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6/7(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

今日のニューヨークはパーフェクトな初夏の1日でした!
本格的に暑くなる前のさわやかな日々、楽しみたいですね!
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暑くなると冷たいものが飲みたくなりますが、
みなさんは、ちぐささんは何を飲みますか?

私はダイエットコーラが大好き。

日本に行っていつも思うのですが、
昔みたいにコーラの自動販売機が減ったような。。。

アメリカ人が冷たいもの。。。というと
アイスコーヒー、
コーラなどのソーダ類。
(アメリカではコーラもジンジャーエールも「ソーダ」と総称されます)


そのサイズも日本に比べるとずっと大きい。

たとえば缶コーラの普通サイズは360ミリリットル
私がよく飲むペットボトル入りが600ミリリットル。   

こっちはこれがMサイズですが、日本じゃ絶対Lですよね。
ファーストフードや映画館に行くと、
スーパーサイズという巨大な花瓶かバケツのようなカップが。。。


実はこのMサイズ以上の炭酸飲料が、ニューヨークでは販売禁止になるかも、
という話。

問題はこれに含まれる砂糖の量です。

ニューヨーカーの肥満の原因の一つになっているから禁止条例を作るべきだ、
とブルームバーグ市長自らが旗を振っていますが、これに賛否両論。

何も禁止までしなくても。。。と思う方も多いかもしれませんが、
調べてみると事の深刻さにびっくりすると思います。

今日はニューヨークで飲めなくなるかもしれないラージコーラと
その背景にある肥満の驚くべき実態についてレポート。

まずは、最近目につくテレビCMの話から。

若い男性がカフェのテーブルで、手に持った砂糖の小袋を開け、
さらさらっと口に流し込む。
もぐもぐしながら次の袋を開け、3つ、4つ
。。。隣にいる若者が嫌な顔で見ている前で、彼は砂糖を食べ続けるんです。
そして30秒後に出るテロップは
「あなたは砂糖を16袋も食べたことはないでしょう? 
でも炭酸飲料のボトル1本には、16袋分の砂糖が入っているんですよ。」

このCMはニューヨーク市がもともとYoutube用に作ったもので、
このほど全米で放送されることが決まりました。

アメリカの肥満は危機的な状況です。
大人の3分の2は太り過ぎ、3人に一人は肥満。
これが原因となるさまざまな成人病は増える一方で、国民の健康をおびやかし、
膨張する医療費は国の財政を圧迫しています。

この肥満の原因については、さまざまな要因がありますが、
それはまた別の機会にしたいと思います。

ちなみにニューヨーク市、
どこよりも厳しい禁煙法があり、
レストランでも職場でも公園やビーチでも禁煙ですが、

実は肥満対策にも積極的なんです。その一つが砂糖入り甘味飲料の規制。
2009年にはソーダに課税する案も出ましたが実現しませんでした。

そして今回ブルームバーグ市長が強力にプッシュしているのは、
甘味飲料の販売規制条例。

実現すると、16液量オンス=480ミリリットル以上の甘味飲料は、
レストランでもデリでも、スタジアム、映画館などの売店でも売れなくなります。

アメリカの缶ソーダは360ミリリットル、ボトルは600ミリリットルだから、
ダイエット以外のボトル入りのソーダは、ほとんど姿を消す事になります。
(スーパーやコンビニは州法の管理下にあるので市の条例の適応は受けない)

また甘い飲み物といっても、乳飲料と果汁入りジュースなどはのぞくので、
事実上禁止されるのはソーダ、つまり炭酸飲料。
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ニューヨーク市飲料組合は「ソーダだけを対象にするのはフェアでない」と
抗議の姿勢。また小さな個人営業が多いデリのオーナーも、
売り上げに響くと頭をかかえています。

もしこれが実現すると、アメリカでは初めてのことで、全米が注目しています。

ニューヨーカーはどう思っているんでしょうか?
地元テレビ局の調べによると、
反対53%、賛成47% ということなんですが、

実際にニューヨーカーに話を聞いてみると、

「なかなかいい条例じゃないかな。僕は絶対的に賛成だね。」

え、でも世論調査では反対の方が多いと報道されてますよ。

「うーん、反対する人は、政府が個人の自由をどうこう言うのはおかしい、
という意見だと思うね。でも考えてみれば、
政府が国民の健康を守るのは当たり前だと思う。
600ミリリットルのソーダはヘルシーとは思えないからね。」

もうひとりは女性、おかあさんです。

「私はブルームバーグ市長が。何かと規則を決めたがるのは大嫌い。
でも今回はちょっと違うと思っています。
なぜなら甘いソーダを何も考えずに大量に飲んでいる人たちに対して、
規制することで、これはよくないんだ、飲み過ぎなんだ、
だから太り過ぎで糖尿病などの多くの病気が蔓延してしまうんだ、
という強いメッセージを伝えることができると思うからです。
とにかく今回のソーダ禁止には賛成ですね。」

こんなふうに女性の過半数は賛成派。ミシェル・オバマ夫人も賛成派です。

その理由を考えるうちに、びっくりな数字に遭遇しました。

アメリカの国民病となってしまった、肥満ですが、
実はニューヨーク市はアメリカの他の地域に比べ大人の肥満は少ないんです。
過半数が太り過ぎですが、
肥満は5人に一人 。

ところが、
ニューヨークでは何より子供の肥満が大きな問題になっているんです。

全米の子供は3人に一人は太り過ぎで、6人に一人は肥満。でも
ニューヨーク市のウェブサイトに行くと、

就学年齢の子供の4人に一人は肥満。

全米平均を大きく上回っているんです。
ニューヨークの小学校、一年生の40人の教室に
10人の肥満の子供がいることになります。

彼らはこのまま大きくなると成人病等の危機にさらされる可能性が大きいんですね。

ソーダはそんな子供たちに、すごくアピールするドリンク。
テレビコマーシャルには、
今いちばんホットなセレブやかこいいモデルが登場、
ミュージックビデオ並みにかっこよく作られています。
何よりアメリカ人にとって炭酸飲料はポップカルチャーの一つ。
私も子供の頃はコーラがアメリカっぽくて憧れだったりしました。

でも、これを飲み続けたらどうなるのか、自分で判断できる大人はいいとして、

「子供たちを守るためにはしかたがない」と感じている人が
賛成派の多くと言っていいでしょう。

子供たちが学校帰りに立ち寄る近所のデリや、
家族で出かける映画館などから、
大きなボトル入りの砂糖入り炭酸飲料が消えれば、
それだけで違うかもしれません。

この条例、現在施行される可能性かなり高いです。


佐藤めぐみ   ニューヨーク在住、フリージャーナリスト&プロデューサー
。アメリカを日本に伝え、日本をアメリカに伝える相互プロジェクトを数多く手がける。
J-POPファンのための英語サイトSAMURAIBEATRADIO.com(サムライビートレイディオ)」
ブラックコミュニティと日本をつなぐメディアHARLEM2NIPPON.comをプロデュース。
BLOG:http://ameblo.jp/meguminy