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7月2日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワーレポーター、佐藤めぐみさんからの報告です!

ニューヨーク時間6月25日木曜日夕方
50才の生涯を閉じたマイケル・ジャクソン

ニューヨークは新聞もテレビでもずっとそのニュースがトップ、
通りすがりの車からもマイケルの曲が。。。。

マイケルの3枚のアルバムがチャートトップに!
先週末アメリカだけでも、アルバム45万枚が売れ、230万ダウンロードを記録!

私の地元、ニューヨーク、ハーレムのアポロシアターにも、
あれからずっと人が集まっています。

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その様子は、追悼というより「セレブレーション」

そう、驚いてしまうのは、
普通偉大なアーティストが亡くなった場合、
悼む、悲しむ、といった反応が一般的ですが、
マイケルの場合は、
それがすぐにセレブレーションに変ったこと。

特にニューヨークでは、亡くなった数時間後から、
ブラックミュージックの殿堂でもある、
ハーレムのアポロシアターに、人々が自発的に集まり始めました。
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1969年にマイケルはここのアマチュアナイトで優勝。

夜通しシアターの前のストリートで、マイケルの曲をプレイしながら
ダンスパーティになりました。

その盛り上がりは週末もずっと続いていました。
そしてついに昨日、アポロシアターがそのドアをやっと開き、
人々を中に入れ、中ではDJがマイケルの歌をプレイ。
午後3時にオープンだったのに、朝からすごい人が列を作り、
数千人が歌い踊りながら、マイケルの素晴らしいキャリアと音楽を祝いました。

つめかけた人の声を聞いてみてください。

まずはテキサス出身のオスカー、
「マイケルは僕にとって、何事もベストをつくせば実現できると証明してくれた人。
世界にとってマイケルは、国境を越えて人々をつないでくれた存在だと思う。」

パトリシアさん、
「マイケルは私の人生のサウンドトラック。
小さな頃はジャクソンファイブ、そしてスリラー、ティーンの頃は
リメンバー・ザ・タイムがお気に入りだった。マイケルは世界の平和を象徴していると思う。
なのにメディアはずいぶんひどい事ばかり言っていたわ。」

アニッサさん、
「子供の頃マイケルみたいになりたかった。
学校にもマイケルみたいなかっこうで通ってよく笑われたの。
マイケルは私にとって、純真無垢な子供時代の思い出そのもの。
マイケルみたいなピュアなアーティストはもういないと思う。」

最後のウォルター、
「マイケルは僕の先生、お兄さんでありお父さん、
僕たち黒人に希望を与えてくれた存在。
マイケル! メディアが何と言おうとアメリカは君を愛している!
29歳の僕が今ここにいるのは、君のおかげだよ、ありがとう!!」

最後の男性はすごくエモーショナルなメッセージを送ってくれましたが。。。
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マイケルの曲にはたくさんの楽しい思い出がいっぱいある。
勇気や元気が出て来る、
マイケルの曲を聞くだけて、そういう気持ちが甦ってくるんですね。


そんなたくさんの喜びを世界の人にもたらしたにもかかわらず、
マイケル本人の最後の10数年は、苦悩に満ちたものだったと言われています。
オバマ大統領も、亡くなった翌日にコメントを出していましたが、
「彼自身の人生は悲劇的なものだった」と言っています。

特に幼児虐待疑惑は、アメリカではどんなマイケルファンでも、
眉をひそめてしまうものでした。
だからこそ亡くなってみて、改めてどれほどマイケルの存在と音楽が自分の人生にとって、
そして世界にとってどれだけ大きかったか、気付いた人も多かったのです。

マイケルのビリー・ジーンのビデオは、
史上初めてMTVでプレイされた、ブラックアーティストのビデオ、
という話知ってますよね?

マイケルは、初めて人種の壁を超えて、
世界のキングオプポップになったアーティストとして、
とくに黒人からは大きなレスペクトを受けています。

逆に、彼が人生を通して、これだけ戦わなければならなかった人種の壁は、
私達の想像を超える、本当に厳しいものだった、ということかもしれません。

また、こういうメッセージを歌うときのマイケルは、
びっくりするほど純粋と愛情に満ちていて、
世の中を斜めに見がちな私達には、ナイーブすぎるくらいに見えました。
マイケルは時に皮肉で意地悪になりがちな私たちの心を、歌でときほぐし、
私達だけでは見る事ができなかった、
素晴らしい世界を見せてくれたのだと思います。

さて、最後になりますが、
マイケルの死の理由、未だにわかっていません。
薬物依存症だったとか、さまざまな情報が飛び交っていますが、
すべて憶測です。

一方で、マイケルの子供達の本当の父親はいったい誰なのか、
彼らの養育権はどうなるのか?
遺書が発見されて、その中では養育権はまずマイケルのお母さん、
彼女が育てられない時は、ダイアナ・ロスに養育権が与えられるという記述があった、
と報道されています。

さまざまな事が明らかになるまで、まだまだ時間がかかりそうですが、
今確実に言えるのは、
そういうものがすべて落ち着いた後は、
マイケル・ジャクソンは、人種や国境を越えて、
世界に喜びと勇気をもたらした、この時代の唯一のアーティストとして、
人の心に長く残り、その音楽は永遠に生き続けるに違いありません。
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佐藤めぐみ  
ジャーナリスト、プロデューサー ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、
日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、
アメリカのJ-POPファンのためのイベント
「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。 BLOG:http://ameblo.jp/meguminy