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5月7日(木)はアメリカ・ニューヨーク在住のフラワー・レポーター、佐藤めぐみさんからの報告です!

 
ニューヨーク、この1週間雨がたくさんふりました、
高層ビルの影から、ようやくお日様がのぞいた今日、
最高気温は18度、でも夜になってまた雨が降り出し今12度です。
 
トライベッカ・フィルムフェスティバル、
35万人を動員した映画のお祭り、 日曜日に幕を閉じました。
そのメインゲストとして招かれていたのが、
アカデミー賞外国語映画賞に輝いた「おくりびと」の滝田洋次郎監督と、
主演の本木雅弘さんです。
 
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「おくりびと」がアメリカで初めて一般上映された先週、
ふたりも観客に混じって、いっしょに映画を見ていました。
 
まずその時の観客に聞いてみました。
 
「すごく良かった。すごく悲しくて、同時にすごく笑える映画。
音楽、映像、俳優、すべてよかった」
「素晴らしい映画、衝撃的な内容で、ものすごく感情をゆさぶられて、相当泣いてしまった。まわりの人もみんな泣きながら、きっと家族のことや、生きることについて考えていたと思う」
「素晴らしく美しい映画。日本の伝統についてはまったく知らないけれど、
そういったものを超えて伝わる映画だったと思う。」
 
本当にみんなすごく興奮していました。私も興奮しました。
 
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そんな観客といっしょに見ていた滝田監督と本木さんは、どんな感想を持ったのでしょうか?
  
滝田「どんな反応をもらえるのかドキドキして見ていましたが、もう冒頭から日本と同じように、もっとクリアにはっきりとアメリカの人は反応してくれて、世界中どこも映画はいっしょだなと感じました。」
 
本木「観客のみなさんは、ことごとく反応してくださって、それでまた細かいニュアンスっていうのを予想以上に汲み取ってクスっと笑ったり、情けなさに同情したりっていうことで、すごくのってくれた感じが伝わってきて、意外な新鮮さでしたね。」
 
お客さんの反応、日本人と違う点がありましたか?
 
滝田「これ逆に人は誰もが死ぬから、テーマとしても普遍的なものであるし、映画としても非常に日本的な絵が多くて、日本的な物語と見られがちですが、逆に世界共通の物語になったのかなあ、と。だから日本の中に世界があった、という事だと思います。
 
本木「面白かったのは映画の中で、ある種生きるという事の中に食べると言う、様子類必要不可欠、人は誰もが亡くなるという事と同じ用意、人は生き物を食べて自分も生かされているというのを暗示的に感じさせるような、とにかく人がモノを食べているシーンが多く出て来るんですね。その中で生の鳥が見えたり、フグの白子であったりとか、そういったような事は欧米の方はグロテスクな印象を受けて、それでウエーってこう、ホラーでも見ているような、そういう反応もあったりして、そういう微妙な文化の違いみたいなものも面白がっている感じもしましたね。」
 
滝田「感じた。だから映画のトーンが日本よりも怖い感じ。怖いっていうのは。。。僕ら普通じゃないですか鳥をナベに入れるのもフツーだし。
こっちの人は何かウーっていうのがあって、それを声にするから、次のシーンがホントにコワイ。
違うテンションでそのシーンを見てるって感じ。僕はもう何十回も見てるのに、
お客さんの空気を背中からもらうから、感情をもらうから、
結構怖がってるのかな? とか自分で。」
 
滝田監督は「日本の中に世界があった」とおっしゃっていましたが、
人の生死という人間共通のテーマには深く共感し、
食文化などのディテイルの違いの面白さは、
まるでホラー映画のように楽しんでしまう、というニューヨークの観客。
そんなオーディエンスとの時間を、
滝田監督も本木さんも本当に楽しんだようですね。

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そして「おくりびと」はようやく今月末に、全米で公開されます。
 
滝田監督、今どんな気持ちなんでしょう?
 
滝田「日本人だけでなく言葉も文化も違う人にこそたくさん見ていただきたいと思いますね。それでちゃんと伝われば、それは日本の我々のやり方に自信も持てるし、誇りも持てるから。
オスカーまでいただいたんですから、このまま少しでも沢山の人にこの映画wo見ていただきたいと思います。
  
ニューヨークの観客はみんな、この映画は口コミで広がって長くヒットするだろう、と言っていました。そうなるかも、という気持ちにさせてくれるのは、
やはりここ数年アメリカ人が、日本をはじめとした外国の文化に、
すごく興味を持ち始めているというのがあります。
 
滝田監督もそういう感じ、しますか?
 
滝田「しますね、やっぱりオスカーの事もあったし、
なんかこう面白いモノへ目をどんどん広げようとしているような気はします。
だから僕らの映画に限らず、これをきっかけにたくさんの映画を見ていただければ、いろんな違う世界の扉が開くんじゃないかと思いますけどね。スタッフも含めて。
 
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映画を通じて、世界の文化や、人の気持ちを知る事ができる。。。。
映画にはそういう素晴らしいパワーがあるんですよね。。。
 
こういう映画を通じて、
みんなが日本をもっと知ってくれたら本当にうれしいですよね。
逆に、日本人もどんどんこういういい映画を作ってほしいし、
 
日本人の私達も、世界のいい映画をいっぱい見ていきたいですよね。
 
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佐藤めぐみ 
ジャーナリスト、プロデューサー
ニューヨーク在住、J-POPからベースボールまで、日本文化がアメリカでどう受けいられているかを中心にレポートするジャーナリスト、
アメリカのJ-POPファンのためのイベント「SAMURAI BEAT RADIO(サムライビートレイディオ)」をプロデュース。
BLOG:http://ameblo.jp/meguminy