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VOLUME 01

タネのない手品はない! 木村剛×花田紀凱
 
東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行し、現在、金融コンサルタント会社KFi(株)の代表取締役社長。2002年より小泉政権の金融プロジェクトチームのメンバーとして活躍中。

メディアの対応に木村流のきつい一言から―
花田 「ずいぶんテレビの出演も増えましたが、ご感想は」
木村 「テレビはメディアとして恐い、どういうふうに使われるのか、わかりませんから。ビデオ撮りは基本的にお断りしています。やはり生で、信頼のできるプロデューサーと現場の人たちが揃わないとテレビには出ません。恐いメディアですからね」
花田 「書かれた本の前書きに、雑誌というか、メディア批判をされているようですが」
木村 「はじめにレッテル貼りから入りますからね。手法としてはわかるんですが、レッテルを貼るなら貼るで、それなりの知見が必要です。ちゃんとした調査があってそのうえでやるならばいいのですが、面白おかしくというか、体制迎合というか……昔のジャーナリストはもっと夢があったように思うんですね。最近は、スポンサーがいるとか、情報源にべったりくっついてしまって、平気で嘘を垂れ流す人がいる。勝手に一方的なところで書き始めるというのはペンの暴力以外の何ものでもないですよね。だからこそ逆に、メディアの方々、ジャーナリストの方々の職責は重いですし、その方たちが正しい方向でやれば世の中がいいほうに変わるんだと思うんです」
花田 「2003年はどんな年でしたか?」
木村 「一年を振り返ると、初めは相当のバッシングで始まりました。外資の手先だと根拠のないレッテルを貼られて。私は淡々と正しいと思うことを言ってきました、それをわかってくれる人が徐々に増えてきた一年でした……。僕は実は、この五、六年同じことしか言ってません。そういう意味では発展型がないんですが、僕にまだなんとなく支持者がいるということは、世の中に、まだ常識も通じることがあるんだなということだと思います」
資金需要がないと主張する大手銀行を敵に回して―
花田 「2004年は、日本振興銀行を立ち上げられることになりましたが」
木村 「銀行は資金需要がないと言うんですが、どんな時代でもお金を借りたい人がいるから、あれほどヤミ金の問題が出てきているわけでしょう。それならば、新しい銀行をつくろうじゃないかということになって、今度、日本振興銀行をつくるんですが、つくるといった瞬間に、大きな銀行が、中小企業向けのローンとかチームをつくりますと言いだしたんです。だったらもっと前からやればいいのに……ということだと思うんです」
いよいよ金融維新の時代が到来か―
花田 「そんなに簡単に銀行ってできるんですか?」
木村 「僕らは金融維新と言っていますが、日本振興銀行だけではなくて、関西振興銀行も、東北振興銀行も全部つくっちゃえと……それで、健全に競争したほうがいい。これまでの銀行は床柱を背負って、本当に自分たちの思うがままのビジネスをやってきて、あまりお客さまを見なくても儲かるようなシステムでした。それは、やはりおかしいわけです」
お腹を痛めるのは誰か? うまい話にご用心!―
花田 「これからの時代、気をつけなくてはいけないことは?」
木村 「世の中にうまい話はない。世の中にタネのない手品はないということです。うまい話だと思ったら気をつけろ、それが基本ですよ。何をしなくても自分だけお腹いっぱいになるということはないんです。誰かのコストのもとにそれは成り立っているということであって、それは全部の問題についてそうなんです。財政出動はいいですよ、それで多くの人に公共工事でばらまく、それはひとつの政策の選択としてはある。でも、そのお金はどこから来ているんですか、ということです。税金でしょう。これは誰かのお腹をいためるんですよということです」
年金騒動の嘘と欺瞞を暴く!―
花田 「年金制度も変わるようですが?」
木村 「年金騒動のバカバカしさは、数字を弾いているのは誰ですかということです。厚生労働省のお役人ですよ。厚生労働省のお役人は5年ごとに嘘をつきつづけた人たちなんです。5年ごとに、財政再計算があって、それをもとにこうやれば大丈夫です、こうやれば維持できます、こうやれば未来永劫大丈夫ですと、嘘を言いつづけた人たちが、なぜ今回は本当のことを言っていると信じられるのでしょうか。僕は年金のデータを公開して欲しいとある政治家を通してお願いしたんですが、厚生労働省は何と言ったか……”データはありません“ですよ。データがなくて、支給年齢を引き上げ、保険金額を切り下げ、保険負担を増やす、これは詐欺と言うんですよ。こんなことをやっていて納得できるわけがない。国民年金を若い人が払わないのはあたりまえですよ。正当な防衛本能です。年金については、僕はひとつしかないと思う。脱退権を認めるということです。これまで払ったものは涙をのんであきらめる。そのかわりこれ以上払えと言うな。そうすると、抜ける人がいるでしょう。これは中長期的にみて、国の負担が減るわけですから意味があるんですよ。いいことじゃないですか。それで自力でやる。生活保護だけは税金でやればいいですから」
花田 「厚生労働省は信じられないと……?」
木村 「国民から見て一番何が信じられないかというと、厚生労働省のいうとおりにやって、その通りになったことがないということです。大丈夫だといっても信じる国民はゼロですよ。だから一度ご破算にしたほうがいいと思います」
御上を頼らない精神こそが自立の心を育てる―
花田 「リスナーの皆さんにこれからのアドバイスを……」
木村 「この一年、霞ヶ関の方々とのおつきあいが深くなってわかったことは、霞ヶ関が国民を大事に思っていると考えるのは間違っているということです。霞ヶ関にとって大事なことは霞ヶ関なんですから。そういう意味で”御上“をあてにしない。”御上“が、いいことをしてくれたら”おっ、たまにはいいことやってくれるじゃん“くらいの優しい気持ちでいると、自然と脇がしまって、自分で生きていこうという形になります。やっぱり、自分でやっていくしかないと考えると、チャンスというのは意外に転がっているもので、やりようだと思います。他人にやってもらうというよりも、自分はどうするかという方向感で生きていったほうが楽しみは増えるんじゃないでしょうか」 TOP
 
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