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10月15日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、佐藤めぐみさんからの報告です!

NYはすっかり秋になりました。
けさはたった5度しかなく、
セントラルパークでも紅葉がスタート

ちょっと郊外に出ると、もうかなり色づいているます。
秋のアウトドアシーズン。リンゴ狩り、もみじ狩りに行く人も

この時期のマンハッタンの室内は1年中で一番寒い、
NYの建物はセントラルヒーティング、
アパートごとで暖房の調整ができないのです。
この時期はまだどこもヒーターが入らないから寒い!
特に近年、大家が暖房費節約で、入るのが遅くなったような気もします。

朝熱いコーヒーを飲んで暖まったり、
夜は毛布を足にかけて過ごしたり、一応省エネになっているのか?
という気もしますが、環境の事は、不況でもそうでなくても大事。

特に、一晩中眠らない街、
環境とは一番縁がありそうもない街、マンハッタンから
地球環境の保護を訴えよう、というプロジェクトがあります。

「マナハッタ・プロジェクト」

マナハッタというのは、今から400年前、マンハッタンの先住民だった
ネイティブアメリカンのデラウェア族の言葉で、
「丘が多い島」という意味。

ちなみにみなさんのお住まいの場所、
400年前がどうなっていたかご存知ですか?

日本で400年前といえば江戸時代が始まったばかり。
その頃からもう街だった場所も多い事でしょう。

でも当時、アメリカはアメリカという国すらまだありませんでした。
1609年という年は、実はヘンリー・ハドソンが、
マンハッタンを発見した年なんです。

マンハッタンに来た事がある人はわかると思いますが、

この街は鉄のかたまりのように見えます。

広さでいえば山手線の内側くらいの名が細い島の上に、
高層ビルがグサグサ!と刺さったような感じです。
modern_manhattan.jpg


でもこの島も400年前にはビルなんて一つもありませんでした。

このマナハッタプロジェクトは、その頃のマンハッタンをデータで、
そしてビジュアルでも再現しようという、興味深いものなんです。
世界でも大きな話題になりました。

たとえば世界の交差点と呼ばれる、タイムズスクエアの交差点。
信念のカウントダウンが行なわれるあの場所、
イメージとしては、渋谷駅前という感じですが、
ここは400年前、道のかわりに小川と小川が交わる沼地、水の交差点でした。
高層ビルのかわりに高い木がおいしげり、人間や車のかわりに、
鹿やビーバーなどが行き来していました。当時から忙しい場所だったのも面白い!

マナハッタプロジェクトは、マンハッタンのすべての場所が
400年前にどうなっていたのか、当時の入植者の地図をもとに再現。

1609_mannahatta.jpg


それによるとマンハッタンという場所は当時亜寒帯から温帯、
熱帯までのあらゆる植生が集まるユニークな自然の宝庫で、
あのまま残っていたら国立公園になったくらいの場所だったそうです。

面白いのは、インターアクティブなウェブサイトがあって、
そこに今自分がいる住所を入力すると、
400年前にそこがどうなっていたのかの画像が出てくるんです。

たとえば今私がいるTOKYO FM AT NEW YORKは、
マレーヒルと呼ばれる丘の上にありますが、当時は森の中で、
リスやスカンクなどたくさんの小動物、キツネやシカ、
クマやオオカミも住んでいたと見られています。
400年でこんなに変ったのかーと
ビルしかない今と比べてそのギャップに改めて驚くわけですが、
いったいなぜ、このようなプロジェクトを始めたのでしょうか?

マナハッタプロジェクトの中心人物は、
世界自然保護基金の科学者、エリック・サンダーソンさんに、
その理由を聞いてみたら、こんな答えが返って来ました。

世界の野生動物保護の仕事をしているので、旅が多く、
大自然からニューヨークに戻ってくるたびに複雑な気分になっていました。
そんな時ふと、オランダ人が入ってく売る前、
400年前のニューヨークはどうなっていたのかを考えるようになったそうです。
でもこのプロジェクトは、マンハッタンを昔に戻そうという事ではない。
特にニューヨークや東京のような都市は住むには快適だし、
アートやビジネスなどがあふれている。
だからこそ食べ物がどこから来たのか、エネルギーの使い方などは忘れられがち。
そんな自然やエコロジーの可能性に対する考えを高める事。
それに、ニューヨークを訪れた人は、自然なんてないと思うかもしれないけれど、
元々豊かな自然にあふれた土地だったし、
今それが少しずつ戻ってきている、といいます。

そう、エリックさんはこのプロジェクトの中で、
ニューヨークの自然が失われているだけでなく、
甦ってきている事も発見したんです。

マンハッタンの北を流れるブロンクスリバーをきれいにするプロクジェクト、
もう何十年も続いていて、一時は汚染がひどかった川がきれいになり、
なんと2年前のある日、ビーバーが帰ってきました。
エリックさんたちはそのビーバーをホセと名付けました。

かつてビーバーはマンハッタンに網の目のように流れていた小川に
たくさん住んでいました。でもビーバーの毛皮を目当てにしたオランダ人のために、
200年前には絶滅してしまったと考えられていたのです。
ビーバーが住めるようになるまできれいになったブロンクスリバーに、
エリックさんは大きな希望を感じています。

私たち人間が不可能と思っていた事が可能になった。。。これは本当に大きい。

このプロジェクトのゴールは、
大都市に住みながらいかに自然とつながっていくかということ。
悲しい話はいくらでもできるけれど、どれだけ自然が素晴らしいかを伝える事で、
みんなの意識が高まり、つながりが深まればいいと思っている、とエリックさんは言います。

そしてエリックさんは、
アメリカ人は今とても変ってきている、とも言っていました。

かつては広い国土の中で、ここがダメなら他の場所へという考え方があった。。
でも今はもう別の場所は存在しない。
自分たちで護らなければ、というふうに変ってきています。


そうやって続けて行けば、今は不可能と思っている事も、可能になるかもしれない。
希望を持って続けること、それが大切なんですね!

佐藤めぐみ   ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、 日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、 アメリカのJ-POPファンのためのイベント 「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminy