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VOLUME 02

変わるか自民党!?どうなる日本の教育!? 安倍晋三×櫻井よしこ(2004.4.2収録)

 
政界の若きプリンス 安倍晋三自民党幹事長がジャーナリスト界の革新派 櫻井よしこを迎え、新しい日本の政治と教育を語る!
変わるか自民党?どうなる日本の教育?新しい日本の価値観は?

安倍 「櫻井さんにはジャーナリストの視点からいろいろとご意見をいただきたいと思っています。最近では、道路公団の問題についても歯に衣着せぬ発言で・・・」
櫻井 「もうバシバシと小泉さんを叩いております。私は幹事長が自民党を変えようということで人材育成を含めて努力をなさっていることは重々承知していますが、それと同時に、小泉さんは本当にこの国を変える気があるのか、疑問に思ってしまう点が幾つもあります。そのうちのひとつが道路公団問題です。私は政府の案では必ず破綻すると思っています。この辺をしっかり考えていただいて、この国を本当に変えるにはもっと他のやり方を探さなくてはいけないという観点を忘れないようにしていただきたいと思っています」
安倍 「道路公団の民営化の法律についてもいよいよ国会で議論が始まりますので、国民の皆さんにはしっかり議論に注目していただきたいと思います。私も自民党の幹事長になって、政府与党を批判するメディアと緊張関係にあります。緊張関係と言ってもお互いに切磋琢磨していくことが大切だと思っていますが、櫻井さんのコメントというのは無責任な批判ではなくて、その裏にはしっかりとした取材があってのことだと思っています。櫻井さんはジャーナリストとして、どういう点に一番気を使われていますか?」
櫻井 「私はアメリカの『クリスチャン・サイエンス・モニター』という新聞社の助手からスタートしました。その支局長が、“記事を書いたのが自分だということは目立たなくてもいい、読者がその記事を読んだときに、そこに書かれている事実だけが頭の中に残ってくれればいい”とおっしゃったんですね。自分の主張よりも、事実そのものを前面に出しなさいということだったと思うんです。自分がこう思うという感想よりは、実はこういう事実があるんですよと出す方がインパクトがあるいうことも分かってきましたので、そういう点を意識しながらやってきました」
安倍 「ジャーナリズムの中で、プライバシーと報道の自由ということが『週刊文春』の発禁問題でクローズアップされてきましたが、櫻井さんはどう思われますか?」
櫻井 「政治家の一員として生まれた方はどうしても注目されます。しかも田中真紀子さんのお嬢さんとなれば非常に目立ちますから。注目されるのはお気の毒だとは思いながらも、それは大人として引き受けなくてはならない宿命の一部かなと思います。政治家の一家に生まれたのは、必ずしもマイナスばかりではなくて、プラスもあるわけで、人間というのは幸か不幸かいろいろな生まれというのがあって、それを引き受けて生きていかなくてはいけないと思います。ただ単に離婚だ結婚だと騒ぐのもどうかと思いますけど、あの記事の書き方をみれば非常に配慮していますよね。彼女がどういう人生を歩むかっていうことは、田中真紀子さんがどういう子育てをしたのか、どういう価値観で人間関係を築いているのかということにもつながってきます。あの記事はお嬢さんを前面にたてながらも、実は真紀子さんを描いたものだと思っています。そういう意味では販売差し止め命令はとんでもないことで、これは事前検閲にあたります。今の日本では雑誌ジャーナリズムに対して法的にも社会的にも非常に圧力が加わる状況がそろっているわけで、このような裁判所の判断というものには書く人間として徹底的に闘っていかなくてはいけないと思っています」
安倍 「教育の問題は私にとっても櫻井さんにとっても、大きなテーマじゃないかと思っているのですが?」
櫻井 「私は道路公団の問題で激しい論陣を張っていますけど、結局、道路公団問題が失敗したとしても何十兆円のお金の損害ですむという気はしているんです。だけど教育で失敗してしまったら取り返しがつきません。他のすべての問題より教育の問題は深刻で重要だと思っています。2年間くらいかけて主に小学校で取材をしてきたんですけど、いまの日本の教育現場はまだら模様です。いい先生がいて工夫をしているところはすごくいいんですが、そうでない所は昔と同じ学習指導要領にしたがってあまり努力もしないで教えていて中味がスカスカであるというのが現実だと思います。学力という意味でスカスカであると同時に、日本の歴史については非常に曲げて教えてしまうという2つの点で問題があると思います。日本の未来を開くのはやはり教育です。これからも教育問題はしっかりとやっていきたいと思っています」
安倍 「小泉改革のなかでも教育改革というのは大変大きな課題だと思います。小泉さんは“米百表の精神”を大切にしろと言われましたが、自由民主党はいま教育基本法を改善しようと一生懸命がんばっています。やっぱり基本となるものを変えて、そして大きく建て付けを変えていくことが大切じゃないかと思います」
櫻井 「私は教育問題で幹事長にお願いがあるんです。学校で子供たちに本を読ませましょうという運動が行われていますが、この本があふれているはずの日本で子供たちが読む本が圧倒的に足りないんです。私も現場で取材をするまでは分からなかったんですが、圧倒的に子供の読む本が足りません。子供たちの本に5年間で650億円、1年で150億円の税金を割り振ることになっているんですが、特別交付税という形になっているものだから、地方自治体にいくとそれが他のお金に使われてしまって子供の図書費にいっていないらしいですよ。無駄な道路に何兆円も使うのだったら子供のために年間たった150億円ですよ、どうにかしてやってほしい。こんなに子供のための本が足りない経済大国なんてあり得ないと思います」
安倍 「そうですか、それは知りませんでした。それはぜひ“米百表の精神”で、そういう分野にはしっかりお金をかけていきたいと思います。
ところで、私の地元にコミュニティFMがあって、私の家内が2ヶ月に一回くらいキャスターを務めさせていただいてます。櫻井さんはラジオにもよく出演されるんですか?」
櫻井 「ごくたまにですけど、出させていただいています。ラジオってすごく面白いと思うんです。映像がなく音声だけですけど、その分考えさせてくれます。だから本当はもっとラジオに活躍してほしいと思います。ラジオが生活のなかに入り込んでくれば、もっと深く感じたり、もっと深く考えたりすることにつながっていくような気がします」
安倍 「テレビが登場したときに、ラジオの使命が終わったようなことが言われたんですが、決してそのようなことはなかったですからね。事実、ラジオの持つ影響力はこれからも変わらないと思いますし、果たすべき役割にも本当に大きなものがあると思います」 TOP


<櫻井よしこ>
ベトナム生まれ 新潟県立長岡高等学校卒業 ハワイ大学歴史学部卒業。1971年「クリスチャン・サイエンス・モニター紙」の東京支局勤務。1975年アジア新聞財団「DEPTHNEWS」記者となる。その後東京支局長を務め、1980年よりフリーのジャーナリストとして活動。この年から96年まで日本テレビ(NTV)のニュースキャスターを務める。94年度SJ賞受賞 第26回大宅壮一ノンフィクション賞受賞(94年)ダイヤモンドレディ賞受賞(96年)橋田賞受賞(96年)
 
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