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7月23日(月)オーストリアのザルツブルグから高森義之さんのレポートです

ザルツブルグの夏といえば、「ザルツブルグ音楽祭」。
モーツァルトを記念した音楽祭として、世界的に知られているイベントで、
世界のトップオーケストラが集まる注目の音楽祭です。

今日は、オーストリアの夏をいろどる、この音楽祭について、
ザルツブルグで「オーストリア国家免許のガイド」をされていて、
また、バストロンボーンの演奏やオーケストラの指揮をする音楽家でもある
「高森義之(たかもり よしゆき)」さんに、お話を伺います。

Qこの時期の気候は、いかがですか?

⇒昨日は18度で、今日は30度超え。日によって10度以上差があります。

Qさぁ、ザルツブルグの夏の風物詩「ザルツブルグ音楽祭」ですが、
 開催期間を教えていただけますか?

⇒例年と比べて延びて、7月20日~9月2日までの1ヵ月半行われます。

Q日本では、「ザルツブルク音楽祭」と呼ばれていますが、
 ホントの名前は違うそうですね?

⇒「ザルツブルク音楽祭」という名称は日本「だけ」のもので、世界中では「ザルツブルグフェスティヴァル」と言っています。これは元々演劇でスタートしたものに、後からオペラや演奏会を入れているからです。
多分日本語の語呂が悪いので、音楽祭と言っているのでしょう。

Q今回の音楽祭の見どころは、どんなところでしょう?

⇒今年の音楽祭の見どころは、芸術監督が交代した1年目なので、芸術監督の得意分野オペラ(前任地はチューリッヒ歌劇場総監督)の充実度。
ロシア人の有名ソプラノ歌手ネトレプコ出演のラボエーム、スロヴァキア人の有名ソプラノ歌手コツェナ出演のカルメン、テノール歌手のカウフマンなどなど、名前を挙げればきりがないほどの出演者。

80歳を超えて、オペラを指揮するのは最後という噂のオーストリア人 アーノンクールの魔笛です。今年は例年に比べてオペラチケットの入手が困難になっています。

私はザルツブルク音楽祭には出演しません。夏は観光業が忙しすぎて、ここ数か月全く休みはありません。

Qオーストリアといえば、音楽の本場ですが、
 オーストリアの方々は、どんな風にコンサートを楽しんでいますか?

⇒野外で聞くものはありますが、純粋に音楽を聞きに行く人は外部のノイズが入る「野外の演奏」を嫌います。

ザルツブルク音楽祭もザルツブルク音楽祭発祥の元となった「イェーダーマン」という演劇だけは野外で上演されますが、他は1000~2300名収容のホールでの上演です。

ザルツブルク音楽祭を「町中の外で演奏している」と勘違いされている方も多いようですが、こちらはあくまでもセレブな社交場。

大体オーケストラの音量というのも、電力として測定すると5W以下の出力。外で演奏すると細かいニュアンスが聞こえないので純粋に音楽を聴きたいかたは聞こえないのでご不満ですし、我々オーケストラ側もPAを使うと演奏しにくいです。

もちろん夏に大がかりな舞台で野外演奏をする「ブレゲンツ湖上オペラ」、「メルビッシュの野外オペレッタ」などもありますが、これはこれで別な楽しみ方になり、大がかりな舞台と野外の雰囲気を楽しむというものです。

ザルツブルク音楽祭の様に本格的に世界のトップ音楽家が巨大音楽マネージメントを通して、出演にしのぎを削る音楽祭と、野外で楽しむ気軽な音楽祭の2通りのものがあるという事をご理解ください。

では、ここで、オーストリアからクエスチョンです!
高森さん、クイズの問題をお願いします!

Q「世界中の人が知っているのに、オーストリアとドイツでは誰も見たことがない
 と言われる、とても有名な映画とは、なんでしょう?」

正解は「サウンド・オブ・ミュージック」です。

Qなんで、オーストリアとドイツの方は、
 「サウンド・オブ・ミュージック」を見たことがないんですか?

⇒ドイツ語版が出来たのが遅かったことと、政治的な理由から昨年の10月にミュージカルが上演されるまで、誰も見たことがありませんでした。
タイトルだけは知っていて、歌を聴いてもわからないという人が多いです。

Qさて、高森さんがお住まいのザルツブルグは、どんな街ですか?

⇒ザルツブルクは歴史上、1816年までオーストリアに入っていなかった街です。それ以前は1000年以上もローマ法王が直轄する、カトリックの国として独立をしていたので、イタリア風の丸い教会の屋根などが多く、オーストリアの他の都市とは大分違った存在になっています。

Qザルツブルグは、モーツアルトの生まれた街として知られていますが、
 ザルツブルグの人々にとって、モーツァルトは、どんな存在でしょう?

⇒もちろんオーストリアを代表するモーツァルトはシンボル的な存在。

モーツァルトが浪費した記録をお店の台帳などから探し出した、「モーツァルト
お金、名誉、栄光」というドイツ語の本が2009年に出版され、私が来年までにこれから翻訳し、音楽之友社から出版予定です。今まで以上にモーツァルトの生活が見えてくると思います。

Qでは、これからオーストリア観光に行かれる人たちへ 音楽祭をはじめ、
 おすすめの観光情報など教えていただけますか?

⇒これからザルツブルクにいらっしゃる方にお勧めなのは、「きよしこの夜」発祥の地(ザルツブルク郊外)、世界遺産「ハルシュタット」(紀元前4000年から岩塩を掘っていた場所)、世界遺産「ザルツカンマーグート湖水地帯」(サウンドオブミュージックにも登場)などです。

オーストリアとはいえ、ザルツブルクは列車で6分行けばドイツという位置関係。首都ウイーンは列車で2時間43分かかるのに、ミュンヘンからも列車で1時間半で来れるので、東京からの直行便でミュンヘンにいらして、ミュンヘン観光、その後ザルツブルク~ウイーンにいらっしゃるのもお勧めです。


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