくれる1曲。

    ★トミマニ:「朝」「フルーツ」「映画館」「鉛筆」「教室」「卵ケース」「夕暮れ時」・・・さまざまな時間や場所や物が「たとえ」として出てくるこの曲。聴く度に頭の中でいろんな情景がファーッと広がっていきます。「ハンサムな道」、ずっと歩いていってほしいですね☆