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3/22(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

今週も最高気温が軒並み20度越え!
明日の予想は記録破りの25度!
4月中旬に咲くはずの、ニューヨーク中にある街路樹ハナミズキの白い花
もう満開です。
そして、あの有名なワシントンDCのポトマック川沿いの桜も、今日あたりから満開だそうです!

実はこのワシントンDCの桜、もともとは日本から友好のしるしとして贈られたもの。
それが今年でちょうど100周年!
今盛大なフェスティバルが行われています。
でもワシントンだけでなく、ニューヨークにも、同じ時に桜が贈られていたんです。

このことはニューヨーカーはもちろん、ニューヨークに住んでいる日本人さえほとんど知りません。

このFLOWERS UPTOWN STUDIOから歩いて15分の距離に、
SAKURA PARKという公園があり、
100年前に植えられた桜がちゃんと今でも花をさかせるんです。

実はこのニューヨークへの桜プレゼントを記念して、先日イベントもありました。
場所は、アメリカ自然史博物館。
あの映画「ナイトミュージアム」の舞台になった、
そしてサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」にも出て来る巨大な博物館です。

実物大の恐竜とクジラの模型で世界的に知られるこの博物館で、
いったいどんな桜のイベントが行われたのか、
今日はそれをレポートします。

まずは会場につめかけたお客さんに話しかけてみました。
カサンドラさんと息子のブリストルくん。
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「このチェリーブロッサム・フェスティバルをネットで見つけて来てみたの。
折り紙や墨絵、影絵劇など、日本の文化を学びたいと思ったから。」
ブリストル君は折ったばかりのカメとお花の折り紙を見せてくれました。
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そしてリラちゃん、カリナちゃんとサンジェイくんは、
ジャパニーズスタイルのフラワーアレンジング、
生け花のデモンストレーションに真剣に見入っていました。
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桜がニューヨークにやってきて100年を記念して、
アメリカ自然史博物館で初めて行われた大規模なJAPAN FEST

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他にもお茶やお琴、そしてお習字や織物などを実際に試してみれるコーナー
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日系人和太鼓グループ僧太鼓のパフォーマンス、
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さらに実物大のクジラが天井からつる下がっているオーシャンライフ・ホールでは、
影絵の劇団、角笛シルエット劇場による「かぐや姫」
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そしてさらにおみこしや盆踊りまで、
初めて出会う日本文化に、たくさんの家族連れが夢中になっていました。

でもこのイベントの主役はやっぱり桜

桜の花も含めすばらしい生け花を披露してくださったのは、ジュディ 畑先生です。
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アメリカに住んでもう数十年になるという畑先生は、
「私たちにとっては懐かしいというのが一番ですよね。雲みたいにふわっと咲きますでしょ。
見ていて楽しいんですよね。その気分というのは日本人にとっては忘れられないんです。」

私達日本人にとっては、ニューヨークに長く住めば住むほど懐かしく感じる桜.
でも私達がじんと来たのは、実はこのフェスティバルの主役は
桜のセレブレーションだけではなかったことです。

ボランティアたちが訪れたお客さん達にブックマーク、しおりを手渡して、
メッセージをつのっていました。
これを東北の被災地にニューヨークからのメッセージとして贈るということでした。
ボランティアの一人、ボストンから来ている日系人、
KONDO KYOKOさんがこうコメントしてくれました。

「メッセージを日本に贈るお手伝いをしていますが、
このブックマークはこの博物館のアーティストが作った素晴らしいもので、
これを見て子供たちが将来ニューヨークに行きたいという夢が持てるのではないかと思います。」

メッセージが書かれたたくさんのしおりが、まるで短冊のように桜の枝にかかっていました。
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実はこのイベントを企画したのは、アメリカ自然史博物館のイベントマネージャー、
テディ・ヨシカミさん。アメリカで生まれ育った日系人です。
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「桜のフェスティバルにこんなにたくさんの日本の文化要素を加えられたことがとてもうれしいし、
桜の100周年だけでなく、震災から1年のメッセージを出せてよかったと思っています。
日本国民が一致団結して前向きにがんばっている姿を見て、世界中が感動しました。
それはまさに日本人の真の姿、価値あることだと思いました。」


実は桜の花に春を感じるのは、今では日本人だけではありません。テディさんは、

日本から贈られた桜のおかげで、ニューヨーカーは桜の花に親しむようになりました。
公園や植物園で春になれば桜が咲く、ということを
今では多くのニューヨーカーが知っています。本当に美しいですよね。
もし公園でのお酒が違法でなければ、お花見だってきっとはやると思います。
ニューヨークは特に世界の文化が共存する街、
みんなが少しずつ異文化を受け入れています。
おかげで今ではみんながお寿司を食べるようになり、
TAIKOという言葉さえ英語になってきました。
本当にエキサイティングな時代だと思います。」

でもニューヨークの桜が生きて来た100年間は、
アメリカと日本にとっては平和な時代だけではありませんでした。

「ご存知かもしれませんが、
アメリカでは第二次世界大戦中、日系人はみな収容所に入れられました。
私はそこで生まれたのです。
子供の頃私たちは、日本の文化を否定してアメリカ人として生きなければなりませんでした。
でも今はアメリカはあらゆる文化を受け入れるようになり、
私達も日本人、そしてアメリカ人であることに誇りを持てるようになりました。
これは大きな進歩だし、あの頃から本当に変わったと思います。」


友好のシンボルとして贈られた桜の木は、
今ふたたび友情の、そして平和のシンボルとして咲いています。

次の100年間、平和の花を咲かせ続けてくれるよう、私達もがんばっていきたいですよね。


佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers