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3月9日(火)のフラワーレポーターはポルトガルのリスボンに住んで25年、智子DUARTEさんです。

ちょうど2010年は日本ポルトガル修好150周年。
智子DUARTEさんは現地で、ポルトガルのお菓子屋さんを経営されていて、
「ポルトガル菓子研究家」でもあります。


■日本のカステラはポルトガルから伝わってきたといわれていますが…実は。


4月4日にイースター(復活祭)があります。
そのときにカステラの源のパォン・デ・ローというポルトガルスタイルのスポンジケーキを食べます。今、日本でも生焼けのパォン・デ・ローがはやっているということですが、実際ポルトガルにはたくさんの種類のパォン・デ・ローがあります。生焼けのもの、完全に火を通したよく焼けのもの。丸いもの、真ん中に穴の開いたドーナッツ型のもの、長方形のもの。型も素焼きの陶器のもの、アルミのもの。表面に砂糖をまぶしたもの、シロップにつけこんだもの。春を告げるイースターはポルトガル全国でいろんな卵をたっぷり使ったパォン・デ・ローを食べます。その卵、日本人は仏教徒ですので、16世紀には鶏の卵は食べていませんでした。それは仏教で殺生を禁じられたいたからです。でもキリスト教の布教とともに皆に配られた卵たっぷりのお菓子の美味しさに、当時の日本人は魅せられ、、、結局鶏の卵を食べるようになったのです。美味しいものは信仰をこえちゃった、ということです。ポルトガル人が来たことがきっかけで日本人が卵を食べるようになった。そこからがカステラの歴史の幕開け。長崎の菓子職人が当時日本にない天火を工夫して作る。これでグッと新しい料理法が日本に導入されるわけです。イースターを祝うのにお供え物としてパォン・デ・ローは不可欠。そのパォン・デ・ローを作るために皆が知恵を出し汗を流して工夫に工夫を重ねていく。カステラを食べるとき、一気にたべちゃいけません。昔の人の努力をおもって一口一口じっくり味わって食べてくださいませ。そんなカステラを焼いている唯一の外国人が私の夫パウロ ドゥアルテです。残念ながら、まだ外国人でカステラを焼くのは夫だけ。これからもっとたくさんの人にカステラを焼いもらえるようにPR活動をしていきます。ポルトガルにはカステラという言葉もお菓子もありません。でもこの地でカステラを作り始めて14年。カステラファンも増えました。だからイースターびカステラを食べるポルトガル人も増えてきております。カステラ里帰りが人生のテーマ。さてさてあと200年、300年後にはsushiやsashimiくらいカステラもポルトガル人のなかで浸透していくのでしょうか?


■カステラ以外に、日本に伝わってきたポルトガルのお菓子はあるのでしょうか。


もうひとつのポルトガルと日本を結ぶお菓子「金平糖」をご紹介しましょう。日本の皆様もご存知のように、1543年にポルトガル人が日本に最初に入ってきたヨーロッパの人間。キリスト教の布教に伴い珍しいお菓子も日本に紹介しました。いわゆる南蛮菓子です。その中でとりわけ有名なのがカステラと金平糖。金平糖はウイキョウやコリアンダーの種を核としその核に砂糖液を繰り返して混ぜながら絡ませて、あの独特のいぼいぼを作っていく愛らしい砂糖菓子です。今ではポルトガルの田舎で細々と作られています。金平糖とはポルトガル語のCONFEITOが訛ったものです。CONFEOTOとは砂糖菓子の総称ですので、ポルトガルではつるんとしたドラジュもアーモンドに砂糖をからませたものも、ボンボンのようにお酒が中にはいったものも皆CONFEOTOとなります。日本の金平糖はCONFEITO COM BICOS(コンフェイト コン ビィコシュ 意味 イボ付き砂糖菓子)となります。たまに日本の観光客の方でお菓子屋で「コンフェイト!コンフェイト!」と店員さんにお声をかけていらっしゃるお姿をお見受けするのですが、その場合「コンフェイト コン ビッコシュ」と言ってもらえば通じると思います。ただ、あのイボイボのコンフェイトはポルトガルでは消えつつあります。手間ばかりかかってお金にならない。私どもの店では地方の工場(こうば)に注文して作ってもらっております。そこで作っている方もリスボンの職人に金平糖作りを習ったそうです。昔は(50から60年前)結婚式や洗礼式のあとに教会の前でイボイボの金平糖が配られたそうです。それがいつからかイボイボのないドラジュのような砂糖菓子にとって代わられるようになったとのこと。ただ今でも私の店でイボイボの金平糖をみつけて「懐かしいわ」と買っていかれるご婦人もいらっしゃいます。日本人なら誰もが知っている金平糖のルーツ。ポルトガル人は自分たちのお菓子コンフェイト コン ビッコシュの流れをしりません。しかもポルトガルの若者はコンフェイト コン ビッコシュ(金平糖)の存在さえもしらないのが普通です。ただ日本の皇室の結婚の儀のプレゼントに金平糖が選ばれているのは、素敵ですね。本国で忘れ去られそうな習慣が日本で守られているんですから。日本でも結婚式にライスシャワーじゃなくて金平糖シャワーにすればいいですのにね。食べてすごく美味しいと感じるお菓子ではありませんから、店では透明のグラスにいれて飾っています。
日本の金平糖とポルトガルのコンフェイト コン ビッコシュを隣り合わせにして。


★智子DUARTEさんの日本とポルトガル融合のティーサロンのWebはコチラ→www.castella.pt.vu