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5月18日(月)は、アイスランド・レイキャビク在住のフラワーレポーター、腰塚由紀子さんからの報告です!

★今のアイスランドの様子
4月23日に祝日である「夏の第1日目」を迎え、アイスランドは公式に夏となりました。今日の気温は10度ですが、日差しが強いので晴れていればとても暖かいので昼間はジャケットで十分です。
アイスランドの夏と言えば白夜ですが、6月下旬の夏至に向けて、段々と日照時間が長くなっています。今では夜11時になってもまだ明るいくらいです。5月16日の日の出は午前4時10分、日の入りは午後10時41分です。やはり明るいとエネルギッシュになるのか、今では夜に出かけずに家でテレビを見たり本を読んだりしているのに罪悪感がありますね。
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★国民の生活事情
2008年秋の銀行崩壊後、国政混乱、2月1日暫定政権発足、4月25日の総選挙実施となり、混乱が続いたアイスランドですが、2月からの少数派左派暫定政権が4月25日の総選挙の結果大勝となり、5月10日に新左派連立政権が発足しました。このため、新政府に期待がかかっています。
雇用局によると4月末日の失業率は9.1%となり、去年冬から増加しています。比較としては2008年4月の失業率が1%でした。銀行崩壊後、アイスランドクローナの急落、政策金利は段階的な引き下げが始まっていますが現在13%、インフレ率は11.9%です。
不動産分野での凍結、ローンのインデクセーションや外貨ローンによる負債増加による支払い不能者の続出、倒産・破産の増加、外貨規制、と挙げたらきりがないような不況となっています。また、夏に向け、学生の夏期休暇、新卒者の失業率も懸念され、学生対策として政府は大学、学生ローンと協力して夏期学期の実施を決定し、学生ローンの夏期受給も可能としました。一方で失業手当や大規模に拡大した学生ローン支払いは国庫に負担として重くのしかかっています。依然として今後の雇用分野での展望は明るくない状況となっています。
ですが、地方自治体によりスイミングプールの失業者への無料開放やジムの特別コース割引なども増加しています。また、職業訓練など実用的なコース受講や大学に戻る社会人も多いです。失業手当を受けて失業者として生活をするよりも大学や大学院でスキルアップや学歴アップを図るチャンスを推進することにより建設的でポジティブに時間を利用することにより「何もすることがない時間」を「将来のために使う時間」に変えることは実用的でありメンタル的にも大分違ってくるものだと思います。
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★アイスランドの元気なアートシーン 開催中のアートフェスティバル見所
いよいよ15日よりレイキャビク・アートフェスティバルが始まりました。音楽やシアター、ビジュアルアート、展示会、パフォーマンス等様々なイベントがレイキャビク市各所で楽しめます。このアートフェスティバルは1970年から2年に1度開催されていたのが2004年より毎年恒例となったアートフェスティバルですが、海外アーティストだけでなくアイスランドのアーティストのプロモートのためのものでもあります。特に今回個人的にオススメするのがアイスランド人アーティストのコンサートです。若手ピアニストのヴィーキングル・ヘイザル・オーラフソンとヒャルタリーンのコンサートです。ヴィーキングル君は現在24歳ですが、17歳でアイスランド交響楽団と共演し、2008年にジュリアード音楽院の大学院を卒業して現在はアイスランドで最も注目されているピアニストです。2007年のジュリアード音楽院のバルトークコンテストで優勝した実力の持ち主です。ヒャルタリーンのコンサート会場はアイスランドオペラです。ヒャルタリーンは通常のバンドに加え、チェロ、バイオリン、オーボエ、フルート、ファゴットなどクラシック要素も含む独特の音楽世界に人気が集まっています。今回特にオススメな理由は、アイスランドの新進気鋭の若手コンダクターでピアニストでもあるダニエル・ビャルナソンの指揮で行われます。彼は日本人作曲家・指揮者である細川俊夫氏に師事した経験もあります。
   
★アイスランドは自称アーティストが多い? (銀行員の女性が実はシンガーだったりとか アイスランドのローカルアイドルが航空会社のフライトアテンダントをされていたりとか!)
アイスランド人は全員アーティストと言われるほどです。長く暗い冬のため室内で過ごす時間が多いためか、特に音楽や美術関係の趣味を持つ人が多いようです。皆よく合唱団に所属していたりオーケストラで弾いていたりしますが、私のヘアドレッサーは去年の秋に日本でコンサートを行ったGusGusというバンドのバックコーラスで歌っています。それに友人であるピーター・グズヨンソンはエネルギー関連企業コンサルタントですが、ヒューマニズムの本を執筆し、アイスランド語だけでなく英語、スペイン語等に翻訳されていますし、日本でも一度本を出版しています。人口が少ないため、個人に多くチャンスが訪れるのかも知れません。
   
★アイスランドのデザインの魅力
やはりアイスランド原産の素材を使用したものが多いです。銀行崩壊後、アイスランドクローナは急落したため、2008年6月には日本円は0.6クローナだったのが2008年11月には日本円130アイスランドクローナにまでなりました。単純計算で円が2倍以上になったことになります。このため輸入品の価格がとんでもなく上がったことで、国内の原料を使った品物や国内デザインが見直されるようになりました。また、魚の皮を使ったアクセサリーやバッグ等もよく見かけます。
去年の冬は私の周りでは編み物が流行っていました。ローピという羊毛を使用して北欧パターンのベストやセーターを編むだけでなく、リストウォーマーも手軽に編めるので人気でした。極夜に仲の良い友人達と集まり、ホットチョコレートやワインを飲みながらおしゃべりしつつ編み物をするのが流行っていました。丁度銀行崩壊後、金融危機、国政混乱という時期でしたので、落ち着いてお金もかけずそれでも何かクリエイティブなもの、ということで意外と人気がありました。
    
★最後に、役に立つ一言!
「Allt í lagi」というフレーズをよく使っています。「Everything is alright」という意味です。同様に「þetta reddast」もかなりの頻度で使われています。どちらも「It is going to be all right」という意味を持ちますが、「þetta reddast」は特に楽観的なアイスランド人気質を表していると思います。例えば何か問題が起こったとして、「まあ、どうにかなるよ」という意味合いで使います。最近よく会話に登場するのが「今のアイスランドの金融危機?-まあ、なるようになるよ」、ということで「já, kreppan? Æ, þetta reddast」という感じでしょうか。
   
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