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6月8日(月)は、イタリア・ローマ在住のフラワーレポーター、大屋佳奈さんからの報告です!

本日はローマに住んで10年、ローマのワインショップの責任者として働いていらっしゃるイタリアソムリエ協会公認プロソムリエ、大屋佳奈さんにお話を伺いました。
  
<映画『天使と悪魔』イタリアの反応は?>
イタリアでは5月13日に封切られ、ローマでは封切を扱う映画館50件以上のうち、ほぼ90%の映画館が「天使と悪魔」を上映しています。
イタリアは5月の中旬から異例の夏日が続いていて、ローマもここ1週間くらい30度を越える暑い暑い毎日です。ということで、海好き、外にいるのが好きなイタリア人の映画館離れが続き、映画業界が打撃を受ける中、この映画だけは何とか売り上げを守っているそうです。
   
ローマの友人とも話しましたが、宗教的な考えは後述するとして、この映画が「ローマという都市が何世紀にも及ぶ歴史を持ち、またその美術であふれていること、あふれているばかりでなく、そのそれぞれが色々な意味、秘密、美しさを持っていること。そんな意味で、ローマを絶賛する映画」と喜んでいます。確かに私も映画を見ましたが、中心街にラファエッロ、ベルニーニ、ミケランジェロのダビンチ、イタリアを代表する美術品が身近にあふれかえっているのを知ってはいるものの改めて感じさせられ、ローマの奥深さを更に実感しました。映画ではパンテオンからポポロ広場までを4分で動いたり、4つの教会を結んで十字架を作ったり。私も中心街に住んでいますが、まず渋滞の有名なローマであの時間帯にパンテオンからポポロ広場に車で4分は到底無理、夜の23時でもナヴォーナ広場は結構な人で賑わっていたり、サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会をバルベリーニ広場と読んだりしているけど、実はそれなりの距離があったり。
そんな映画には欠かせない小さな矛盾はありますが、ローマは朝のカプチーノから、たくさんの教会や美術館、イタリア人の活気、そして夜の照明で美しく照らされた広場や教会の静けさに至るまで、本当に何日あっても見たりない魅力の街なんだと思いました。
     
さて、イタリアはご存知の通りバチカン市国を抱えるカトリックの国ですが、イタリア人はこの映画をハリウッドのアトラクション映画を見ると同時に、宗教上の意味についても意識しています。
「ダヴィンチコード」に続きバチカンは目立った発言はしていないものの、バチカンが発行する新聞上で、「タイトルはすばらしいが内容は控え目、トム・ハンクスの演技がすばらしい。」と言って同時に前作では「キリストの誕生、いわゆる性」の問題、今回は「科学と信仰」についてうたっているが、どちらも現代の教会時代にとっての疑問であり、それについて大らかに捉えている点については認めています。といってもバチカンはあらゆるTV・映画撮影には全く協力しないのが普通で、映画上のバチカンや教会内部も殆どがスタジオでの撮影、唯一撮影が出来たのはサンタンジェロ城だったとか。ローマに封切前に行われたイヴェントにも、バチカン関係者を招待したようですが、誰も来なかったそうです。これについてイタリア人は、バチカンは宗教に基づく国でありながら、どの国も一緒、いやどの国よりも秘密と矛盾の多い国だと思ったようです。かといって、宗教を離れるわけではありませんが。
    
今回の映画では美術の面からローマの奥深さを感じましたが、ローマの楽しみ方はそれだけではないと思います。
ローマを訪れる殆どの方が、スペイン広場、トレヴィの泉、パンテオン、バチカン、コロッセオなんかを見て、もうローマは大体見たよねって行ってしまいますが、大切なのは自分の中に印象を残すことだと思うんです。
でないと行った事は覚えていても、スペイン広場の近くでアイスを食べたとか、そんなことは覚えていても、そこに何があったかは覚えていない。2回目からは、例えば「ローマ皇帝を追う」とか、「ベルニーニの作品を見比べる」とか、「短期でアパートを借りて市場で買い物をしてイタリア人みたいに過ごす」とか、何かひとつでも目的を持った旅が良いのではないかと思います。住んでいるとどの都市ももそうだとおもいますが、勿論、良いこともそうでないこともあります。でもローマは歩けば歩くほどその魅力がどんどん見えてくる街だと思っています。
  
<役立つ一言>
"Ciao!! A presto!!" (じゃあまたね。) 
  
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