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5月6日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポータ、佐藤めぐみさんからの報告です!

世界の観光客が必ず行く、そんなタイムズスクエアで
土曜日の夜爆発未遂事件がありました。

交差点に駐車していあった車から、煙が立ち上っているのを近くの露天商が発見。
NYPDの爆弾処理班が出動し、ロボットによる捜索の結果、プロパンガスのタンク3個と
ガソリン容器2個、花火と時限装置らしきものが発見…
容疑者はパキスタン生まれのアメリカ人ファイサル・シャザード30歳。
彼の動機と経歴が大きな話題を呼んでいる。。。
パキスタンの裕福な家に生まれ、留学、MBA取得、ファイナンシャル系の会社に就職,
結婚、家も買って去年アメリカに帰化。。。。まさにアメリカンドリームを成し遂げた、
移民の鏡!? そんな彼がなぜ?謎は深まるばかり。

ニューヨーカーは911の経験があるのでちょっとの事ではあわてませんが、
あれが爆発していたら、と思うと恐ろしい、というのが本音。

そんなニューヨークですが、市民の生活は至って平常、
以前もレポートした
トライベッカ・フィルムフェスティバルも先週末無事終了しました。

実はこの映画祭、去年の「おくりびと」の滝田監督に続き、
今年も日本のフィルムメーカーが招待されていました。
TETSUOでインターナショナルなカルトディレクターになった
塚本晋也監督
今日は彼の声も聞きながら、映画祭を振り返るレポートです。

2週間前に主催者デニーロのコメントお届けしましたが、
このフェスティバルの主役はセレブや映画ファンだけでなく、
地元ニューヨークのファミリーも、このイベントたっぷり楽しみました。

フェスティバルの中でも、
特に地元ニューヨーカーに人気が高いのが DRIVE IN THEATER


古き良き時代の伝統を受け継ぐドライブインシアターは
トライベッカ地域でも、自由の女神を見晴らす、ウォーターフロントの広場に
巨大スクリーンを設置。     
drivein_overview.jpg<ニューヨークハーバーを見晴らすこんな会場>


初夏の週末、夕暮れを楽しみながら映画鑑賞できて、しかも入場は無料! 
さらにフリーポップコーンつき。
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さらには併設のアトラクションエリアで、子供達はフェースペインティングしてもらい、
映画の前にはステージで、フラフープコンテストまであって盛り上がりました。
毎年これを楽しみに来るニューヨーカーも多いんです。
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若いお母さん、ローズさんと二人の小さな女の子は、
二人ともお姫様のフェースペインティングをしてもらってごきげん。
20代の映画ファンの女性3人組は、
「子供の頃見た大好きな映画BIGを見に来た」と言っていましたが、
トム・ハンクスの名作「BIG」
これは日本で言えば「となりのトトロ」みたいな存在?
大人も子供も大好きです。

Drivein_kids.jpg
<開演を待つ子供達>
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この他に先週末にはストリートフェスティバルも開催され、
トライベッカフィルムフェスティバルは、
映画コミュニティとニューヨークのコミュニティが
自然体で楽しむ素晴らしいイベント。
drivein_stage3.jpg<見ている子供達も真剣!>

drivein_stage4.jpg<こんなに小さいのにむちゃくちゃ上手い!>

drivein_kids3.jpg


後半は「TETSUO BULLET MAN」で参加した映画の塚本監督の
ラウンドテーブルディスカッションのもよう。

ラウンドテーブルというのは、およそ10人のメディア関係者が
文字通りテーブルを囲んで、クリエーターやゲストと歓談形式でインタビューするというもの。

塚本晋也監督といえば。1990年に発表され世界的なカルトムービーになった
「TETSUO」

本人の望むと望まないにかかわらず、人間のからだが鉄になって、人間兵器になってしまい、さまざまな敵と戦い、街を破壊せざるを得なくなる。
カフカにも似た不条理なお話。
これ1作で塚本監督は世界中の映画マニアの間でカルト的存在になりました。

その20年後に作られた
「TETSUO THE BULLET MAN」が今回トライベッカに招待され、
ワールドプレミア、世界初上映作品として上映。

実は20年後にオリジナル公開直後に、アメリカで作らないかというオファーがあったが実現しなかった。だから20年間ずっと暖めていたし、アメリカ人で英語というのは当然だったんですね。

しかしなぜ舞台は東京なのか?

ニューヨークを考えているうちに911が起こってしまった。
だからニューヨークを壊すのではなく、東京を壊すべきだと思った。

そしてもうひとつ、
戦争が終わって60年たった今、東京には戦争を知らない世代、
暴力の恐ろしさを知らない若者と、戦争をしようとする人達がいる。
そういう中で暴力を使うべきかそうではないかを悩むTETSUOを描きたかった。

塚本監督は東京を舞台にすることで、世界にこんなメッセージを送っているんです。

ところで鉄男=アンソニー役のエリック・ポシック。
実は彼もともとTETSUOの大ファンだったそう。

そして塚本監督にどんなディレクションを受けたのか、という質問に対し、
アンソニーはとても“ヤシャシイ“キャラクターだから、
ヤシャシイ、ヤシャシイと何度も自分に言い聞かせ続けた、と言っていましたが

ヤサシイという日本語、アメリカ人には発音難しいんですよね。

闘いや破壊だけでなく、
優しいという日本人が大切にする価値観も、この映画を通じて発信されたのかもしれません。

日本でも間もなく今月22日に公開
監督が「これは見るというより体感する映画」なんて言っていましたが、
見る人に音と映像で挑戦してくる、闘いを挑んで来る映画と言ってもいいかも。

世界の人が見たらどう感じるんだろう、なんて思いながら見ても面白いかも。

おくりびと、TETSUO

さまざまなメッセージを持った新しい色々な日本人の作品を、
どんどん出して来てほしいと思います。

Tetsuo.jpg


佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminyFlowers